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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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408/3659

408:大きくしてあげよう。

「で、あいつは何やってんの?」


「さっきシルクに行ってもらったから、すぐに出てくると思うよ」


「おっはよー」


 お、言ってるそばからお姉ちゃんだけ出てきた。

 シルクは中でバスローブとかを片付けてるのかな?



「おぉ、本当に小さくなってますね」


 バルコニーに出てきたお姉ちゃんを見て、レティさんが立ち上がって歩いて来た。


「待ってレティちゃん、近い怖い」


「あ、すみません」


 よく見ようとバルコニーにぐーっと顔を近づけてきたレティさんに、お姉ちゃんが抗議する。

 ちゃんと喋れてるだけ、大きい相手にも大分慣れたみたいだな。



「しかし、相変わらず【妖精】の魔法は凄いものですねぇ」


「まぁその分消費も凄いみたいだけどな」


「だねぇ。【妖精】から見てもちょっと重めのコストかな」


「ま、そこまで連射するもんでも無いし問題無いだろ」


「そりゃね。こんなのそこら中でかけて回ってたら、すぐにお仕置きされちゃうよ」


 これ、私が死ねば解除されるんだし。

 ていうかまぁ、かけられたくない人は五秒も止まっててくれないだろうけどね。

 無理矢理止めることは出来ると思うけど、そんな事したらその時点で逮捕だし。




「まぁそれはともかく、そろそろ元に戻って屋台に行かないか?」


「そうだね。おーい、シルクー……って早いね」


 声をかけると同時に出てきた。

 部屋で待機してただけ…… というかお姉ちゃんが寝てたベッドを綺麗にしてたのかな?


「浮いてから戻すんだっけ? シルクちゃん、よろしくー」


「そうそう。……浮かなかったらどうなるか試して良いかな?」


「いやー、事故が怖いし……」


「つーか事故られたら私らも困るから勘弁してくれ」


「それもそうか」


 うん、万一デスペナとか貰ったら大変だもんね。

 ログアウト前の夜ならまだしも、これから外に出て行くのにペナルティはマズいだろう。




「はい、戻すよー」


「いつでも良いよー」


 お姉ちゃんが上空に連れて行かれたのを確認して、お友達状態を解除する。

 あ、一応着地に注意しておいた方が良かったかな?

 まぁ大丈夫だろう…… いや大丈夫かなぁ……?



「ほー、戻る時はこんな感じか」


「縮む時はどうなのです?」


「単にこれの逆って感じかな。頭の有った位置に出るっぽいから、立ったままやると誰かが受け止めないと怖い思いする羽目になる」


「あぁ、十数メートルの高さに放り出されるのですね」


「そうそう。あ、そろそろかな」


 光になってたお姉ちゃんが実体化し始めた。

 やっぱりちょっとだけ高かったかな。



「あいたっ」


 ……大丈夫じゃなかったよ。

 何でその高さと速度で着地し損ねるんだ。


「何やってんだよ。ほら手ぇ出せ」


「うぅ、ぐねってなった…… ありがと」


 足をひねって転んだお姉ちゃんを、アヤメさんが手を引いて立たせる。

 あ、レティさんが回復してあげたみたい。



「言っておいてよぅ……」


「いや、忘れてたのは確かだけど、流石にあれで転ぶとか思わないじゃない」


「そりゃそうだ。あんたがトロいだけだろ、今のは」


「うぅ、ひどい言われようだよぅ」


「えぇと、その…… 今のは流石に擁護出来ませんね……」


「ぐむぅ」


 レティさんに救いを求めるも、控えめにだけどばっさり切り捨てられるお姉ちゃん。

 うん、まぁ今のは言われても仕方ないよなぁ……



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