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第17話 ~右目を隠す眼帯

暑さにやられとりました。


考えが纏まらないでやんの。


皆さん、…熱中症には気を付けましょう。

我がロゼッタ領に住む領民達もぶっちゃけ、…常軌を逸しているっぽい。このフェルミナ王国が誇る精霊騎士団、そして精霊術士団の団員ほぼ全てが成体に至っていない。そして国全体を見ても幼体が九割近くを占めており、成体に至っているのは一割あるかないか。そのあるかないかの一割を占めているのがロゼッタ領、そう考えるとヤバいよね? 国の精鋭よりも精霊が凄い一領民、…この国の未来が心配だ。


我が家の危機を未然に防ぎ、精霊のことも色々と分かった。無能の真実も知り、我が領地が凄くてその他が全然ダメダメなのも知った。そしてこの俺自身も知らぬ間にパワーアップ、更なる進化を遂げている。成長が止まるってことはないと思う、俺…まだ五歳だし。何というか短期間で色々とありすぎる、…しかもこの先イベントが多い。三日後、いや…もう二日後か。俺、…王都の神殿へ行くことになっているし。そう、婚約者の一人であるエジュル嬢との顔合わせがね。







二日後に王都へ行くことは決定しているわけで、考えるべきことは先送りに。さっきも言ったけど悪魔の件は考えても無駄だし、精霊のことだってやるべきこと何かない。まぁ今回の件はエジュル嬢の親である神殿長にも教え、…悪魔のことが少しでも分かれば儲けものだと思っている。『精霊教会の総本山だし少しは知っているでしょ。』とは母上の言葉である。


それはいいとしてだ、問題は俺の目だよね。オッドアイになってしまったから魔眼だってことが一目瞭然、やはりこれをどうにかしなければならない。父上達も隠すべきだと言っているし、……眼帯でも作るべきかな?







そんなわけで、魔眼を隠す為の眼帯を作ることにした。父上と母上、使用人達は婚約者の下へ行く為の準備に追われている。一応…悪魔対策もするみたい、効果があるかどうかは分からんみたいだけど。そりゃそうだよね、…謎が多いわけだし。だけどしないよりはした方がいい、…気持ち的にね。


そこらのことは父上達に任せ、俺は魔眼である右目を隠す眼帯を作らねば。物作りは得意だからね、スキルはないけど何とかなるさ。なかろうが日々物作りをしていればスキルは入手出来る、《ステータスオープン》を入手して知ったこと。日々の行動は自身に還ってくる、スキルや称号としてね。勿論悪いことをすればそれも自身に還るだろう、故に俺は俺なりに良いことをしていくつもりなのだ。目指せ、最強の男の子!


…というわけで、ネムとダリアが用意してくれたフォレストホーンの革。修行中に遭遇した魔物の皮を鞣して作られた逸品、革鎧にも使われる良いモノである。そんな革を使って作る眼帯が弱い筈がない、気合いを入れて作るぞ! …おりゃーーーっ!!







ネムとダリアの補助を受けながら、俺は黙々と眼帯を作る。細かい作業が多く集中せねば作れない、それでも楽しいから物作りはやめられんのですよ。伊達に《建築》《家具》を持っとらんわけで、次は《装飾》ってか?


作り始めてから数時間、…凝り性の為に時間が掛かってしまったが遂に完成した。


〔牛革の眼帯〕フォレストホーンの革で作られたお洒落な眼帯(高位隠蔽中→)


《聖魔の瞳》を発動させて出来を見てみれば、…なかなかの物みたいだ。あれだけ凝ったんだからお洒落判定が付くのは当たり前さ、良い仕事をしたみたいだな俺。…しかしながら高位隠蔽中とは何ぞや? そんなことを思いながらその表示を見ていると、…何やら点滅し始めて、


〔封刻の眼帯〕〈刻〉の精霊を中心に十二属性の精霊によって隠蔽の恩恵が与えられた眼帯。《聖魔の瞳》以上の魔眼・鑑定系スキルでなければ見破れない。《聖魔の瞳》のみを完全に隠蔽出来る精霊具。


牛革の眼帯が封刻の眼帯という物に変わりました。それを見た俺は……、


「………ふぁっ!?」


当然驚きましたとも。大袈裟過ぎる程に仰け反ったが故、ネムとダリアに心配されたけど。…こんなのを見たら誰だってこうなるさ、…ねぇ?


凄まじい物を作ってしまった俺、…こんなのを作れるとヘタな奴に知られたらヤバいな。まずは父上と母上に報告して判断を仰ごう、うん…それがいい。万が一…物作りを控えるように言われたら、…そこは拒否させて貰うけどね。物作りは俺にとって癒しみたいなもの、禁止されたら俺…泣いちゃうぜ! 修行の合間の癒しは大切なのさ。







心配するネムとダリアに大丈夫だと言って落ち着かせ、作り上げたヤバい眼帯を着けてみた。するとどうだろう、俺の右目に超フィット。何か気持ちいいし守られているような感じがする、…視界が半分になっているのも気にならない。凄いぞ俺、流石は精霊具、ありがとう精霊達よ! …ってヤツだな。


眼帯を着けた俺は、ドヤ顔でネムとダリアに見せびらかす。鏡を見ていないからどんな感じかは分からない、たぶんだけど強面がパワーアップしたんじゃないかな? 強面眼帯五歳児爆誕って感じ? …そんな俺の顔を見た二人は頬を染めて、


「…ああ坊っちゃん、…ミュゼ様。…五歳でその貫禄、…流石でございます。」


「将来は王国一の偉丈夫となりましょう。…素敵です、ご婦人ご令嬢の視線を確実に独占すること間違いなしでございます。」


と大絶賛。そうかそうか、モテ街道まっしぐらか。……こりゃあ大変だな、母上の言っていたハニートラップ的なことに気を付けなければ。…悪魔に憑かれているレイチェル嬢は分からんけど、エジュル嬢は大丈夫かな? ネムとダリアは大絶賛、…婚約者はこの姿を気に入ってくれるだろうか? ビビられて泣かれたらどうしよう、…ちょいと心配だぜ。


今回作った物が精霊達のお陰でヤバい装飾品になった。そこを考えるに、俺が以前作りまくった家具紛いの物やちょっとした建築物とかは大丈夫だろうか? 心配になった俺は眼帯を外し、自身が作った物を確認して回った。…そしたらまぁ予想通りと言いますか、…幾つかは眼帯と同じようにヤバいモノであったと言っておこう。…マジでヤバいよね? このことも父上と母上に報告をせねばならないだろう。…苦労を掛けてしまうなぁ~、…俺って奴は。







…で夕食の時間、作った眼帯を着けたまま食堂へ行けば、


「まぁミュゼちゃん! イカす…ね!!」


俺の姿を見た母上が小躍りして大絶賛、…元気が良いなぁ~と思いつつ眼帯のことを説明すれば、


「見た感じはただの眼帯、しかしその実態は精霊具か…。魔導具以上の物をこの歳で製作するとは王国一…いや、世界一の男となろう。」


そう言って頭を撫でてきた。眼帯を着けている時と着けていない時とでは纏う魔力も違うようで、これならば魔眼を隠し通せるだろうとのこと。それに世間ではこの俺…奇人みたいですから、眼帯を着けていても変に思われないだろうと。それについて母上が怒り出すけど、俺的には都合が良いからね。母上にはその怒りを抑えて貰わなければ、…どうどう。


母上は俺のことでよく暴走するけど、何というか愛されているなぁ~と思う。正直鬱陶しいと感じることがあるけど、まぁそんなもんだと諦めていたりする。母上はともかく父上は何やら考え込んでいる、…本当にご迷惑をお掛けします。…幸いなことに物作りをするなとは言われなかったが、作った後の鑑定は必ずするように言われた。ヤバい物が不用意に外へ運ばれることを防ぐ為、うん…当たり前だわな。


…精霊具が作れるのなら、…魔導具も作れたりするのかな? それが出来たら無能と呼ばれている万能な人を我が領地に………。父上達に苦労を掛けているのにそんなことを考える俺、…どうにも面倒を呼び込む男のようだ。…母上に似たのかなぁ? …血は繋がっているし。

次話はどうすっかな?


そろそろヒロインの近況でも……。

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