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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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49:光になった。

 珠ちゃんは楽しそうだからそのまま遊んでて貰って、練習しに中庭に行こう。

 【光魔法】はちょっと上級っぽかったから置いてたけど、何とかなるだろうか?

 まぁ正直な所、魔力が関わってる物ならどうにかなるだろって気持ちはあるけども。



 しかし光か。目に見えてるのが当然の物を意識するのはやっぱり難しいよなぁ。

 でもまぁ見えるだけ【空間魔法】とかよりマシか。


 とりあえず認識しやすい方が良いよね。

 って事でまずは【魔力武具】で凸レンズを作ってみよう。



 作ってみたけど、やっぱり少し歪んでて綺麗に焦点は合わないな。

 っていうか明るくて見づらい。あぁ、日陰を作ればいいのか。

 地面に魔力を流して、土でかまくらのような物を作る。

 中に光が入っていく角度で入り口にレンズを固定して……出来た。


 さて、この光点をなんとかして動かせないものか。

 明るくなっている所に意識を集中して頑張って念じてみる。


 ……びくともしない。やり方が違うのかな?

 あ、明るくなってる所ってもう光が当たった後の所だし動くわけないか。

 でもその反射光がこっちに来ない様に動かせてたら見えなくなると思うし、やっぱり出来てないんだな。


 魔力で作ったレンズで中に光を送ってるんだし、そこを通るときに魔力を流せないだろうか?

 あ、ダメだ。流したらレンズに全部送り込まれた。変な所で融通が利かないなぁ。



 うーむ、どうしたものか。

 かまくらの天辺に穴を開けて、木漏れ日みたいに光が差し込むようにしてみるか?


 いや、発想を逆転してみよう。

 光に魔力を通すのが難しいなら、魔力で光を放てばいいんじゃないか?

 最初にでっかい魔力球を出した時、凄い光ってたし。



 そうと決まれば早速、の前にお弁当で魔力を補充だ。

 うん、無味無臭。ごちそうさまでした。


 ん、誰か中庭に来た? 珍しいな。



「あっ! 妖精さんだー!」


「いちいちデカい声を出すな。悪いね、うるさいのが邪魔して」


 【魔人】の女性と【獣人(兎)】の男性の二人組か。

 ウサ耳の男の人…… うん、まぁいいや。



「いえ、大丈夫です」


「そうかい、ありがとう。それじゃ、お邪魔しますよーっと」


「えっ? 何一人で言ってるの?」


「は? あぁ、この声じゃ普通は聞こえないか。妖精さんが大丈夫ですって言ったんだよ」


「えーっ!? あんただけ妖精さんの声が聞こえるとかずるい!」


「いや知らないよ。【聴覚強化】でも取れば聞こえるんじゃないか? いやいや待って。マジで取ろうとしないで」


「だって私もお話したい!」


「せめて皆で相談してからにしてくれよ。後で俺まで文句言われるのは嫌だし。っていうかそもそも、妖精さんとお話しに来たんじゃないだろ?」


「まぁそうだけどさー」



 そんな事の為にポイント使われてもこっちも困るんだけど。

 いや、即座に取得した受付もいたけどさ。


 まぁそれは置いといて、人が来たので少し横に動いてお互いに邪魔にならない様にしておこうか。

 いつも誰も来ないから、今日は真ん中でやってたし。



 さて、気を取り直して魔力球を作るか……ってその前にさっきのかまくら崩しておかないと。

 よし、今度こそ。それ、どばーっと。


「わーっ、何それー! すごーい!」


「おい、邪魔するなって。危ないだろ」


「触ってみていいー?」


「聞けよ! っておい、それ大丈夫なのか?」


 ちょっ、躊躇なく人差し指突っ込むなよ!?

 あれ、何かちょっとだけ変なのが混ざった? 私の魔力じゃない何かだ。


「痛あぁぁぁい!!!」


「おいおいおい!! だから言っただろ!」


 うわっ、突っ込んだ人差し指が削り取られてる。

 って事はこれ、混ざったの人の指かよぅ……



「おいコラ白雪ぃーーーっ!!」


 おわぁっ!? って、あっ、やばっ。魔力の制御が





 うん、今日も死んだね。魔力球が暴走して光に包まれた。

 異物混入で制御しづらくなってたのかな?


「きゃっ!」


「痛っ!」


 うわっ、危なっ!?

 女の人、私のすぐ横に落ちて来たよ。むぅ、二人も巻き込まれちゃったか。申し訳ないな。

 しかし少しは出現地点とか配慮しろよ開発…… いやごめん、今更だったわ。

 ってあれ? なんか暗く




 あぁうん、解った。

 立ち上がろうとして私の上に手をついたんだな。

 少し離れた所で右手を見て混乱してるのが見える。


 一緒に居たウサメンが宥めてるけど、私も行った方がいいな。

 そもそも死に戻りの原因でもあるし、謝っとかなきゃ。



「すいません、大丈夫ですか?」


「あっ、ほら妖精さん戻って来たぞ」


「ごめんなさぁーい!!」


「大丈夫です。よくある事ですから気にしないで下さい。それより巻き込んでしまってすいません」


「よくある事だから気にするなって言ってくれてるから、ひとまず落ち着け。あ、悪いのは変なちょっかい出したこっちだから。こちらこそごめんよ」


「それじゃお互い様という事にしましょう。それで、ですね」


「ん?」


「悪いんですけど、私と一緒にもう一度役場の中庭に来てもらえませんか?」


「いいよ、元々やりたいこともあったしね。おーい、落ち着いたか? もう一回役場に行くよ」


「うん……」





 うん、役場の入り口に笑顔で仁王立ちしてるジョージさんが居るね。逃げたい。

 まぁそういう訳には行かないから出頭するけどさ……


 手招きして奥に消えた。多分中庭に来いって事だな。

 途中、忘れずに珠ちゃんを預けていく。ごめんねー、楽しんでるのを邪魔しちゃって。



「なぁおい。俺、自重しろって言ったよな? 何回言わせる気なんだ? っていうか無駄に器用だなお前」


 最後の台詞は私の華麗なる空中土下座を見てのコメントである。

 反省してない様に見えるけど、地面でやるの怖い。


「はい、すいません……」



「しかも今回は他人を巻き込んじまってるじゃねぇか」


「あの、巻き込んだことについては怒らないであげてください。悪いのは不用意に近づいて指を突っ込んだコイツなので」


「ごめんなさい……」


「はぁ!? よくあんなもん触ろうと思ったな…… 魔法使うんだったら、見ただけでヤバいって解るだろうに」


「うぅ、つい凄いなーってはしゃいじゃって……」


「それで指落としてちゃ世話ないだろ、全く」


「痛かった……」



「まぁそれなら巻き込んだことに関してはいいとしよう。で、お前どうすんだよアレ」


 うん、さっき居た周辺がクレーターになってる。

 クレーターっていうか、嵌まってた球を取り出したみたいに綺麗にくり抜かれてる。


「むぅ」


「責任もって埋めとけよ。俺は知らん。つーかいい加減にしねぇと、中庭に出入り禁止にするからな」


 ジョージさん帰っちゃった。むぅ、どうするか。

 でも花壇とか壁に影響が無かったのが不幸中の幸いだな。土だけでなんとかなるし。




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