446:配膳しよう。
おや、いつの間にかサフィさんが寝袋から出てきて正座してる。
流石のサフィさんでも、アリア様が料理してくれてる横では寝てられないか。
ていうかすっごい今更だけど、土下座とか正座とかを西洋っぽい人たちが普通にやってるのが気になるな。
……いや、よく考えたら色々と現実とは違うんだから、別に何もおかしくは無いのか。
単にこの世界のこの人達には、そういう風習が有るっていうだけの事だろう。
いや、どっちにしろ現実の基準で考えちゃうから違和感は有るんだけどさ。
しばらくするとカトリーヌさんが帰って来たので、向かい合って黙々と訓練を続ける。
黙ってるのは単に私が口から糸吐いてて喋れないからなんだけど。
料理をしている方から色々と聞こえてくるけど、詳しい状況は解らない。
いろいろと不穏な言葉が出ているので、何が出てくるかある意味楽しみだな。
でもよく考えたら、あれ味見とかできないんだよね。
どうするんだろう。
まぁ元々は普通のお肉だし、それを基準に勘でなんとかするのかな?
「よし。サフィよ、覚悟は良いな?」
「はい」
お、出来上がったみたいだな。
わざわざお皿にドームカバー…… あれなんて言うんだっけ。クロッシュ?
まぁ良いや。
とりあえずカバーをかぶせてるのは、保温じゃなくて見えなくするためだろうな。
だってジョージさんがめっちゃ釈然としない顔してるもん。
……相変わらず隠密さん達の隠れっぷりは凄いな。
小さな机と椅子を置く一瞬しか認識できなかったよ。
いや、でも気付けないのって私たちくらいだから、今はあんまり意味ないんじゃないか?
アリア様がどうなのかは判らないけど。
まぁ単に習慣っていうか、隠れてるのが普通なんだろう。
「さぁ、存分に私の手料理を食らうが良いぞ」
「ありがたく」
机に皿を置いたアリア様が胸を張って告げ、サフィさんが素直に頭を下げる。
この状況、「食らう」が別の意味にしか聞こえないよね。
多分そっちで正解だけど。
サフィさんがカバーを取ると…… なんだあれ。
多分フランスパンを斜めに切ったものなんだろうけど、何故か灰色だ。
一瞬パンの色かと思ったけど、あれは多分かかってるソースっぽい物が灰色なんだろうな。
端っこに本来の白いパンの色が見えるし。
……あれ、肉は?
「……いただきます」
流石にサフィさんも一瞬戸惑ったな。
まぁ当然か。
「アリア様、これは?」
作った人に聞いてみるのが一番早いだろう。
「なんだろうな」
「いやいやいや」
作った人も解ってなかった……
「簡単に言うとカットしたパンにミートソースをかけたもの、だろうか」
「ミートソースですか?」
なんか私が知ってるミートソースと違う。
全体的に灰色だし。
黒い点が見えるのは、あれは胡椒かな?
「やっぱり無理がありますって姫様。確かに液状ですし肉ではありますが、アレをミートソースって言い張るのはちょっと……」
後ろからジョージさんがツッコミを入れてくれた。
うん、それはミートソースとは言わないと思います。
「……あのかかってるのが肉なんですか?」
「うむ。初めはある程度火が通って固まってきたら、成形してパンに挟もうと思っていたのだがな。いくら熱しても一向に固まらなかったのだ」
「えぇ……」
なんでだよ。いや本当に。




