60:仲間を増やそう。
2016/02/13 21時 シルクの大きさの表現を追加
ベッドに転がりギアを被ってログイン。
ゲーム内でもベッドに寝た状態から始まると違和感が少なくていいな。
さっきまでゲーム内に私は居なかったはずなのにおふとんがぬくい。むぅ、これも開発の罠か……
「雪ちゃーん? あ、いいなー。気持ちよさそう。でもほら、起きなきゃ」
むぅ、安らぎを妨害するかお姉ちゃんよ。仕方ない、起きよう。
「おはよ。実際に寝起きって訳じゃないのに何で布団に捕まってるんだよ」
「なんかおふとんがあったかいんだもん」
「それは仕方ないですね。温かいお布団には抗えません」
「仕方ないのか……? まぁちゃんと起きたならいいか」
皆の居るテーブルまで飛んで行く。
珠ちゃんを呼ぼうと思ったけど、その前に召喚獣パネルを見てみよう。
戦ってないとはいえずっと呼んでたから少しはレベルも上がってる事だし、そろそろ新しい子が呼べるようになってるんじゃないだろうか?
「どうしたの?」
「【召喚術】のレベルアップで何か変わってないかなって思って。あ、枠が増えてる」
「お、新しい奴を呼ぶのか?」
同時召喚数が二体、契約枠が四枠になってた。何か新しい召喚獣は出てるかな?
皆にも見えるように出来るだけパネルを大きくして、契約ボタンをポチッとな。
>ジャンガリアン
>シルキー
いや、戦わせる気が全く無いだろ開発。
「クッ、フフッ。おかしいな。確か次は鷹だったと思うんだけど」
「これも【妖精】専用の仕様なんでしょうか」
ええい、笑うなアヤメさん。これはハムスターと……
「シルキーって何だっけ?」
「確か家に付く妖精、もしくは幽霊だったかと。家事のお手伝いをしてくれるそうです」
ほー。家を持ったから呼べるようになったのかな?
でもずっと見てなかったし、いつの間にか呼べるようになってただけかもしれない。
まぁいいや。呼べるならそれでいい。
もう召喚獣に戦ってもらうのは諦めるべきだな。もっとレベルが上がったら解らないけど、今の面子じゃ無理そうだし。
というわけで、いでよハムちゃん!
あ、名前か。召喚する事自体が思い付きだし、名前なんて考えてなかったよ。
よし、君は「太郎」だ。私が思いつかなくて悩んだら、大体迷走して酷い事になるし。
集まった光が消えると、ごく普通のジャンガリアンハムスターが居た。
丸まり気味だから体長は判りづらいけど、その体勢だと六十センチくらいの毛玉だな。うん、可愛い。
ハムスターって確かお腹を触られるのが嫌いだったはずだし、頭を撫でるので我慢しよう。
「かわいー! ねぇ、触っても良い?」
「良い? うん、多分良いみたい。手、机に置いてー」
机に置かれたお姉ちゃんの手に、太郎に乗ってもらう。
そーっと上げていったな。私の犠牲は無駄じゃなかったらしい。
「かわいいなぁ。この子の名前は何ていうの?」
「太郎」
「いや、あんた…… もうちょっとさあ」
「いいじゃない。たろちゃん、よろしくねー」
うん、ひねればいいってもんじゃないのだ。
いつの間にかレティさんも一緒になって可愛がってるな。
さて、もう一枠あるしシルキーも呼んでみるか。
家事をやってくれるって言うけど、この家に入れるんだろうか。
「シルキーも呼ぶのか? ハムスターは普通だったから、そっちに何かありそうだな」
不吉な事を言うんじゃないよ。幼女とか出てきたらどうするんだ。
まぁ気にしてても仕方ないから呼んでしまおう。
名前は…… うん、「シルク」で。判り易いって素敵。
光が集まって…… いや、なんか小さくない?
小さいって言ってもまぁ当然というか、私よりは大きいんだけどさ。
光が収まると…… やっぱり幼女じゃ、いや少女? どちらにしろ子供じゃないか!
机の上には身長三メートル弱の、真っ白い服に全身を包んだ裸足の女の子が立っていた。
ちっちゃいけどでっかいな。いや、私から見ればだけど。
体のパーツや全体のバランスを見た感じだと、同じ縮尺なら多分百三十センチくらい?
ってことは……大体普通の人の五分の一って所かな。
私の二倍か。いいなー。
あ、よく見ると少し浮いてるな。だから靴を履いてないのか。
【妖精】と違って飛んでるというよりもただ浮いてるって感じだな。
これなら自力で家に入れないって事も無いだろう。サイズの関係でちょっと狭いだろうけどね。
少しきょろきょろして、こちらを見るとお辞儀した。あ、うん、よろしく。
「まさか二重の意味でちっこいのが出てくるとはね」
うん、普通の人から見れば三十センチに満たない程度の大きさだしね。
アリア様に見られたら今度こそ棚に飾られるんじゃないか?
「その子がシルキーの子かな? よろしくね!」
あ、太郎が解放された。おかえり。
「可愛らしい子ですね。よろしくお願いします」
「名前は何ていうんだい?」
「シルクだよ」
「多分そうだろうと思ったよ。よろしくな、シルクちゃん」
皆にも丁寧なお辞儀をして挨拶をしてる。どうやら言葉は喋らないみたいだな。
おや、管理人室からモニカさんが出てきた。これから仕事かな?
こちらを見て頭を下げながら……と思ったら唐突に停止してこちらに向き直り、凄い勢いでこちらに歩いてくる。
「おはようございます皆様ところで白雪様こちらの方をご紹介して頂きたいのですが」
近い近いモニカさん近い。
早口で挨拶しながら地面に膝立ちになり、机に張り付いてシルクを見つめるモニカさん。食いつきが良すぎる。
ストライクゾーンど真ん中なんだろうか? ただ、あまりの勢いに皆が引いてるぞ。
「落ち着いて下さい。この子は召喚獣のシルクです」
シルクは若干逃げ腰になりながらも、きちんとお辞儀した。よしよし、いい子だ。撫でておこう。
……なにほっこりしてんだこのクマめ。
「で、こっちが……あれ?」
太郎も紹介しようと思ったらテーブルの反対側まで逃げてた。薄情な。
「えっと、あの子も召喚獣で太郎です」
おーい、戻ってこーい。
手招きしたらゆっくり戻ってきて、シルクの後ろに隠れてしまった。
「怖がられてしまいました」
「いや、当たり前じゃ…… というか仕事は良いんですか?」
「あっ」
「しっかりしてくださいよ…… あ、そういえばいつ頃でしたらここに居ますか? 後で蜜を集めようと思うんですが」
「昼休み以外は基本的に園内を巡回しつつ手入れを行っていますね。ですが御用の際は管理室の呼び鈴を鳴らして頂ければ、私の持つ魔道具に通知が入りますので戻って参ります」
呼び出し用のアラームを持ってるのか。
呼び戻すのはなんか悪い気がするけど、ここ広いから探すのは人間サイズでも大変だもんな。
「それじゃ、後で呼ばせて貰います」
「はい、それでは」
「…………いや、行ってくださいよ」
「うぅ、はい……」
ほら、チラチラ振り返らずにさっさとお仕事に行きなさい。
「何だったんだ……」
「まぁ、ああいう人だから…… 気を取り直してご飯食べに行こうよ」
「そうですね。今日は何にしますか?」
「ポテト食べたい!」




