第19話 ~道中にて……
別の小説、一応一次選考突破してたっぽい。
存在を忘れていたよ、…それが分かっていたら何とか頭を捻って更新するよう頑張ったのに。
お陰様で二次は落ちました!
現在、婚約者であるエジュル嬢へ会いに行く途中である。そう…旅空の下を俺、いや…俺達は王都にある神殿を目指している。父上と母上、ネムとダリアを含めた使用人の五人。ネムとダリアはゴブリン100匹程度ならば余裕で狩れる程の実力、他の三人も雑魚モンスターならば瞬殺出来る程の技量。そこに父上と母上が入るわけで、…ぶっちゃけ何処ぞの領地を滅ぼせる程の過剰戦力である。
しかしながら、俺達が対峙するであろう存在は悪魔。伝説にも出てくるヤバい存在、この戦力でも勝つことは出来ないだろう。攻めいるわけでもない為に、私兵団を引き連れるのは駄目。苦渋の決断で私兵団から腕利きを五人、この戦力ならば小国を落とせると確信が持てる。…が、これでも勝つことが出来ないであろう存在が悪魔なのである。
婚約者であるレイチェル嬢を助けたいのは分かる、しかし…死にに行くようなものじゃないかと思うだろう。…ところがどっこい、そうはならないと俺は信じている。何故ならば、俺には精霊がいるわけで。ただの精霊ではなく中位である、光と闇に限っては上位。しかも母上に憑いていた悪魔を討伐済み、実績のある凄い精霊が俺と共にあるのだ。
なら安心じゃん、…と思うことなかれ。万が一というものがある、…精霊を信じていないというわけではない。ただ…過信し過ぎはいけないと思うわけで、…何故なら相手は悪魔なのだから。…それに対峙する場所は公爵家、敵の本拠地というべき場所である。何かしらがあるかもしれないと警戒するのは当たり前、石橋を叩くぐらいが丁度いいと考える。
…だからこそ、先に会う婚約者をエジュル嬢にしたのだ。悪魔を討伐する為に、レイチェル嬢を助ける為には情報が必要。古くからある神殿に、精霊を司る神聖な場所に何かしらの情報があると思う。その情報を入手してから考えるのもありであろう、それからでも遅くはない…筈。あるよね? …情報、悪魔に関する伝承とかそこらのモノがさ。
…そういうのも含めて早くエジュル嬢に会いたい、…ぶっちゃけそれがメインです。父上と母上の話では大層な美人、周囲の噂では化物。まぁ…後者はこれっぽっちも信じてはいない、スキルとかそこらでそう言っているだけだと思うからね。信じるのは勿論前者さね、…美人という話に食い付かない男子はいない。…レイチェル嬢も美人らしいし、…俺ってば勝ち組? …全ては悪魔の討伐に懸かっているけど。
この旅空の先には婚約者であるエジュル嬢がいる、この旅空の終着にはレイチェル嬢と悪魔がいる。色んなドキドキが待っているわけで、…なかなかにハードである。俺を含めた一三人は王国最強の少数精鋭、されど精霊なくして悪魔に勝つこと等不可能。それどころか生き残れる保証が全くない、…精霊がいるから全くではないが不安なのは間違いない。故に俺達は少しでもいいから生き残れるように…、
「父上に母上、野営の準備が整いました。」
村や町には寄らずに野営をする。精霊達と共に行動することで互いの力を高める、自然と共にあることが重要なのだから。
村や町に寄れば、貴族専用の高級宿に泊まらなければならない。そうなれば俺達は何も出来なくなる、何故ならば全てのことを宿の者が手配してくれるからだ。何せ俺達は貴族、一般の者…庶民ではないからだ。その方が楽でいいじゃないかと思うだろう、…正しくその通りではある。しかし精霊と自身の成長にはならない、属性に関係があるであろう行動を自身で行わなければならないのだから。…だからこその野営なのである、野営は全てを自身の手で色々とやらなければならないが故に。
…そんなわけで野営である。なるべく見晴らしの良い広い場所、大きな木の下で水場があれば完璧。前世の記憶でそういう場所が良いって何かに書いていたような? …どういうわけか、野営をしようと考えればこういうベストな場所が見付かるのだ。十中八九…精霊達のお陰、俺を導いてくれているのだろう。当然のことながら、俺は…俺達は精霊達に感謝の念を送る。
…『ありがとう。』と。
その瞬間、周囲の空気がきらめいた…ような気がした。
父上の二つ名である黒炎にて着火された薪を囲む俺達、黒い炎を囲むってのが凄いよね? …普通に見たら魔族に間違えられそう。だってどう見ても何かしらの儀式をしているみたいじゃん? …実際はこの黒い炎で料理をしたり、ただ単に談笑をしているだけなんだけどもね。黒い炎で作られた簡易のシチューは絶品でした、《料理》というスキルを持つ俺が仕上げをしたんだから当然さ。
…で、食事を終えた俺達は現在談笑中、特に母上がはしゃいでいる。得意のリュート? とかいう楽器を弾いて歌っている、…美声ですね。そしてその歌声を聞きながらの談笑、…かなり優雅な野営となっている。そんな中…、
「…しかしミュゼ達が実践して効果があるとは聞いていたが、自身で試してみればなるほど…と納得が出来る。…常日頃から精霊への感謝を忘れたことがない、…が共に成長せんとして行動したことはなかった。…行動してみれば実感することが出来た、僅かな期間の中でのこの効果…驚きしかない。」
父上が食後の紅茶を飲みながらそう言ってきた。…まぁ精霊というのは見ることが出来ない存在だからな、見えない存在と共に成長するっていうことが想像出来なかったのは仕方なし。神に祈るが如く感謝の念を送ることは出来るけど、見えない存在と共に…ってーのはね。普通の人間であればそれが普通、…この世界にはその普通っていう人間は少ないけど。精霊はただの道具、そう考えている者が大多数だもんね。
そんな馬鹿共とは違い、父上達は知らぬ間に精霊達と共に最低限の成長はしている。その最低限で父上と母上の精霊は中位に、それがどんなに凄いことか。…その凄い父上達を更に凄くする為、精霊達と共に成長するということを意識して行動して貰っている。今まではそんなことを意識していなかった、まぁ見えないんだから当たり前だよね。
だが…これからは違う、何故なら…精霊達の姿が見えるから。いや…正確には俺が見えるからってこと、そして俺が見た精霊の姿を絵に書いて見せている。故にイメージがし易くなっているわけで、俺から見てもいい感じ。まだぎこちないが、それもいずれは解消されて更に良い関係が築けるだろう。
「ミュゼに言われて共に行動するよう心掛けてみればなかなかどうして、…今まで以上に属性魔法がスムーズに出るようになった。そして何より…、今まで以上にその存在を感じることが出来るようになった。この歳にもなって更なる成長が見込めるとは、…それが何よりも嬉しいぞ。」
父上も上機嫌であるし、父上の精霊も嬉しそうにその傍で漂っている。うんうん…善きこと哉、これからのことを考えて少しずつでも成長せにゃならん。
父上が精霊と共に在るのなら、当然…母上も同じように精霊と共に在る。母上の奏でる音色と歌声、これは母上と契約している精霊が力を貸している。…というか一緒に歌っている、だからこそこうも周囲に響くんだね。母上ははしゃいでいるけれど、…無理にはしゃいでいるんだろうなと思う。今から向かう場所は神殿だけど、最後にはあの場所へと向かうわけだからな。悪魔のいる場所…少なからずトラウマとなっているだろうから少しでもってヤツ?
…父上と母上はまだまだ、付け焼き刃であるのは間違いない。ネムやダリア、その他の使用人や私兵団は二人以上の同調性を持つが格は下位。…やはりこの俺が人一倍気合を入れなきゃな、…と言っても光と闇の精霊に頑張って貰うわけだけど。…当たり前のことだが、何だか心配してばかりだなぁ。…気負いすぎてもダメかな?
何だかグダグダと考えている俺、それについては許して欲しい。…何度も言うけど不安なんだよ、…悪魔に勝てるのかってね。精霊がいるから大丈夫だと信じてはいる、いるけど不安は残るもんさ。人間なんざ弱い生き物、…改めて思うよ。…だからこそ互いに慰め合う、強者である父上だって恐がっているんだから。…上機嫌に紅茶を飲んでいるけれど、その手には微かな震えがある。母上は当事者だから言わずもがな、ネムやダリア達だって恐いに決まっている。
だけどさ、…それでも進むと決めたからにはってね。悪魔が更に強大となる前に、…婚約者と決まったからには救う。それが俺の使命…と思うようにする、頑張れ男の子ってヤツ?
まぁ恐いもんは恐いんで、旅空の下では父上と母上の間で眠ることにします。………文句あるかい?
今月までに何とか一〇万文字を……!
しかしながら、仕事故にままならぬ。
うーむ……。




