輝の中で その1
黒の3連鬼と戦い続けるユージ達。
現世では何も知らない萌が?!
血祭りに挙げられるのは・・・ニャン子W
アリシアは既に気が付いていたのでした。
ユージの姿が消え、機動ユニットからも反応が標されていたから。
「アルジは勝てる筈。
シェキナと交わり、力が倍増されているんだから・・・」
自分の剣を修復してくれたサンダルフォンに、お礼として異能を分け与えたと聞いていたから。
「そうだよねシェキナ?」
質された魔剣<シェキナ>は、もう一振りの魔剣が完全たるものではないのを知って、異能を分け与えたとアリシアに答えるのです。
「まだ、アルジは目覚め切れていないとでも言うの?」
然り・・・と、魔剣。
「それはあなたもなの?」
再び然りと、魔剣が認めました。
「二振りの魔剣が、揃って覚醒出来ていない?
何故?なぜなのかを教えて貰える?」
アリシアの問いに、魔剣が言い澱みます。
「ま・・・さか?」
何かに気が付いたアリシアが、魔剣を問い詰めるのです。
「シェキナ?!アルジの魔剣と一緒にならなければ覚醒出来ないとでも?」
アリシアは剣が交わる事の重大さを認識できませんでした。
唯、人の常識範囲で思いついただけだったのでしたが。
魔剣はアリシアの言葉に異議を唱えません。
「ニャんと?!アルジの魔剣と結婚するのね?!」
・・・アホニャン?意味が違うと思うんですよ。
案の定、魔剣が黙り込んでしまいます。
それを肯定ととってしまうアリシアが眼を輝かせて言いました。
「そぅかぁ~、アルジと私が結ばれる時がくるのねぇ~」
・・・あの?その発言は辞めておいた方が身のためでは?
「守護天使同士がくっつかなきゃいけないとあれば。
当然、持ち主もくっつかなきゃいけないわよね~」
ニョほほ~っ(〃艸〃)ムフッ ・・・笑うアリシアでしたが。
「誰と誰がくっつくって?」
背後に迫っていた脅威に気付いていなかったのです。
「悲ッ?!」
気が付いた時には手遅れ・・・自業自得ですが。
むんず
あっさり捕まるアリシア。
で?そのままニャン子引っ掛けフックに摘まされてしまうのでした。
「ニャンで~?ニャにも悪い事してないニョに~?」
いえいえ。萌さんの前でつまらぬ一言をほざいたでしょ?
「下僕の分際で、主とくっつくですって?身の程知らずにも程があるわ!」
「げ・・・下僕ニャか?」
いやぁ~、久々に聞かせて貰いましたよ萌様。
そう言えば、アリシアは仮初めでもユージの下僕でしたね。
萌の一言でアリシアが、ずど~んと落ち込んでしまいます。
ちょっと可哀想だったかなと思った萌様が、用があって来たのを思い出しました。
「その下僕なアリシアに訊きたいのよね。
ゆー兄がどこに行ったのか知ってるんでしょ?」
ニャン子フックに釣られて、ぷら~んとぶら下がっているアリシアへ訊いてみたのです。
「萌たんは知らなかったニョか?」
ユージから萌が心配するといけないから、誤魔化しておけと命じられてあったのに。
「結界の中だニョ」
つい、下僕扱いされて落ち込んでいたので配慮が足りませんでした。
「結界?!独りで?何をしているの?」
途端に萌が血相を変えて掴みかかります。
ガクンガクン揺さぶられるアリシアが、目を廻しながら白状してしまうのです。
「ドアクダーを迎撃してるニャ~~~」
「何ですって?!迎撃ぃッ?」
ほれ観たことか。萌様が顔色を変えてしまわれたではないですか。
「ユージが?アタシを置き去りにして?」
心配と焦りとが萌の平常心を奪い去ります。
「こんなことをしていられないわ!
アリシア!今直ぐゆー兄の結界に連れて行きなさいッ!」
焦った結果に導き出したのは、戦闘中の結界に飛び込もうと言い出したのです。
「落ち着くニャ!
結界には、中に居る者に呼ばれなければ入るなんて出来ないニャぞ?!」
「そこをなんとかしてよ!」
出来ませんってば。アリシアが無言で首を振りました。
「わぁあああんッ!ゆー兄にもしものことがあったらどうするのよ?!」
焦る萌が泣き出してしまいます。
「大丈夫ニャ!
今アルジは単独ではないニャ。
シンバにゃんとセッカにゃんが付き添ってるニャ」
「えっ?!二人は結界の中に居るの?」
泣くのを辞めた萌が聞き咎めるのです。
「そうニャ!二人とアルジが一緒ニャから・・・」
答えたアリシアは、萌の表情が病んだのに気が付きます。
「あの・・・萌たん?」
訝しむアリシアの耳に、萌の呟きが聞こえたのですけど?
「ふふふ・・・そうか。
あの膝枕は伏線だったのね・・・雪華さんもユージにホノ字だから・・・」
・・・ものすごっく勘違いしておられるようですが・・・
「ドアクダーになんて負けやしないだろうけど。
二人が一緒の方が、ずっと危険な香りがするわ!」
「・・・あのニャ~」
さすがのアリシアも、萌の思い込みにはお手上げなようです。
勝手な妄想に嵌っている萌に、アリシアは別の意味でもお手上げ状態なようで。
「だからぁ、猫掴みは辞めるニャ~」
おや?お手上げでは無くて、動けなくされていただけのようですねW
「あのね京香!」
まだバイトの時間にまでは数時間もあるというのに、<びっくりモンキー>に飛び込んで来た嵐が。
「怪しい奴がユージ君の元へ向かってるの!」
駆け込んで来るなり知らせたのです。
「なんだって?・・・って、嵐。
なんていう格好してんだよ、恥ずかしくないのか?」
まだバイトのシフトに入る前の京香さんに突っ込まれる嵐の姿というのは?
「し、仕方が無かったのよ!偶々プールで涼んでいた処だったんだから!」
お分かりだろうか?
「だからって、お前は!ビキニのまんまで街中を走って来たのかよ?」
ビキニ・・・鑑賞ですが、なにか?・・・(=ビキニ環礁)
「い、急いでたんだからッ!
途中で何人かの男に撮影されちゃったけど・・・ごにょ」
とか言ってる間にも、店内でスマホのシャッター音がしてますけど?
「おい、お前等。今直ぐ削除しないと二度と店から出れなくしてやるぞ」
ぎろり
眼光鋭く、京香さんが睨みつけるのです。
「ぴぃやぁッ?!×6」
店内では、無許可撮影するのはお辞め下さいね(ホント)。
「で?どんな奴なんだよ嵐?」
店内が静まったのを確認して、京香さんが嵐へと質問しました。
「それが。
男だか女だか訳の分からない格好をしてるのよ。
パッと見た目で変態だと分かるくらいのコスプレマニア!」
「・・・コスプレイヤーを馬鹿にしてはいけません」
はい、人を外見で判断してはいけないですよね・・・って。
「京香ぁ~?」
「ふむ。それで?」
話の切り替えが素早い京香さんに、嵐さんも苦笑い。
「それで?
私を呼びに来たって事は、トッポイボーヤ君の元へ向かえって事だな?」
「そう!私が奴の足止めを図るから、京香は知らせに向かって欲しいの」
相手がどれだけの異能を誇るのかが分らない嵐だったのですが。
「時空の狭間で調べたのか?」
相手が如何なる者なのかを、嵐は知ることが出来るのです。
現界と異空間の狭間に忍び、相手の行動を見守っていれば判る事が多いのです。
「うん!アイツはドアクダー幹部。
そして萌ちゃんを略奪に来たんだって言ったんだ」
「なに?!トッポイボーヤ君の義妹ちゃんをだと?!」
京香さんの顔が怒りに紅く染まります。
「そうなんだよ京香。
だから一刻も早く知らせて欲しいのよ」
「なるほど!・・・でも電話では駄目なのか?」
スマホを取り出した京香さんが、ユージ宛てのダイレクトメールを送ろうとしましたが。
「ありゃ?!通信が不能状態になってる?」
広域障害が発生していたようです。
「私もいの一番で電話を掛けようとしたのよ。
だけど、どうやっても通信が出来ないみたいなの。
勿論固定電話だって同じ・・・公衆電話も試したわ」
「敵も然るものだな・・・」
この相手は油断できない。
これ程の大々的侵略は、嘗てなかった事でした。
だから着替える暇も惜しんで、嵐は走って来たのです。
「京香しか頼れないと思ったから。
それに私の格好じゃぁ、目立っちゃうでしょ?」
「あらゆる意味で目立つな・・・ビキニは」
京香は嵐にシャツを脱ぎ与えて、自分は制服のワイシャツを羽織ります。
「言っておくぞ嵐。
無茶だけはやめてくれ、また姿を見せないなんて真似だけは止せよ?」
「分かってる!ユー君にも逢いたいからね」
頷いた嵐は、羽織らされたシャツのボタンを留めると。
「さぁ!早くユージニアス様の元へ向かって」
勇者剣士の名を出して、おどけてみせるのでした。
「きっと・・・無事でいろよ嵐」
顔を引き締めた京香が、踵を返して走り始めます。
野良家に向けて・・・
「友達に頼めたことだし。
それじゃぁ、私の務めを果たしに行きましょうか」
嵐はユージとの約束を果たす為に歩き始めます。
「狐憑き状態を終わらせられるかもしれないな。
この躰が消えてしまえばもう、宿られるなんて気にせずに済むのだから」
嵐は知っていたのです。
男装のドアクダーは、自分よりも遥かに強いのだと。
闘っても勝ち目なんて無い。
でも、恩を少しでも返せるのならばと思っているのでした。
「京香・・・頼んだわよ?!」
足止めすれば・・・数秒でも遅らせれば、それだけ京香に与えられる。
決死の嵐が異能を発現させたのです。
疾風の嵐としてではなく、独りの地球人として。
持てる力を全てぶつけるように。
強大なる敵を、少しでも釘着けにするために・・・
一方、野良家の異界では。
「次が勝負だぜ剣士よ!」
黒の3連鬼とユージ達の闘いが続いていたのでした・・・
ヤバイです!
ランまでもが覚悟を?
一体どうなってしまうのか?
その前にユージ達の戦いを観て見ましょう?
次回 輝の中で その2
悪の3連鬼に挑むユージ達。今、最期の刻を迎えようとしていたのは?




