最終決戦 その時歴史が変わる その6
真相を告げたミシェル保安官。
戦いは未だ決着を観ていませんが・・・・
銀河連邦時空管理局のミシェル保安官から教えられた事実とおぼろげな未来。
並行世界では悲劇となる筈の未来ではあったのでしたが・・・
「今度こそ・・・正義を示す時でしょう?」
保安官は魔法衣の胸元に着けられてある蒼き宝珠に伺いました。
「でも、私の失策でもあるのですから。
最期の瞬間まで手を出さないで頂けますでしょうか」
女神級の異能を誇る保安官が、蒼き宝珠に頼んでいるのです。
一体蒼き宝珠には、どんな秘密が隠されているというのでしょうか。
ミシェル保安官が誰かに頼むと、蒼き宝珠が明滅しました。
美しい蒼色の宝珠が、頼みを聴いたとばかりに瞬いたのです。
「ありがとうございます・・・」
瞼を閉じたワン子なミシェル保安官が謝意を告げた後。
「先ず優先するのは紅ニャンの救援。
その後は彼等に任せておけば良いし、それが彼女の為でもある。
私はあの娘との約束を果たして見せよう」
黒の鎧と闘っているアリシアの救援に自分が向かい、救出した後はユージ達に託さねばいけないと言いました。
「紅ニャンの魔剣とユージ君の持つ魔剣を一つに併せ。
聖剣と成さしめねばならないのだから。
それを手に出来てこそ、女神と成れるのよ、アリシアは」
魔剣を合体させるなんて事が、本当に出来るのでしょうか?
「アリシア・・・あなたが望めば。
未来永劫の力を求めれば。
その時こそ永遠の紅き女神へ昇華できるのよ」
アリシア自身が望めば?永遠の力を手に出来る?
「アリシアが女神になるのが、並行世界で神となったユージニアの希望。
古の巫女の血を分かつ、同じ子孫としての願い。
そして並行世界で結ばれる神と女神の母、珠子が望む未来なのよ」
ミシェル保安官は、勇人と別れを告げた珠子の魂に微笑みました。
並行世界では悲劇を振り撒いた珠子の想いが、やっと救われようとしていたのですから。
今回の事件に終焉が来た時、並行世界のユージの元へ連れて行ければ。
ミシェル保安官に与えられた任務は完遂され、同時に両方の世界が救われるのです。
「そうなる為には、真犯人を捕えるか処罰を与えなければいけないのよね」
地球上のドアクダーは、ダレットの死に因って逃亡を企てていました。
逃げ出す小物は放擲していても差しさわり無しと判断し、残った巨悪を潰えさせるのが保安官の務めだと認識しているのです。
「彼女が真犯人だったなんて。
理の女神様から教えて頂けなかったのなら、連合艦隊乗組員たちにも被害が及んだでしょうね」
呟くミシェル保安官は蒼き宝珠をそっと撫でました。
「万が一の場合、上様の異能をお借りしなければなりませんね」
蒼き宝珠はミシェルの言葉に頷く様に瞬くのです。
「上様が仰られていたように、人間には不必要な破壊砲諸共。
レミュウスに天誅を下さねばならなくなるのでしょうか?
出来れば彼女には罪を償わせたかったのですけど・・・」
最後にはため息混ざりの声が毀れてしまいました。
「それもこれも。
私の不徳故・・・なのですけど」
溢した溜息は、自らの不徳を嘆いていたのです。
ワン子な保安官は腰に下げた機動ポッドの中からレーザーサーベルを引き抜き。
「なれど、是非も無し!」
戦闘準備を整えて。
ユージ達へ向かって、これからどうするべきかを教えるのでした。
「萌ちゃんはユージ君達と一緒に居なさい。
皆はアルジのユージ君と力を併せて!
そしてユージ君!君はアリシアと共に闘い、萌ちゃんを護り抜くのよ!
絶対に負けてはならない、絶対に大切な者を護り抜きなさい!」
貴賓室から出て行くミシェル保安官が、全員に振り返って命じました。
「ミシェル保安官は?アリシアの力になってくれないのですか?」
萌が戦闘を思って身を固くしながら訊きました。
「あら?私は、そのアリシアから頼まれているのよね。
地球上の戦闘より、落ちて来るミサイルを迎撃して欲しいって」
惑星破壊ミサイルを地球に命中させないように破壊出来るのは、女神級の異能を誇るミシェルだけ。
アリシアが頼んであった依頼を完遂するのだと答えたのですが。
「もう一つの爆弾も、あなた達が停めないといけないのよ?
ドアクダーが仕掛けた時限爆弾、空間震爆弾って奴を・・・ね」
「え?!時限爆弾?!」
爆弾と聞いて、萌が顔色を変えてしまいます。
「そう。
あの爆弾が炸裂してしまったら、半径300キロにある全ての物が消し飛ぶわよ。
間違いなく此処も、この国の半分も消失しちゃうからね」
「え?ええええ~ッ?!」
爆弾の威力を教えられた全員が泡を喰います。
「そうなれば・・・この船の中に隠されている宇宙船も無事には済まなくなる。
結果、反物質装置も誘爆しちゃうかも知れないわよ~」
呑気な口調で、超危険極まりない事を告げられてしまいました。
尤もダレットの狙いは、半分がそこにあったのでしょうけど。
大悪人は死んだ後の宇宙が、どうなろうが知った事では無かったようです。
「そんな爆弾が・・・どこにあるって言うんですか?」
「あら?知りたいのね。
だったらヒントをあげましょうか。
その爆弾はね、天と海の狭間に隠されているわ。
この港からそう遠くない場所に架け橋があったでしょ?」
ミシェル保安官は、惚けるように。でも、かなり詳しいヒントを残したのです。
「架け橋って・・・もしかして?!」
「湾岸ブリッジ?!」
みんなが一瞬にして場所を特定できたのですから。
ミシェル保安官のヒントで、爆弾の隠された場所を言い当てたのですが。
橋のどこに隠されているというのでしょうか。
橋を詳しく見て行きましょう。
真ん中あたりが湾曲した橋の道路上には、それらしい遺物の痕跡は見当たりません。
それでは海に突き立っている橋げたには・・・そこにもありません。
一体・・・どこに?
と、ここで橋の下側に目を向けてみましょう。
道路を支えている橋脚に、何かが吊り下げられています。
丁度湾曲した中央付近に、円盤状の物体がぶら下がっているようです。
もしかしたらこれでしょうか?
いいえ、もしかしたらではなく。これですね!
橋に吊り下げられた円盤状の物体こそが、空間震爆弾なのです。
「橋に隠された爆弾・・・どうやって破壊出来るんだ?」
ユージが対応策を考えつつ仲間に訊いたのですが。
「ああ、一つ言い忘れていたわ。
あの爆弾を直接破壊しようものなら瞬時に炸裂しちゃうから。
芯央に封じられてある振動力が振り撒かれちゃうから、くれぐれも無闇に壊さない事」
「げぇッ?!それならどうやって停めれば良いんですか?」
直接手を出せないと言われて、停め方が分らなくなります。
「さぁ?そこを考えるのがアルジの務めなんじゃないの?」
そこでアルジは関係ないような。
ミシェル保安官はユージにウィンクしてきました。
それと同時にみんなの視線がユージに突き刺さります。
「ほら、戦闘ならアルジの才能が爆発するじゃん?」
シンバが頼りにならない喩えで励ましました。
「そうそう!やる時にはやる男でしょ?」
雪華も、勝手な言い分を。
「ゆ~じぃ~、頼んだよぉ~」
萌は何とも言えない頼りなさ気な声をかけるのです。
「う・・・わぁ~ったよ!」
何も思いつかないのに、勢いだけの返事を返すユージ君。
4人を微笑んで観ていたミシェル保安官でしたが、
「それじゃぁね。みんなしっかり頑張りなさい」
片手をあげると、もう一方の手に握られてあるレーザーサーベルを。
ビシュン!
緑の光を吹き出させたかと思うと。
ギュルン!
舷側に丸く輪を描いて・・・
「全てを終えれば、また逢いましょう」
別れを告げるのでした。
ガッコ~ン
レーザーサーベルでくり抜かれた数枚の舷側の穴からは、海が見えていました。
別れを告げたミシェル保安官の足元に、金色の魔法陣が出現します。
「ライトニング!」
魔法の呪文でしょうか。
一声叫んだミシェル保安官は、くり抜いた穴を潜り抜けて上空へと舞い上がって行くのでした。
残されたのは、アリシアと共に闘うべき少年少女。
空の上で闘っている仲間を助ける役目の4人。
「行っちゃったねユージ」
飛んで行ったミシェルから隣に目を向けて、萌が促して来ました。
「ああ、俺達も急ごう」
頷くユージは一瞬だけ貴賓室へ振り返ると。
ベットの上のアメリア女史を抱きかかえた勇人と視線を交わし合いました。
その瞳の中には決死と必至の約束が伺えたのです。
そう・・・必至。
必ず勝つのだと・・・必ず戻るからと。
ユージを見詰めていた勇人が静かに頷き返しました。
瞳には勇人と珠子の心が見て取れるのです。
微かに翠を伺わせる瞳が、ユージに往くのだと告げていたのです。
「ああ、必ず。勝って来るさ」
二人を意識して、ユージは口元を緩ませました。
「勝って・・・エルと戻って来るから」
そう。
神に付き従う天使をエルと呼ぶのです。
萌が天使なら、シンバや雪華、それに嵐も。
異能を誇る少女達全員が、神の使徒・・・天使なのだから。
ユージは最終決戦を前にして、新たに誓ったのです。
仲間を護り抜くと。
萌だけではなく大切な人達全てを護り抜くと・・・
「いくぜ!みんなで悪い奴等をぶちのめしてやろうぜ!」
きっぱりと言い切ったユージの顔に、仲間達が頷きました!
飛び立つミシェル保安官。
彼女によってアリシアは救われるのか?
戦闘は最終段階へと向かうようです。
次回 最終決戦 その時歴史が変わる その7
ニャン子星でのアリシアは?追憶に現れるアリシアの身分は・・・まさか?




