表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/3657

81:服を着よう。

 ……んー、なんだ? 窓の方から板を叩くような音が……

 誰か来たのかなぁ? あれ、カーテンなんかあったっけ。昨日のうちに付けたのかな?

 ふあぁー。ぬー、まだねむいぞ。誰だー?


「おはようございます、白雪さん。あ、すみません。まだお休みで……」


 レティさんだったか。ログインしたけどまだ他に誰も居なくて、とりあえずこっちに声をかけてみたのかな?

 しかし突然言葉を切って横を見てるけど、レティさんにしては珍しい態度だな。なんか恥ずかしそう。

 まぁとりあえず挨拶だ。


「おふぁよーごあいますー。あの、ろうかしたんれすか?」


 寝起きとは言え、ぜんっぜん舌が回ってないぞ。幼児か。


「ええと、いえ、その…… とりあえず服を着るか、せめて何かで前を隠された方が……」



 えっ。




「だぁぁーーっ!? すいません忘れて下さい見なかった事にぃーっ!!」


 すぐさまカーテンをひっつかみ、一気に閉じる。一発で目が覚めたよ!

 寝てる間にはだけてたみたいで、全開で堂々と挨拶してたぁぁ……

 完璧に痴女じゃないか…… 流石にそのまま見えてたりはないだろうけど、いくら何でもこれは酷いぞ。

 

 布団に飛び込み頭まで潜って丸まっていると、ドアから控えめなノックの音が響く。

 騒いでるのが聞こえたのかな。


「……うー、入って」


 布団から頭だけを出して入室の許可を出した。

 ドアが開き、お盆を持ったシルクが入ってくる。あのお盆は何だ? この角度じゃ何が乗ってるか見えないな。

 お盆を机に置き、団子になっている私から布団を奪い取る。出たくないんですけど……


 下向きに丸まっている私を両手で掴み、くるっと回して仰向けに抱いて私の頭を胸に押し付ける。

 え、何? 心音を聞かせて落ちつかせるとか、そういう奴? 私は赤ん坊かと。

 っていうかシルク、心音ないんだけど…… やっぱり幽霊なのか?

 いや、それじゃこれ意味ないじゃないか。そういう意図なのか知らないけどさ。



 あー、心の中でツッコんでたら少し落ち着けた。

 頭に添えられている手をポンポンと叩いて合図する。もう大丈夫だよ。ありがとね。

 ……ん、あれ? そもそも裸になってるのってシルクが服を持っていったからなんじゃ……?

 むぅ、なんか釈然としないけどまぁいいか。


 抱きかかられたままで姿見の前まで連れていかれ、正面に置かれる。

 おおぅ、急に両脇に手を突っ込むなよ。ん、浮けばいいの?

 ちょっと、待って待って。早業でガウンを脱がして持っていかないで。


 ってか気にしてなかったけどそのガウン、背中側が大きく開いたデザインだったんだな。

 あぁ、翅が有るから当然というか仕方ないのか。

 でもそれ、ガウンとしてどうなんだ? ……まぁいいや。気にしても無駄だ。そもそも今まで気にならなかったって事は、問題は無いって事だな。うん。


 

 あ、お盆に乗ってたのは私の服だったんだな。

 シルクはガウンをお盆に置き、代わりに妖精の服を持って来る。

 はいありがとー、って…… うん、ですよね。自分の手で着るなんてことが許される訳がありませんよね。


 ふぅ、これでやっと落ち着いた。ってシルク、どうしたの?

 ん、それ私のクローゼット…… なるほどね。今日の服もチョイスしてくれる訳か。

 まぁ私は合わせるセンスなんて無いから、有難くはあるな。そのせいで普段着はシンプルな物しか持ってないし。

 そうじゃないのは、見かねたお姉ちゃんがたまに選んでくれる物くらいだし。


 問題はシルクのセンスだけど、大丈夫かな?

 私のセンスを引き継いでなければいいけど……

 自虐気味の心配している間に、素早く上に着せられていた。お、悪くないっぽいな。

 鏡を見ながら回ってみるが、特に問題もなさそうだ。


 よしよし、良い仕事だ。ありがとうね。撫でてあげよう。

 撫でられたシルクは無邪気な感じの良い笑顔になった。

 そうそう、こんな感じでいいんだよ。私の方がえらいのだ。




 さて、いい加減顔を出すか。待たせっぱなしだしね。


「いやー、すみませんでした。改めておはようございます」


「おはようございます。流石に驚きました」


「いやぁ、ははは…… 完全に寝ぼけてましたよ……」


「いえ、むしろ問題は一枚しか着ていなかった事では?」



「妖精の服を何故かシルクに回収された上に、下着はまだ用意してないと言われて……」


「何故でしょうね? しかし、よく素直に従いましたね」


「問答の末に家の中では好きにお世話させるという話になってしまいまして。そのままグイグイと押し切られましたよ」


「白雪さんはお優しいですね」


「断ってたら泣きそうになっていくんですもん……」


「確かに子供を泣かせるのは、あまりやりたくはありませんねぇ」



「これが大人だったり男の子だったりしたら、お風呂から追い出しておしまいだったんですけどね」


「えっ? お風呂ですか?」


「えぇ。お風呂に入る準備をしていたら、突然タオルを持って突入してきました」


「そして色々あって、最終的に背中を流されることになったと」


「まぁ大体そういう事です。で、その流れで家の中ではお世話していいよと。代わりに外では勘弁してくれって言っておきましたが」


「あぁ、昨日みたいにならない様にですか?」


「流石に人前で抱っこされるのは恥ずかしいですから」


「見る側としては微笑ましくて素敵なのですけどね」



 やる側は恥ずかしいんだから、勘弁してくださいよ。お、アヤメさんもログインしてきたな。


「やっ、おはよ。お、今日の服も可愛いじゃないか」


「おはよー。私は服のセンスが無いんで、シルクに選んでもらったよ」


「へぇ。で、そのシルクは? 家の中か?」


「だね。色々やる事が出来て張り切ってるんじゃないかな」


 あ、そういえばどれくらい炒れたか確認してないな。する暇も無かったけどさ。

 まぁ時間が有る時でいっか。



 お姉ちゃんもログインしてきた。皆揃ったし、屋台に……行くにもまだ少し早いな。

 時間つぶしにお茶でも出そうかな? ってモニカさんに借りないと道具が無いんだった。


「おはよう。私が最後みたいだね」


「おはよ。そういえば白雪、シルクのお世話したいって欲求は大丈夫だったのか? あの後風呂に入ったりしたんだろ?」


 う、妙な勘の良さを発揮してくるな……

 隠そうとしてもレティさんには既に言っちゃってるし、教えるしかないかー。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ