お腹…♡
「ズグオオオオオオオォォォォォォ…。んぴぃ~…♡」
鼻提灯を…ぶら下げて。
魔剣フーコ…が、僕のお腹の上…で眠ってしまった…。
いつもの『炎』…は、出しておらず。
ほんのり…と、あたたかく…気持ち良い。
魔剣フーコ…の『刀身』。
鼻なんて…あったの??
魔剣フーコ…の『刀身』の表面から…なぜか、出ている…『鼻提灯』…が、萎んだり…膨らんだり。
「んぴぃ~…♡んぴぃ~…♡」
音…を、奏でる。
そして…。
ずっしり…と。
魔剣フーコ…の、なかなかの重み…が、僕を『キングサイズ』の『ベッド』…へと、深く沈み込ませる。
そう…。
僕…シュンタロ…は、魔剣フーコ…を抱っこして…。
右に、マナさん…。
左に、羅那…。
一本足して、『4本』の『川の字』…に、なって眠っていた。
「お…。重い…っっ」
静かにしなきゃ…と、想いつつ…。
想わず漏れ出る。心の声。
不思議なことに、鋭利なはずの…魔剣フーコ…の『刃先』や『エッジ』?の部分が、肌に当たっても斬れておらず…痛くない。
斬ろうと想わないと、斬れない…魔剣フーコ。
『炎』…も、然り。
燃えよう…と、想わないと…燃えない魔剣フーコ…の『刀身』。
いつか…。
魔剣フーコ…を、自在に『剣』…として、僕…シュンタロ…が、扱える日が、来るのだろうか…と、想う。
それにしても…。
重…い…。
「んしょ…」…と。
僕…は、なんとか…魔剣フーコ…をベッドに置いて。
ゆっくり…と、起き上がる。
「ぐぎゅるるるるぅ~…」
僕の『空腹音』…が、静かな夜更けに…鳴り響く…。
「お…、お腹…減った…な…。喉も…カラカラ…」
【体力】は、だいぶ回復していると想う。
ちなみに、【魔力数値】…と、呼ばれるものが、『感覚的』に自分の身体の中に充満して…駆け巡っているのが、分かる…。
「これが、【魔力】…か…」
そう…想いながら…。
僕が、寝かされていた『キングサイズ』の『ベッド』…を出来る限り揺らさぬよう…。
羅那…マナさん…フーコ…を、起こさぬよう…。
ゆっくり…と、羅那の裸に近い格好を…見ないようにして。
羅那…を、跨いで…床に降り立つ。
「ふ~…」
辺りを見渡す…。
僕が、転げ回り、悶絶していた台所が、月明かり…の小窓に…うっすら照らされている…。
冷たい岩肌が、研磨され…『ツルッツル』になった…滑らかな床…。
「ヒタッ…ヒタッ…」…と。
裸足の足の裏…が、床に…くっつく度に…。
ヒヤッ…。…として、気持ち良い…。
「ご飯~…。ご飯~…♡と…♪」
きっと…。
ご飯は、作って置いてくれているはずだ…。
言わずもがな…。やさしい…マナさん。
なんだかんだ言って…作ってくれる…羅那。
フーコ…は、暴れていただけに違いない…。
いや…。
歌でも歌って踊っていたんだろう…。
フーコ目線では、料理する羅那とマナさんの応援…。
きっと…。
そう…。想いながら…。
台所…に、入る。
「あった…」
テーブルの上に…。
『山盛り』に置かれた…大皿…。
『料理』…の数々。
『バイキング』が、『ビュッフェ』形式で、『オードブル』に並ぶ…数々の品々…。
まだ、冷めやらぬ…芳醇な…薫り。
豊かな味わいが、脳内に想起される…。
僕…シュンタロ…の、口腔内の奥深くより…。
消化を助けるための『アミラーゼ』…と、呼ばれる『酵素』…が、よどみなく溢れ…とめどなく…湧き出る。
…羅那…と、マナさん…の、『手料理』…。
『ご飯』…。
手を延ばせば…。
すぐ、そこにある…。それ…。
「バッチィィィィーーーーン…っっっっっ!!!!!!!!!!!!」
…っっっっっっっっ!!!!!!!????????
手を触れようとすると…。
麗しき『手料理』の数々に…。
『半球体状』の…『紫ピンク』…の『電光』が、月明かり漏れる夜の台所の宙空に…走るぅ…っっ!!!!!!
「痛っ手ぇ~…っっ!!!!!」
手が、ビリビリ…する。
傍目には…、月夜に浮かぶ夜の台所…に、『手料理』…の数々が、大皿…に盛られているだけなんだけど…。
さっき…。
『手料理』を囲い…覆うようにして…『半球体状』の…『紫ピンク』…の『電光』が…。
稲妻…のように、光った…。
もとの現実世界の『アニメ』で見た…【多重積層魔方陣】による【結界】…のようだった…。
「ぐっ…っっ!!!! 羅那…!!マナさん…!!!!」
たぶん…。
防腐…防虫…効果のある…【簡易結界】…なんだろう…。
それにしても…。
強力…っっ!!!!!
あの二人の…【魔力】…が、とんでもない【レヴェル】…ってことか。
ちなみに…。
僕…シュンタロ…は、マナさん曰く…。
まだ…。
【レヴェル『1』】…。
遠い目をする…僕…シュンタロ…。
その視線の先に…。何が、見えるというのか…。
…と、『水』…っっぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!!
月明かり…に、揺れる…。
僕の『背中』を『数時間前』に、強打した…『タライ』…の中の……『水面』…。
「水…が、あるぅ~…っっっっっっぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!」
思わず『絶叫』して、「ハッ…!!」…と、する。
「しまった…!!」…と、振り返るも…。
三人…は、寝てる…。
「「 んぐおおおぉぉぉぉぉ~…!!!!!!!!すぴ~…♡ 」」
相変わらず…。
凄い寝息…だ。
羅那…。フーコ…。
マナさんも、目を閉じて…よく寝ている…。
「ふ~…」
僕…は、口唇を、細く尖らせ…。
2度目の深い息を、胸の奥深くから…吐いた。
さて…。
水…。水…と。
心を鎮め…『タライ』…に、近づく…。
指先に…ぴちゃ…。
舐めて…ぺろり…。
「ふむ…」…と、うなずく。
この【世界】…の『水事情』…は、知らないが…。
舐めて…びっくり!!
冷たくて軟らかくて、美味い…っっ!!!!!!!
透きとおる…透明度高い…味わい…。
「ふむ…」
もう一度…。
うなずく…。
「イケる…」
内心、そう想いつつ…。
久しぶりの『水』の…『旨み』…と、喉の『渇き』に、唸る…。
『言葉』が、漏れ出る…。
「いただきます…」
心の中で、静かに手を合わせ…。
ひとくち…。ふたくち…。
ゴクッ…。ごくっ…。
「んはぁ~…!!うめぇ~…♡!!!!」
『アニメ』…の『主人公』のような『言葉』が、思わず口から出る…。
数秒後…。
「ぐぎゅるるるるるるぅぅぅぅぅ~…っっ!!!!!!!!!」
『空腹音』…とは、やや異なる『音』…が、空き過ぎたお腹…より、やや下の方…から、激しく鳴る。
腹を下したのだ。
「ふおおおおぉぉぉぉ…っっっっ!!!!!!!ぐおおおおおぉぉぉ…っっっっ!!!!!!!!痛デデデデデデ…っっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!」
ひっくり返りそうな…。
『痛み』と『冷や汗』…と、ともに…。
例の『アレ』…が、『んぴぃ~…♡』…と。
漏れ出てしまいそうだ…っっっつ!!!!!!!!!!!!
「…ぶっっっ…」
い…イカン…っっ!!!!!!!!!
『出口寸前』…だっっっっっっっ!!!!!!!!!!!
僕…は、鍛え上げることの無かった…『インナーマッスル』…に、最大最高の『力』…を、込め。
大聖堂の『入り口』の黒き『門』…。
その『出口』…へと、『ダッシュ』…するぅ…っっ!!!!!!!
「だぁ~…っっ!!!!!!シュっ…っっっっっ!!!!!!!」
ドゴオオオオオォォォ…ン。
僕は…。
『門』に、ブチ当たり…。
『悶絶』するも…。
『扉』は、開かず…。
倒れる。
そりゃそうだ…。
羅那…の『スキル』【極金剛力】じゃないと…。
開かない『多重扉』。『超ド級』の『重量』。『黒き門』。
「少し…出た…」
液体状の何かを…。
『尻』に感じつつ…。
涙目になり…倒れた。
近づく『足音』…。
羅那…が、来た。
「んん…?どうしたぁ…?シュンタロぉ…?」
眠たい目を、コスリこすり…。
真の【全界の救世主】…羅那さん…が、あらわれた…っっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!
「ら…、羅那…さぁ…ん…っっっ!!!!!!!!!!」
羅那さんの足もとに…すがりつく…僕…シュンタロ…。
「!!!???…なんか、くっせぇ~ぞっっ!!!???え…っ!!??もしかして…!?アレ…か…っ!?」
そうなんです…。
『アレ』…なんです…。
涙目になりながらも…コクコク…と。
羅那に…無言で訴える…僕…シュンタロ。
「あぁ…。『アレ』…か…。ま、待ってろ。だ、出すな…よ?」
全てを察してくれた…。
真の【全界の救世主】…羅那さん…が、『開かずの扉』…を、『スキル』【極金剛力】で、軽々…片手で、押し開ける。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…。
「行け…ぇっっっっ!!!!!!!!」
羅那…の合図の言葉よりも速く…。
僕は…。
神速を超えて月夜に飛び出す…。
そして…。
開かれた黒き『門』…の、すぐ目の前の断崖絶壁へと、滑り落ち…。
再び…。夜のロアナールの大森林…へと。
消えて行った…。




