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閑話 ~私はキャロル・オズワルド ーヒロイン sideー

大好きな乙女ゲームである『エレメンタルナイツ』のヒロインに転生した私。原作通りに両親共々侯爵家から放逐、その後両親は奴隷落ちして私は孤児院へ。そこで愛想を振り撒きながら素質調べの日になり、…原作通りの六属性となりました!


私の素質と可愛さのお陰で無事に、オズワルド男爵家に養子として引き取られることになったのだ! 私の人生はこの先バラ色、成功を約束されたも同然! …だけどちょっとだけ気になることがあるのよね。一つ、存在しない筈の双子の片割れの行方。二つ、引き取られる先がロゼッタではなくオズワルド。…この二つのことが気になるんだけど、…気にしすぎかな?







そんなわけで私はオズワルド男爵家に引き取られた。原作とは少しだけ違うっぽいけど、引き取ってくれたオズワルド男爵家の人達はとても優しかった。私のお父様になるのがセバス・オズワルド、温和で背が低くてやや小太り。出来る限りの範囲で私の望む物を用意してくれるだだ甘な人、そんな彼を本当のお父様と慕うのに時間は掛からなかった。物欲? それも少なからずあるけど、人柄が好ましいのよね。やっぱり優しい方が良いじゃない? 生活していく上ではさ。


そしてお母様になるのがミリエ・オズワルド、お父様とは逆に凄く背が高くてモデルみたいな美人さん。過去に魔物の氾濫にて大怪我を負い、子供の産めない身体になってしまったらしい。子供が欲しかった彼女は失意のドン底にいたが、お父様の愛にて復活。貴族同士の暗闘に勝利して今回の養子権をGET! 私が男爵家に来る日をずっと楽しみにして待っていたみたい。引き取られて早々…着せ替え人形にされたもの、お父様と同じように私を猫可愛がりする未来が見えるわ!


使用人達も優しいし、…本当にオズワルド男爵家に引き取られて良かった! これなら未知の領域である貴族の養子も安心ね、幸せを感じながら学園入学の日まで楽しく生活が出来そう。流石はヒロイン、神に愛されている存在だけあるわ!







貴族の生活に慣れてきた私、このままへらへらとしている気はない。これから先の生活の為、学園生活をより良くする為に情報収集よ! 石橋を叩いて何ちゃらってヤツ? 幸せの為に頑張るんだから! …私ってばヒロインの鏡よね、出来る女だわ。


まず私と年齢が同じくらいの子を調べてみたら、…ぼんやりとだけど『エレメンタルナイツ』のことを思い出した。思い出したと言っても、ヒーロー数人とライバルのことだけ。…まぁそれだけなんだけど、知らないよりは知っている方が得よね? …え~と。


一番有名なのはこのフェルミナ王国の第一王子であるハルバルト・ゼクス・フェルミナ様、文武両道の誉れ高い六属性持ちのメインヒーロー。今のところは原作通りに成長しそう、金髪青目の正統派イケメンにね。前世でもユーザー人気No.1の王道キャラ、月をバックにしての告白イベントには全国の乙女達が萌え死んだとか…。現在は私より二歳年上の七歳、既に魔物であるスライムを数匹討伐したとの勇名? で年下貴族令嬢からチヤホヤされているらしいよ?


………原作ではハルバルトという名前だけだったのに、何かゼクス・フェルミナというのが増えている。フェルミナは王国の名で王子は王族だから分かるけど、ゼクスって六の意味を持つ言葉よね? …六属性だからゼクスなの? …何かダサいと思うのは私だけ? それにスライムとかって最弱の魔物じゃん、孤児院時代に私も倒したよ? それだけで勇名轟くってさ、……変だよね?


続いてフェルミナ王国の宰相である公爵家の長男ジオス・フュンフ・ザッフェル様、超絶クールな知性派眼鏡なイケメン。無愛想で口が悪いけど、時折見せてくる優しさにユーザー乙女達はキュンキュンした。…フュンフというミドルネーム? の通り五属性持ち、ハルバルト様の親友である。ハルバルト様と同じく七歳で私の年上、ハルバルトと同じくスライム殺しを経験済み(笑)


思い出したヒーロー最後の一人、精霊騎士団団長である侯爵家の長男ゴディム・フィーア・ダリゴール様。浅黒長身のややマッチョなイケメンで俺様キャラ、草食系の多かった前世でやはり人気のキャラであった。フィーアの名が示す通りの四属性持ち、最年少最大討伐数を誇るが故にスライムスレイヤーとかって呼ばれているみたい。スライム如きにスレイヤーとかって使うなし! …当然のことながらハルバルト様の取り巻きで幼馴染、私の一歳年上の六歳らしい。


…他にもヒーローがいる筈だけど、思い出したのはこの三人。他のヒーローは同世代か年下だから情報があまりなかった、…それは追々分かることだからいいけど。…思い出した三人のヒーローは原作通りに成長する人達なのかな? 今のところはそうなりそうだけど。ゼクスやらフュンフやらフィーアやら、…何だか自慢が見え隠れしているけど何なんだろうね? 私も六属性持ちで多少は調子に乗っているけど、…名前にそれを示す言葉を入れるのは違うと思うのよね。ちょっとだけ萎える、……みたいな?


情報というか名前だけしか今のところ知らないからなぁ~…、幼い我が身故に仕方がないことだけど。実際に会ってみないと分からない、原作通りならめちゃくちゃ嬉しいけどね。…とにかく名前も知れて原作のヒーロープロフィールを思い出せたんだ、お近づきになれるよう頑張ってみますか! まぁミドルネーム? やスライム如きで意気がっている所は減点だけどもさ。







用意されたお菓子をパクパク食べながら、ヒーローの三人と同じように名前だけ知ることが出来たライバルのことを思う。『エレメンタルナイツ』二大悪女の一人、ハルバルト様の婚約者となるレイチェル・アンデバラン公爵令嬢。悪魔に魂を売り、多くの人々を生け贄にして力を求めた。その美貌でハルバルト様を魅惑し、王国を手中に収めようと暗躍するも失敗。その腹いせに城下町を廃墟に変え、多くの人々を虐殺した後に姿を消した。


Ⅰでは学園で好き放題に過ごし、Ⅱでは更に残虐な本性を現して王国を恐怖のドン底に落とした残虐女。魔王ですら手玉に取るその生き様にユーザーの大半は彼女を嫌った、…因みに私は大好きでしたよ? めちゃくちゃ美人なお姉様だし、悪の華って感じがしてカッコいいし。


原作では物凄い悪女だったけど、私の今いるこの現実ではどうなのかしら? 昔から残虐なのかな? …気になる。情報によると、貴族同士の社交場であるパーティーとかお茶会等には姿を現さないらしい。アンデバラン公爵家にツテのあるお父様は沈痛な表情で…、


「レイチェル嬢は可哀想なお方だからな。…本当に貴族というのは欲深い、…私達も気を付けねば。」


と何やら気になる言い回しを。…レイチェルは可哀想な人なの? …レイチェルのことを聞こうにも教えてくれない、逆に私のことを心配してくる優しいお父様。…よく分からないけどまぁいいか、もぐもぐ……何このお菓子美味しい!!


…でもう一人の悪女の名はエジュル・ラングード、思い出した三人以外のヒーローの婚約者。聖女の皮を被った魔人、魔を統べる女王と呼ばれる神官紛いの魔物遣い。優しい笑顔の仮面を外せば、憎しみという激情を顔に浮かべる狂人。貴族や平民を問わずして自身の(しもべ)である魔物に生きたまま食らわせる、殺した者達の首で戯れる姿を描いたスチルは色んな意味で問題となった。


彼女は何故…狂人となったのか、…それは原作には描かれなかった。ヒロインに対して彼女は優しかった、しかし徐々に変貌していく彼女の様にユーザー達は恐怖した。…でも紅い満月を背景に妖しく嗤う彼女の姿、…私は好きだったなぁ~。Ⅱで彼女は公衆の面前で処刑されてしまう、最後までその生い立ちは原作の中で語られなかった謎キャラ。プレイする前に死んじゃったから分からないけど、Ⅲで何かが分かったりしたのかな?


彼女もまた、レイチェルと同様に表舞台へは出てこない。一体何故なのか? それは誰にも分からない。お父様はレイチェルのことならある程度知っているっぽいけど、エジュルのことは殆んど知らない。知っていることといえば、物凄く珍しい属性とスキルを持っているってことだけ。…エジュル・ラングード、原作と同様で謎の人物…か。







追加されれば追加された分を食べまくる私、…お菓子が美味しすぎて止まりませんぞ! 流石は商人系貴族のお父様、美味しい物を知っていらっしゃる! 美味しいお菓子を用意してくれるお父様を尊敬しつつ、最後の情報を思い出す。


…原作通りであったのなら、私はロゼッタ男爵家に引き取られる筈だった。だけど私はオズワルド男爵家に引き取られたわけで、…ロゼッタ男爵家はどうなっているの? という単純な疑問。集めた情報によるとミュゼ・ロゼッタという長男が存在しているようで、両親と使用人の他に領民からも愛されている模様。大半の貴族達からは奇人・変人と言われて馬鹿にされているみたいだが、ある一部の貴族達は逆に好意的。因みに私の両親は好意的に見ているみたい、…ということは婚約者候補に入るかもってヤツ?


…………会ったことがないから何とも言えないけど、大半の人達からは奇人とか言われている子だよ? はっきり言って奇人は嫌だよ私は。…やっぱりヒーローの誰かと結ばれたい、乙女ゲームのように逆ハーレムは流石に狙わないけどさ。寝取るのも心情的に避けたい、…そう考えると今の段階からヒーローの誰かと知り合わないと。


…先のことに意識を飛ばしながら、お菓子をパクつく私。夕食に呼ばれるまでお菓子を食べ続けていた、勿論…夕食も綺麗に食べましたよ?

うろ覚えのヒロイン。


因みにこのヒロインは悪い娘ではないですよ?

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