422:遊んでてもらおう。
返してもらったパネルを消して家に帰る。
あ、珠ちゃんに乗ったままモニカさんに遭遇するとマズそうだし、一応降りておこうかな。
もふっと背中の上にうつぶせに倒れ込み、手を伸ばして頭をなでなで。
ありがとねー。
おや、門の前でモニカさんが待ち構えてる。
いや、待ってたって言うか近くで作業してたついでか。
少し離れた場所に道具がまとめて置いてあるし。
うん、ちゃんと復活して服も着替えてるな。
まぁ血まみれの服で仕事してたら怖いけどさ。
人が一杯見てる中で侵入者の処刑とかやってたんだし、また誰か殺されたのかとか思われちゃうよ。
「お帰りなさいませ」
「もう動いて大丈夫なの?」
「はい。ご心配をおかけして申し訳ございません」
「いや、まぁ元気ならそれで良いんですけど。今から蜜集めのお手伝い、お願いして大丈夫ですか?」
「はい。瓶をお持ちしますので、少々お待ちください」
「あ、一応私も中まで入るんで一緒に行きましょうか」
背を向けたモニカさんに声をかけ、追い越して少し先に進む。
……はいはい、わざとゆっくり歩かない。
一緒にとは言ったけど、来ないなら先に行っちゃうよ?
「それじゃ私はお仕事してくるから、皆はこの辺で遊んでて良いよ」
テーブルの近くで珠ちゃんを中心に集まった召喚獣たちに告げて、少しずつ撫でてから離れる。
あ、突然ダッシュした太郎に反応して、珠ちゃんが横から猫パンチで転がした。
凄い反応速度だな。
まぁ本人は「やっちゃった……」みたいな動きしてるけど。
ついつい急な動きに反応しちゃったんだな。
おお、太郎がパンチに逆らわずに綺麗に横に一回転して、そのまま走り去って行った。
……と思ったら、ぐるっと円を描いて戻って来て、お座りしてる珠ちゃんに全力で体当たり。
気にしてないのかと思ったら、一応文句は有ったらしい。
まぁ体重差のせいで、突進しても大した衝撃を与えられてないんだけどね。
太郎も解っててやってるんだろうけど。
ごめんねとしょんぼりした珠ちゃんを見て許したのか、再度走り去ろうとする太郎。
あ、また手が出た。
伏せた状態で顔を抱えるようにしてごめんねのポーズを取る珠ちゃんの頭に、太郎がどすんどすんと体当たりをする。
なにをやってるんだ君たちは。
本気で怒ってるわけでは無いみたいだけど、仲良く遊ばなきゃだめだぞー。




