表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/3657

70:お茶を振舞おう。

 結論から言えば、お茶はとても好評だった。

 ただ、道具が足りてないという問題があったけどね。

 自分が自由にお湯を出せるから、やかんを用意するっていう発想が抜けてたのだ。

 管理室に置いて無かったら、私が給湯機にならなくちゃいけないところだったよ……

 その方が喜びそうな人もいるけどそれはまぁ置いとくとして。


 お茶請けは私がバラから採ってくる蜜しかなかったけど、皆楽しんでくれたようで良かった。

 販売額を考えればそれなりに高価ではあるけど、元手はタダだしね。

 勤務時間外だからかモニカさんも少し砕けた感じで話してくれて、三人と少し仲良くなったっぽい。

 でも私だけは未だに様付けなんだよなぁ。なんとかならないものか。

 ……うん、多分ならないな。さっさと諦めておこう。



 お喋りしている最中、ふとモニカさんが慌てた顔になる。


「申し訳ございません、白雪様。姫様からのお届け物を預かっていたのを失念しておりました。直ちに持って参ります」


 あ、そういえば服を届けてくれてるんだったっけ。

 別にそんな急がなくてもいいのに。……ってなんか箱大きくないか? 少し嫌な予感がするんだけど。


「こちらになります。ご確認ください」


 持ってきた大きな箱を開いて、机の上の空いたスペースに私より少し大きいくらいの箱が置かれた。

 おや、クローゼットも一緒にくれたのかな。開けてみよう。


 ……いや、明らかに選んだ覚えのない服まで入ってるんだけど。

 横に置かれたシルク用のクローゼットにも追加で数着。選んだ意味があんまり無くない?



「えっと、なんか予定より多いんですけど?」


「好きに組み合わせろ、と仰っておりましたね」


 まぁ確かにあれだけじゃパターンは限られるだろうけどさ。

 どうせ返そうとしても断られるだけだろうから、大人しく受け取っておくか……


「いいなぁ。実戦用の防具ってあんまり可愛くないんだよね」


 そりゃそうだろ。機能美はあるかもしれないけども。


「雪ちゃん、これ今着てみせ」


「着ない。それでは、確かに受け取りました。申し訳ないのですが、私の部屋に両方とも設置して貰えますか?」


「かしこまりました」


 しょんぼりしてるお姉ちゃんはスルーしておこう。なんで無駄に人前で着替えを披露しなきゃならないんだよ。

 モニカさんが屋根を持ち上げ、箱を壁際に置いてくれた。一緒にシルクに合わせたサイズの姿見も設置される。うん、まぁ確かにそっちにサイズを合わせれば一枚で済むよね。




 さて、そろそろお開きかな…… っと、そうだ。


「モニカさん、使用済みの葉で良いので一人分淹れて貰えますか?」


「はい。これをどのように?」


「お風呂に注いで下さい。……ってしまった」


 自分から進んでお姉ちゃんに見せてしまったぞ。

 まぁ無茶な事を言いだしても普通に対応すればいいか。


「かしこまりました。では、後で飲ませて頂いても?」


「良い訳が無いでしょう!?」


 いや、もっとヤバい人が目の前に居たわ。何が「では」なんだよ。意味わかんないよ。

 残念そうな顔をするんじゃない。皆思いっきり引いてるぞ。



「か、可愛いお風呂だねっ!」


 お姉ちゃんが頑張って無かったことにしようとしている。


「え、えぇ。よくお似合いかと。しかし、今注ぐと入る時には冷めてしまっているのではありませんか?」


「あぁ、追いだき機能が付いてるから大丈夫。あと一応蓋もしておくよ」


「ほー、便利なもんだな。っていうか、大丈夫なのか?」


 省略されてるけど、アヤメさんの言いたい事は大体解る。というか解らざるを得ない。


「あー、うん、王女様は『手を出したりする事は無いと思うが』って言ってた」


「断言はしてくれないんだな」


「うん、まぁ大丈夫…… だと思う、多分」



 などと言っている間に注ぎ終わっていたので、【魔力武具】で作った蓋をカップに乗せておいた。

 気休め程度にはなるだろう。


「失敬な。私は人畜無害なただの庭師ですとも」


 あ、やっぱり聞こえてた。まぁ【聴覚強化】持ちだしね。


「いや、無害な庭師はお風呂の残り湯を飲ませろとか言いませんので」


「手は出さないのでセーフです」


「いや、余裕でアウトでしょう。疑いの余地も無く」


「再審を要求します」


「アリア様に報告しますよ?」


「取り下げます」


 流石に首にはならないだろうけど、苦情が入れば配置換えくらいはされるだろうからな。

 条件から【細工】を外せば多分まだ何人か候補はいるだろうし。



 さて、それじゃ今度こそお開きにしよう。

 って、このサイズのカップを洗う場所も家には無いじゃないか。

 この庭無駄にスペースあるし、給湯室だけでも作るべきか……?

 まぁそんな物すぐには出来ないし、モニカさんにお願いして場所を貸してもらおう。

 頼んでみたら自分がやると言い張られてしまった。仕方ない。


「それじゃシルクはお手伝いに行って来てくれるかな?」


 家事がやりたいのか、洗い物を見て少しうずうずしてるし。


「何か変な事をされそうになったら逃げて来るんだよ」


「手は出さないと言っているではないですか。こんなかわいい子に手伝って貰えるだけでとても幸せです」


 つい、で出しそうだから言ってるんだよ。



「さて、それじゃそろそろログアウトするかい?」


「あ、お姉ちゃん」


「ん?」


「今MP余ってる?」


「どうしたの? お腹空いた?」


「役場の中庭で私に攻撃魔法を撃ってほしいんだ。あぁいや、なかなか【MND強化】が上がらないから試しにね」


「びっくりした。さっきのモニカさんの発言があるから余計に驚いたよ」


「大丈夫、変な趣味がある訳じゃないから」


「うん、解ったよ。それじゃ一緒に役場に行こう。二人はどうする?」


「なんか面白そうだから私も見に行こうかね」


「私も同じくですね。それに、万が一何かがあったとしても回復することができますし」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ