それ美味しいの?その2
とにかくだ。
今後の方針を決めねばなるまい。
(後書きにFAのご紹介がございます)
腹ごしらえの終わった俺達は、これからを考えたんだ。
本当に土安の奴がアリシアの言う秘密結社員だとしたら、どう出て来るかってね。
「まず間違いなく、アリシアに接触しようとするでしょうね」
一口お茶を飲んだ萌が言い切った。
「接触って言っても、間違えば捕まっちゃうかもね」
相手の出方次第だが、口封じを狙って来るかも知れない。
「嫌にゃぁ~~」
そこまで考えてなったのか?
「あれだけ堂々と逮捕逮捕言ってたら、土安も本気で向かって来るわよ」
「そんニャァ~~~」
萌の言う通りかもしれない。
本当に土安が秘密結社員なら・・・だけど。
「しかしだな萌。俺達の勝手な思込みかも知れないだろ?」
先ずは奴が本当に敵なのかの証拠を握らないと。
だけど、二人は確信しているみたい。
「何を悠長に構えてるのよゆー兄ぃ。
もしも先に手を打たれちゃったらアリシアがピンチになるでしょ」
「そうなのか?」
萌は勝手に盛り上がってやがる。
どうもこれが現実離れし過ぎて、ドラマか小説とかの世界だと思っていねぇか?
勧善懲悪な漫画なんかのキャラに染まってるんじゃねぇ~の?
「萌たんの言う通りニャ!
アイツがドアクダーの一員なのはほぼ確定なのニャ」
なぜ、そう言い切れるんだよアリシアには。
「証拠は・・・これで検出すれば良いニャ!」
そう言ったアリシアが金色の円環へ行くと、何やら怪しげな時計を持って来た。
「これは保安官事務所に備品として配られた犯罪者検出装置を内蔵してあるニャ。
濃厚接触者にも反応してしまう敏感さが問題ニャが・・・今は使えるニャ」
そう言うと手に着けてスイッチを入れたんだ。
ビビビィ~~~~~
唸り出す時計モドキ。
金切り音が喧し過ぎんだろ!
「煩い五月蠅いっ!」
「アリシア停めてぇ~ッ!」
俺と萌が耳を押さえて訴える。
「ニャ?やっぱりアイツがドアクダーニャ。これで確定したニャ」
スイッチを切って教えられたんだが、本当かよ?
警報が鳴り止み、アリシアに訊いてみたよ。
「それじゃぁ、土安は異星人だったのか?」
「そうとばかりは言えニャいが。関係者だとは認定出来るニャ」
異星人じゃない秘密結社員?
「関係者とはドアクダーの商売相手の可能性も含まれるって事ニャ」
「商売相手?どういうこった?」
悪の秘密結社員が商売をするのかよ?
「他所の星にある禁止薬物とか物品とかを現地のモノから買い取るニャ。
要するに密売品を買い付けしているんニャ」
あ、なるほど。マフィアなんかが良くやるって聞いた事があるな。
「じゃぁ土安は異星人じゃない可能性もあるの?」
そう訊いた萌は少々落胆していやがるんだが?
「否定は出来ないニャ。かなり低いとは思うニャが」
「そうよねぇ、土安は日本人なんかじゃないわよねぇ」
おい。言い切ってやるなよ。
「アイツは女の子を誑かして楽しむ様な、変態でいけ好かない奴だから。
きっと異星人の悪い奴に違いないよ!」
・・・ある意味、土安が不憫に思えてきた。
容姿が並みはずれて麗しいという訳じゃないが、女たらしなのは有名だったが。
「ニャンと?!あいつは女の子の敵でもあったニャか!」
「そ~~~~」
あはは・・・これは俺の出る幕じゃなさそうだ。
ニャン子女史とJKがタッグを組むのか?
正に最強だな・・・優男に対しては。
「それじゃぁ土安が相手だとしてだな、どう手を打つか?」
相手が教師だけに下手なことは出来ない。
呼び出そうにも方法が見つからないし、学校で捕り物なんて出来っこないし。
その前に、アリシアにそいつを逮捕できるのか?
「それに・・・だ。
アリシアに逮捕出来ても連行できないじゃないのか?」
「良い処に気が付いたようだね、明智君」
・・・なんだよ萌?マジで推理小説にハマリ過ぎなんじゃないのか?
「で?実際はどうなのよアリシア?」
直ぐ抜けたか・・・さすがは萌。
「アルジのユージが言った通りニャ。
逮捕で来ても保安官が来てくれない事には連行できないニャ」
「がっくし・・・そっかぁ~(棒)」
断りを入れたアリシアに、萌が落胆する。
そうだよ、端からそれが出来たら問題無し子だよな。
「アリシアは保安官を探しているんだ。
もっと派手に・・・そうだなぁ、事件を公開出来たら気を惹くかもしれないけど」
「そ~なんだ・・・って。そうなのアリシア?」
俺に訊かずにアリシアに訊きやがった。
俺って信用ないのね・・・
「そうニャ。この星のどこかに居られる保安官を探しているニャ。
どこに居てどんな姿なのかは分からないニャが」
「駄目ダメじゃん、それって」
萌に突っ込まれたアリシアがしょげるけど、ほっとこう。
「だからな萌。もっとこう・・・派手に盛り上げないといけないかもしれんな」
「そっかぁ~、派手にねぇ」
俺に応えた萌の眼がきらりと光る・・・嫌な予感がするんだけど。
ちょっと何事かを考えた萌が、
「派手にとなると・・・誘拐されちゃう?」
「な・・・何言ってんだよ?」
ほら・・・やっぱり。
萌の妄想は危ないからなぁ・・・
「だって、事件だったらそれくらい派手にしなきゃ。
警察沙汰にしなきゃ盛り上がんないでしょ~」
いや、だからと言って誘拐を求めるのはどうかと。
「じゃぁ、どうやって広めるのよ?
ちっちゃな事件だったら揉み消されちゃうよ?」
確かになぁ・・・世界の果てにまで広めるには方法が・・・
「なぁアリシア。お前の秘密道具でなんとかならないのかよ?」
異星人の秘密道具とやらで。
「あるにはあるニャが・・・」
おや?さすがは異星人、なにかあるのか?
「勿体ぶらずに言いなさいよ」
萌が促す・・・と、言うより脅迫したら。
「あるニャが・・・この街を丸ごと消し飛ばしてしまうニャ」
「・・・・は?!」
耳を疑うよりも・・・
「反物質エネルギーを放射してしまえば、街ごと消し飛ばせるニャ」
「反物質?!」
さすがは異星人・・・違うッ!
「駄目ニャ?」
「あたりまえですッ!」
萌が吠えるのを放置する俺。
「そんなことしたら何もかもが、おじゃんじゃんか!」
「そうニャ~?良い考えかと思ったニャが」
危険な奴だなアリシアも。
・・・と、待てよ?
「善いかも知んないぜアリシア」
「え?!マジでゆー兄ぃも、おかしくなった?」
違うから萌。俺の言わんとしてるのはだな。
アリシアの話からヒントを貰ったぜ。
異星人が此処に居ますって知らせりゃ良いんだよな、だったら。
「アリシアの言う異星人の科学を発揮させたらいいんだよ。
この星には無い技術を知らしめたら、保安官だって気が付くだろ?」
「ほうほう?!それじゃぁゆー兄ぃはどうしろと?」
興味を惹いたようだな。
「さぁ、そこだよ萌とアリシア。
なにかとんでもない知らざる物ってのが無いかい?
さっきの検出装置みたいなド派手な印象深い物が?」
世界に未だかつてないような物で、世界中の注目を集めれるようなのが。
「やっぱり、反応弾を落とすニャ!」
「やめんか、糞猫!」
即、拒否ったった。
「ウニャァ・・・何かないかニャ何かないかニャ?」
金色の円環を弄って、ニャン子なアリシアが探している。
で?
パンパカパ~ン
「あったにゃ!これニャ!」
取り出したるモノとは?!
俺はそれが何なのかが理解し辛かった・・・
「なによ・・・それって?!」
あ。
萌もだったか。
アリシアが取り出したるモノとは?!




