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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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48:紹介されよう。

 うおお、恥ずかしい…… ん、足音?


「姫様、戻って来た様です」


「そうか。白雪、ここの管理を担当する者を紹介しよう」


 あぁ、管理人さんが帰ってきたのか。

 来るまでに気持ちを落ち着かせておこう。




「これは姫様。お待たせしてしまいましたか」


「いや、構わん。何時に訪れると言った訳では無いからな」


 管理人さんは熊の人なのかな? 頭の上に丸い耳が付いてる。

 しかしちっこい人だな。アリア様より頭一つ分くらい背が低い。


「では白雪、彼女がこの花園の管理と【蜜採取】の補助をするモニカだ」


「モニカです。よろしくお願いします」


 あの耳、触り心地良さそうだなー。



「で、こちらが【妖精】の白雪。……白雪?」


「あっ、すいません。白雪です。こちらこそよろしくお願いします」


 モフらせて貰えないかなーとか思ってたら紹介されたのに気付かなかった。

 初対面でアホな事考えてちゃ駄目だろう。

 向こうはずっと目を逸らさずにこっちを見てるんだし。



「【庭師】の中から【聴覚強化】と【細工】を持っている者を絞り込んだら、こんなのしか残らなんだ。済まんが耐えてくれ」


「酷い言われようです」


 ん、何か問題でもあるのかな? 至って普通の人に見えるんだけど。


「こんなのって、どういうことですか?」


「手を出したりする事は無いと思うが、小さい生き物が好き過ぎてな」


 うわぁ、よりによってそういう人か…… っていうか怖いから無いって断言してよ。



「可愛い物が好きなのは当然の事だと思います」


「それは否定せんがな。お前は色々と行き過ぎだ」


 一体過去に何やったんだこの人。


「まぁ要するにライサと同類という訳だ。こちらの方が大分濃いがな」


「初対面で私を家に連れ帰ろうとする人より濃いって、それは本当に大丈夫なんですか」


「一応、やって良い事と悪い事の区別はつくから大丈夫だろうよ。……多分」


 いや、最後に小さく付け加えないで下さいよ。


「心配は不要です。私とてその程度の分別はありますので。それに、職を失いたくはありませんしね」


 失職の危険が無ければ何をするつもりなのか。

 まぁ流石に本当にやらかすような人は連れてこないだろうし、信用するしかないか。

 しかしこの人、抑揚に乏しい声してるな。感情が殆ど読み取れないぞ。



「互いの紹介も済んだことだし、私は帰るとしよう」


「あ、役場に用事が有るので私もご一緒させて頂きます」


 訓練はここでも出来るようになったけど、珠ちゃんおいてきちゃってるしね。

 っておい、何崩れ落ちてるんだそこのクマ。


「やっと妖精さんと一緒にお仕事が出来ると思ったのに……」


「放っておけ。いちいち気にしていたらキリが無いぞ」


 うむぅ。大分アレな人っぽいけど、そんな楽しみにしてたんならちょっと申し訳ないかな?

 珠ちゃんにはもうちょっと遊んでいてもらおうか。

 いや、合流しても遊んでてもらうから何も変わらないんだけど。



「すいません、やっぱり先に蜜を集める事にします」


「そうか、程々に頑張れ。それでは、また会おう。あぁそれと言い忘れていたが、ベッドなどは最上階の部屋に置いてある。動かしたければモニカに頼んでくれ」


 お風呂から遠いな。まぁどうせ飛ぶから他の部屋とそこまで変わらないか。


 さて、予定とは違ってくるけど蜜を集めようか。まぁ私の予定なんてあって無い様な物だけど。

 これから仕事のサポートしてくれる人なんだし、関係は良くしておきたいもんね。



「それじゃモニカさん、蜜を入れる瓶を持ってきてもらっていいですか?」


「はい、少々お待ちください」


 いや、何も跳ね起きてダッシュで取りに行かなくても。

 あんまり激しい動きされると、巻き込まれそうで怖いよ。あ、戻って来た。


「お待たせしました」


「では、今日はとりあえずこの周りから始めましょうか」


 まずは近場から行こう。

 しかしバラの香りがあるっていうのは、料理とかに使うにはどうなんだろね?

 まぁ向いてなかったとしても他の花もあるから、並行して普通の蜜も集めればいいか。


 【施肥】を使って活性化して、それから【蜜採取】。

 五回分ほど溜めてからモニカさんの所へ戻って、瓶の上で器を消して投入だ。

 妙に瓶の位置が体に近いのと、じっと見られ続けてるのが気になるけど慣れるしかないか。




 ふー。前と同じように百回分集めたけど差はどんなものかな?

 前は確か、大体七センチくらいの深さまで溜まってたと思う。

 んー、今回は八センチくらい? よく判らないけどちょっと増えてる気がするな。


 まぁ花の種類とかで量も変わるかもしれないから、比べる意味があるか解らないけど。

 HPも結構減ってるし、これくらいでいいかな。


「今日はこれでおしまいにします。ありがとうございました」


「はい。ではこの瓶は仕舞っておきます。お疲れさまでした」



 よし、珠ちゃんを迎えに行くか。

 あ、その前に部屋に使わない物を置いていこうか。

 ベッドのある部屋はーっと。あ、ここか。


 って別に寝室に置かなくても、どこかを物置部屋にすればいいのか。

 まぁいいや、もう来ちゃったし。

 とりあえず弓と傷んだ服を、机にまとめて置いておく。

 矢は本来の用途とは違うけど色々使ってるし、一応持っておこうかな。


 これで良し、と。それじゃ役場に行こう。




 さてさて、珠ちゃんは可愛がってもらってるかな?

 ……なんか日に日にペット用品が増えてるんだけど。

 なんで役場に猫タワーがあるんだよ。ほんと、ちゃんと仕事してるのか?


 いや、大丈夫だと思っておこう。ダメだったら多分ジョージさんに文句言われるだろうし。

 私のせいじゃないんだから、精々ぼやかれるくらいだろうけどね。

 今珠ちゃんと遊んでるおじさんも、休憩時間なんだろう。きっとそうだ。


 あ、あれいいな。鏡で反射した光を使ってじゃらしてる。

 あれなら私でも珠ちゃんと遊べるんじゃないか?



 鏡か。私が持てる鏡は無いから、自分で作らないとだな。

 でも私なら、魔法でなんとかしたほうが早いかも。


 【魔力武具】で鏡とか作れないかな? でも透明だからなー。

 レンズとかプリズムなら作れるかもしれないけど。


 猫と遊ぶ為に【光魔法】覚えるか……?




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