最終決戦 その時歴史が変わる その10
女神降臨・・・
損だけどW
アリシアを女神とする・・・
彼女が望むのなら。
みんなが求めるのなら。
魔力を一点に集め、聖剣を手に取ったアリシアへ託す・・・
「みんなの力を俺に渡せ!
全ての異能をアルジの俺へ託すんだ」
灼炎、氷結、地の龍、疾風・・・そして。
「萌!天使の力も俺へ託すんだ!」
モエルは元々、神の使徒である天使だったから。
萌となった今も、僅かではあるが魔力を持っているのが分っていたから。
俺の中に4人の異能を感じる。
勇者剣士の異能が天使の力を中心にして、四聖力を束ねたんだ。
5つの力。
5つの聖なる魔力。
五芒星を模る強大な異能を全身全霊を以って終結させた俺が、
「受け取れアリシア!
これが仲間の全力全開・・・俺達みんなの未来だ!」
未来だと言ってやったんだ。
アリシアが女神と成って、地球を救い明日が迎えられるようにって。
「はい!未来の為に」
頷いたアリシアが聖剣を捧げ持って応えた。
全員の異能は、俺が蓄えておくには強力過ぎた。
神でもない勇者剣士を受け継いだだけの俺に光が集い、溢れそうになる。
「うおおおぉッ!」
身体が光で埋め尽くされる。
魂までもが光に染められる。
人である俺が、神にも等しい光を集わせられているのは奇跡なのかもしれない。
奇跡・・・人が神を畏れ敬う偉業。
だから・・・今の俺は奇跡を起こそうとしているんじゃぁ無い。
アリシアこそ奇跡を起こせるんだぜ?
だって傍らに立つに娘は、初めから俺の女神だったんだから。
勇者剣士の異能で全ての光を集め、一点に凝縮した・・・
「おぉりゃぁあああッ!」
光の玉をアリシアへと撃ち放つ。
光点を魂の叫びと共にアリシアへ注ぎ込んだ。
どぉんッ!
俺の中から光が飛び出し、アリシアの身体が光を受け止める。
「?!」
皆が息を呑み、光に包まれるアリシアに注目した。
きっとアリシアは女神に成ると信じて。
しゅぅうううぅ~~~
光が徐々に薄れ・・・
紅い髪が金色に舞う。
光が礫となって揺蕩う・・・
閉ざされた瞼、固く結ばれた口元。
光の礫も擦れて・・・
羽織られているローブが靡いている。
薄れた光が、再び輝くと。
右手に持たれている聖剣に光が吸い込まれた!
赤髪を靡かせるアリシアの姿。
薄く後光を揺蕩わせ、聖剣を握る女神。
神々しいローブを纏う少女は、ゆっくりと瞼を開く。
神の剣を片手に下げた姿は、戰女神とでも呼べそうだ。
いいや、これが戦女神って奴なのではないのだろうか?
全身全霊を使って放った光。
みんなや俺には、もう異能は残っていないんだ。
全ての異能をアリシアへ託したのだから・・・
女神となれたのか・・・アリシアは?
元々俺だけの女神だったアリシアは、本当の女神と成れたのか?
瞼が開く・・・緑の瞳が俺を観ている。
薄く開いた唇が、微かに震えて見える。
何を言うのだろう?何が言いたいのだろう?
なぜ震える?どうして俺だけを見詰めるんだ?
って、思った時。
俺は自分の身体がビクとも動けない事に気が付いたんだ。
なぜ?
俺はどうしちまったんだ?
「ユージぃ?!」
「アルジ?!」
「野良君?!」
「ゆ~君んッ?!」
アリシア以外のみんなが俺を呼んだんだけど、俺は声も出せやしなかった。
「嫌ぁっ?!」
萌が泣き声を叫ぶ・・・俺がどうしたっていうんだ?
「死んじゃ嫌ぁっ!」
死ぬ?俺が?
「待てよ萌、まだ死んだとは限らない・・・」
シンバも、俺が死んだような口ぶりで言うんだ。
「光に塗れていたから・・・燃えてしまったの?」
雪華が、俺の状態を言っているけど。
「ゆー君は・・・焼け焦げたって死なないから!」
おい・・・焼け焦げるってなんだよ嵐?
俺がどんな状態なのか、大方の見当が付いた。
魔力を蓄えた折、確かに人智を超えた光に包まれていたようだったけど。
まさか・・・俺は光で燃えてしまったのか?
でもそれなら。
今俺の前に居るアリシアを観ていられるのは何故だよ?
死んだのなら目に映る筈が無いだろう?
死んでしまったというのなら、アリシアが悲しむ筈じゃないのか?
それに。それに、俺の事よりもアリシアの姿をみんなは気にもしないのか?
「アリシア!居るのなら何とか言ってよ?!
ユージがこんな姿になっているのに、何処に居るのよ?」
・・・え?
「そうだぜアリシア?!隠れていないで出てきたらどうなんだよ?」
なん・・・だと?
「野良君はあなたを女神にするんだからって言ってたのよ?!」
うん?!まさか・・・
「ゆー君は決死の魔術を放ってアリシアへ渡したんじゃないの?!」
みんな・・・見えていないのか?
目の前で、こうして俺を観ているんだぜ?
こうして・・・微かに震える口元で何かを話そうとしているのに?
みんなには見えないようだけど、俺はきっちり見えていたんだ。
神を間近に・・・女神になれた・・・アリシアを、俺は観れていた?!
・・・神を人が観れるとすれば・・・
「「アルジのユージ・・・私のユージ。
この姿を観せたかったの。女神に成れたのはユージのおかげだから」」
アリシアの言葉が頭に響いた。
いいや、頭なんかじゃぁなくて、魂に響いたとでも言うべきか。
「「一番最初に観て貰いたかったから。
ニャン子星のユージニア様より一足早くにね」」
そうなんだ・・・って?成れたんだなアリシア?!
「「うん、成れたみたい。
ううん、女神に昇華出来たんだよユージのおかげで」」
そっか・・・良かった。俺もアリシアの役に立てたんだよな?
「「ありがとうユージ。
でも、その所為であなたの身体が・・・」」
死んじまったと言うのか?
「「死んではいないよ。
死なせたりなんか、絶対にさせやしないから。
ユージを守るって約束、まだ果たしていないんだから」」
そっか・・・律儀な奴だなアリシアも。
「「みんなには見えないだろうけど、私はあなたを元の姿に戻してあげる。
女神に成って、初めての神力ってもので・・・ね」」
生き返らすっていうのか?
「「ふふふ、言ったじゃない。
ユージは死んでなんかいない。
ちょっと私に付き合って貰っているだけなんだよ?
だから生き返らすのではなくて、元に戻すの」」
元へ?そうか、だったらアリシアに任すぜ。
「「うん、元に戻ったら。
皆にも宜しく言っておいてね・・・」」
なんだよアリシア。
みんなにも見せてやれば良いじゃないか?
「「観れるとしたら・・・また魔力を持たないといけなくなるんだよ?
折角普通の人になれたのに、台無しにしちゃうことになるから」」
魔力が無いと観れないのか?
今迄ミシェル保安官を観れていたのは魔力があったから?
「「そうなんだよ。
みんな魔力があったから異能な容を観られていたの。
今みんなが私を観れないのは、ユージに因って解放されたからなの」」
そうか・・・みんなの異能を集めたからか。
俺は雪華さん達の運命を変えられたんだな?
「「彼女達の願い通りに。
ユージは彼女達との約束を果たす事が出来たの」」
ああ、それもこれも。
アリシアが来てくれたからだと思う。
俺は単に異能を注ぐ仲介を行っただけだからな。
「「ホント、ユージはお節介でどうしようもない程のお人好しさんだね」」
そうかい?それって誉め言葉と受け取っとくぜ。
「「うん、世界最高の誉め言葉。
ううん、宇宙一の勇者にして神の加護を受けた者として記憶しておくから」」
ああ、この世界をアリシアが守りきってくれたのなら。
「「任せて。
必ずユージの居る地球を護ってみせるからね」」
頼んだぜ、俺の女神。
任せたぜ俺だけの戦女神。
「「誓って・・・アルジ様を地上の楽園に。
地球を悪魔達から護ってみせますわ!」」
それを聴いてほっとしたよ。
俺のニャン子な女神に約束を守ってくれると聞かされたから。
「「アルジのユージ。
今から私は戦の女神に成る。
全ての災禍からあなたを守る為に!」」
ああ。全てを終えられたら・・・もう一度逢いたいな。
逢ってお礼を告げさせてくれないか?
「「はい・・・お逢いしたいです・・・ね」」
ちょっと言い澱んだのは、俺が眼にする事が出来なくなるからか。
眼に出来なくても、魂に映し出せるさ。
魂でアリシアに語れる筈さ。
「「やっぱり・・・あなたって人が善過ぎますね。
やっぱり私のユージは優しいのですね、惚れてしまうくらいに」」
よせやい。女神がホレるのは神な奴だけにしておけよ。
「「はい!ユージニア様に怒られちゃいますものね」」
アリシアが笑っている・・・声が教えてくれた。
アリシアが俺だけに微笑んでいるんだ・・・女神の微笑って奴で。
「「ありがとうユージ。
今度は私からの神力を受け取って。
あなたが最愛の人といつまでも居られますように・・・」」
ああ・・・決まってるだろ。
俺の約束はあの晩から変わっちゃいないんだぜ?
微笑む女神へ。
俺は自分でもおかしく思えるくらいの決心を言葉にしたんだ。
「「少し・・・妬けちゃうわね」」
聖剣を俺へ向けたアリシアが笑う。
「「でも、そうなっても欲しいから。
元の姿に戻ってください、人の神子ユージ」」
温かい光が俺を包む。
聖剣から溢れ出すアリシアの力が、俺の身体を治したんだ。
そう・・・妬かれた躰は奇跡に因って・・・
空の上では、未だに決着はついていなかった。
保安官に因って黒の鎧は滅ぼされてはいなかった。
その訳とは?
女神と成ったアリシアが戦場へと飛び立つ時。
地上の楽園は輝を掴めるのか?
遂に!
本当の女神に昇華出来たアリシア。
ユージ達の思いを胸に、飛び立つのです。
地球を護る為、大切な人を守り抜く為。
いざ!地上の楽園を齎す為に戦え!
次回 地上の楽園Heaven On Eath その1
嘗て地上に楽園を齎した女神が居ました。
彼女は戦い勝ったのです戦女神となって・・・




