最終決戦 その時歴史が変わる その8
堕ちてきたニャン子を救おうとしたんだが。
魔剣は言う事を聴いてはくれなかったようだOrz
墜ちて来たアリシアを受け止ようと、魔剣同士の力を使ったんだ。
二振りの魔剣の力を放出して、落下スピードを打ち消すつもりだった。
だけど、俺の思惑は意外な展開に・・・・
グアッキィーン!
魔剣同士の力でアリシアを停めようとしたんだが。
こともあろうに俺の魔剣とアリシアの魔剣は、惹かれ合うようにくっつきやがった。
「悲ニャァ?!」
慣性速度は魔剣がくっついた事で消えたみたいだったが、勢い余ったアリシアが俺へとダイブして来たんだ。
「うわッ?!」
一旦は空中で停まったかに見えたアリシアだったけど、魔剣から手を放してしまったみたいで。
「○△□×?!」
ニャ語かどうか訳の分からない叫びをあげながら・・・
どごぉッ!
俺にタックルを噛まして来たんだ・・・
「げぼッ!」
腹に衝撃を感じたんだが、一発であの世行きになった気分だぜ。
ドンガラガッシャ~ン!
もろにタックルを喰らった俺と縺れ合う様に、アリシアも吹っ飛んだよ。
「うぎゃ?!アルジ?」
「ぴやぁ?!ゆー君?!」
「げぇ?!死んじゃぁいないだろうなアルジ?」
シンバや嵐、それに雪華が泡を喰って叫んだのが耳に入る。
3人の声が耳に入った事で、即死では無いと思ったけど。
「馬鹿ユージ!無茶苦茶よぉ」
萌の泣き声を最期に、すぅっと・・・意識が飛んじまった。
「「ユージ・・・ユージ・・・」」
なんだよ、俺は絶賛気絶中なんだぜ?
「「ユージ・・・一つになろぅ?・・・」」
なにが一つにだ。
「「本当の容になろうよ?あるべき姿に戻ろうよ」」
本当の・・・姿だって?
俺に語り掛けて来る声。
ついさっきまで聞いていたアリシアの声にそっくりなんだ。
「アリシア?何を言ってるんだよ。
一つになるとか本当の姿とか、意味が分んねぇって」
気絶していたらしい俺に、アリシアらしい声が求めているようだけど。
「うん?!身体が動かねぇ・・・し、目も明かない。
もしかして死んじまったのか?」
アリシアの強烈タックルで?
でも、そう簡単に俺がくたばる筈が無いだろ?
「おい、アリシア。
どうなってるのか説明しろよ!」
呼びかけていた声が、アリシアの物だと踏んだから質したんだけど。
「「私はシェキナ。ユージニア様に仕える使徒にして魔剣」」
え?!アリシアの守護天使だって?
って、ユージニアって誰だよ?
「「私は主であるユージニア様が携えられている聖剣の分身。
ニャン子アリシアに授けられた戦闘妖精として守護を託された者」」
へ?!アリシアの機動ポットに宿っていた妖精さん?
そう言えば、アリシアを灼炎王に替えたのは妖精さんだった。
そして初めて魔剣を使えるようにしたのも妖精さんだったっけ。
「ってことは・・・機動ポットに宿っているんじゃなくて、アリシア自身に宿ってたのか?」
「「いいえ、準女神級と呼ばれる機動の機械に。
私が宿る事で準女神級と成れたのよ、アリシアも」」
天使が宿っていたから、アリシアは準女神級って言われてたのか。
「「そう。まだ女神に成れていないニャン子を守護するように命じられたから。
彼女は戦闘妖精がシェキナだとは思ってもいないでしょうけどね」」
彼女?主人を彼女呼ばわりするのかよ?
「「主人?いいえ、私の御主人様はユージニア様であってニャン子ではないわ」」
え?でも、守護しているって言ったじゃないか。
「「御命令だから。好き好んでニャン子の守護なんてやらないわ。
使徒を使役出来るのは女神か大天使長くらいのものですからね」」
なるほど・・・って。
烈華さんの声は、耳で聞いているんじゃなくて頭に直接入って来るんですけど?
「「そう?だったらやはりあなたはユージニア様と同じ。
私のお仕えする神と同じだと分かった・・・ユージ様」」
ユージ様・・・って。俺が神様な訳が無いだろ。
並行世界に居る、もう一人のユージじゃぁ無いんだし。
「「だから言ったであろうシェキナ。我がアルジは神にも等しいのだと」」
・・・と。この声は魔剣?
「「しょうがないでしょ。私は触れさせても貰えていなかったのだから」」
そりゃぁアリシアの魔剣だもんな。勝手に触る訳にもいかないだろ?
「「暫く前に一度だけ触れ合った折に教えたではないか」」
「「一回ぐらいで了承できる訳がないでしょ!」」
・・・なんだか痴話喧嘩っぽいんですが。
で?俺に何を求めているんだよ?
一つになるって意味を教えてくれないか?
「「さすが、我がアルジ。話が早い」」
「「ユージ様って物分かりが良いのですね。ニャン子とは大違い」」
・・・アリシアが聴いたら泣くぞ。
で?何をすれば良いんだ。
「「我々を一本の剣に併せて貰いたいのです。在るべき姿へと」」
「「魔剣を聖剣へ。二本を一本へと」」
つまり、お前達を合体させろと?
「「その通り」」
簡単に言ってくれるけど、どうやりゃ良いんだか知らないんだぜ?
「「方法は至極簡単。元の鞘に戻れと御命じになれば宜しいのです」」
・・・は?
「「ごほん・・・いや、違いましたな。
この世界であれば、二振りの剣は聖剣に昇華した事が無かったのですから。
改めて申し上げましょう。
<<神が命ずる、最期の剣よ我が剣と成れ>>
そう御命じ下さいますよう・・・我等に」」
あはは・・・本当に神様みたいな言い回しだな。
サンダルフォンとシェキナを合体させるだなんて。
「「ユージ様、さぁ!」」
えっ?えっと・・・命じるだけで良いのかよ?
「「我等を聖剣へ!」」
でも、アリシアの武器が無くなってしまわないか?
「「授ければ宜しいのです。聖剣を持つ事が出来るのなら」」
アリシアが?神の剣を手に出来るのか?
「「持てるか持てないかは、彼女が求めるかにかかっておりましょう」」
アリシアが聖剣を?神のみが持てる聖剣を・・・か?
「「いいえ。
聖剣といえども完全体になる前は、魔力を秘める者であっても持てましょう。
完全体になるには神をも超越した力が求められますが、
誰も成し遂げた者など存在しませんから」」
なるほど。聖剣はまだ進化するってことだな。
サンダルフォンが王者の剣から最期の剣に変わるように。
「「いかにも」」
なら・・・分った!
お前達を聖剣に纏め、アリシアに渡してやるか。
俺には空なんて飛ぶ事が出来ない相談なんだし、機動戦なんて出来っこないんだからな。
アルジとしてニャン子な下僕に託してやるだけだ。
「俺がお前達魔剣に命ずる、最期の剣よ我が剣と成れ!」
あ・・・さっきサンダルフォンから聞いてたのと少々違ったっぽい。
でも、俺の言葉が引き金となった。
二振りの魔剣を感じていたのが、急に何も感じられなくなったんだ。
いや、何もじゃなくて・・・
「ゆ~じぃ~」
今度は聞きなれた声が聞こえた・・・ような?
どたどたどた!
誰かの足音が響いている・・・気がするんだが?
「あ・・・気が付けたのか?」
気が付いたと感じたら、身体が何だか重いような?
「ニャ?気が付いたかニャ?」
アリシアの声が物凄く近いような?
「助かったニョはユージのおかげニャン」
おまけに、胸の上に載っかっているのは?
「ありがとうニャ」
たゆん?!
どたどたどたッ ピタ
足音が俺のすぐ脇で停まった・・・んだっ?!
どげぼッ!!
「ぐはぁッ?!」
寝そべっていた俺の左脇に激痛がぁッ!
「なにやってんのよ!このッ薄ら頓智気ぃッ!」
萌のキックが脇腹に食い込んだ・・・死にそうな程。
「なぜぇッ?俺を蹴るぅ?」
激痛に苛まれつつ、自分の措かれた位置を再確認するとだな。
アリシアを庇って吹っ飛んだ・・・それは良いだろう。
気絶してしまった時も、アリシアを抱き留めていた・・・ちょっとヤバいのかも。
で。目が覚めたらアリシアに介抱されていた・・・俺が悪いんじゃない。
介抱されて眼を覚ます時、ちょっと手に力が入っていたようだ・・・抱きしめていたようだな。
総合するに・・・だ。
俺はニャン子なアリシアをずっと抱き、介抱されているのに更に抱き寄せてしまったようだ。
つまり、見ている者から観れば。
「なによなによ!カッコつけてた割には役得を楽しんでたんじゃない!」
・・・・あんまりだ。
「そんな暇なんてあるもんか。
気を失ったのは失敗だったが、戦力増強はばっちりだぜ!」
メキョ!
萌の足裏がめり込んだ。
「なじぇぇ~~~?」
「変態ぃッ!厭らしいことで戦力を?獣みたいだわ!」
・・・どうしてそうなる?
「あのニャ萌たん・・・アルジが死んじゃうニョ?」
目の前の惨劇に、流石のニャン子も毒気を抜かれて。
「どうやらアルジは、何かを準備したようニャぞ」
「はんッ!どうせ良からぬことでしょう?」
萌の怒りは納まらないようだが・・・此処ははっきり目を抉じ開けるべきだよな。
「良からぬかどうかは。こいつに訊け!」
右手についてある紋章を確認した。
そこには魔剣の紋章は無くなり、新たな魔法陣が描かれていたんだ。
「聖剣よ!俺の元に姿を現せ!」
初めて呼んだんだけど、どんな剣が現れるんだろう?
一瞬躊躇したけど、手の中に今迄感じた事も無い魔力を感じたんだ。
これが、本当の神の剣だって観る前から分かってしまったよ。
遂に!
二振りの魔剣が聖剣に?!
ユージは皆に見せるのだが?!
肝心のアリシアに手渡せるのか?
次回 最終決戦 その時歴史が変わる その9
誰が為の福音?!それは彼女が受け取るというのか?




