396:抱き枕にされかけよう。
これ、このまま送還して良いものなんだろうか?
んー、一応起こしておこうか。
「おーい、ラキー」
一応反撃されない様に、ラキから少し離れたところをぐいっと押さえて足場を揺らしてみる。
あ、すぐに起きた。
これなら普通に声かけるだけでも良かったかな?
おお、助走をつけてベッドに置いた手に飛び乗って来た。
笑顔で両手を広げてるのは、おかえりーって事なのかな。
反対の手で頭とお尻をぽふっと撫でて、元の位置に戻しておく。
「さてと」
ん?
なんかぴーちゃんが羽で器用におふとんを持ち上げて、枕の反対側からもそもそと潜り込んで行った。
そこ私のベッドだぞー。
あ、枕の横にひょこっと出てきた。
おふとんの中でもぞもぞ動いて、うつぶせから横向きになって、両腕を前に伸ばしたのかな?
これ、ベッド全体を占領されてない?
「ぴゃっ」
……えーと、上側の羽を持ち上げて作ったその空間は何かな?
いや、うん、その笑顔は入って来いって事だよね。
この子、ご主人様を抱き枕にするつもりか。
まぁ多分逆で、おふとんになりますって事なんだろうな。
うん、まぁ暖かくて気持ち良くはあるだろうけどさ。
ぷよもふのクッションも有るし。
私には無いやつが。
「ぴぅ……」
あ、どうしようとか思ってたらシルクに撤去された。
別に邪魔だなーとか思ってたわけでは無いんだけどな。
ずるいよーとか、出過ぎた真似をするんじゃありませんとかかもしれないけど。
「うん、まぁ今日の所は大人しくしとこうね。ログアウトするからどっちにしろ消えちゃうし」
シルクにぶら下げられたまましょんぼりしているぴーちゃんに声をかけつつ、おふとんに潜り込む。
……なんか私が動きを止めた瞬間に、ラキがおふとんにダッシュで潜り込んで来た。
そんな事してたらシルクに叱られるよー?
と思ったらもう摘み上げられてた。
相変わらずの早業だなぁ。
ラキがちょっと不満げな「ちぇー」って感じの顔になってる。
まぁもう夜も遅いんだし、大人しくしてようね。
このサイズで騒いだって、別段困る人は居ないだろうけど。
「シルク、降ろしてあげて良いよー」
枕の横をポンポンしながら、めって感じでラキを見るシルクに声をかける。
……なんか複雑な表情でそっと置いたな。
「まったく、ごしゅじんさまは甘いんですからー」みたいになりつつも、その恩恵を自分も受けてるからあんまり言えないしなぁって感じかな?
うん、まぁお世話させてっていうのをワガママって言うとしたら、一番好き放題してるのはシルクって事になるか。
ほとんどは誰も困らない事だから、良いんだけどね。
ほとんどは。
流石にもう一度駆け込んだら叱られるって事は解ってるらしく、もぞもぞと枕に登って来て私の顔の横にちょこんと座るラキ。
そうそう、大人しくしてようね。
先に放してもらってたぴーちゃんはシルクの反対側に回って座り込み、ベッドに頭をもふっと乗せてリラックスし始めた。
それ、長時間やってると首疲れない?
まぁログアウトするんだし別に良いのか。
「さて、それじゃ皆お疲れ様ー」
シルクに電気を消すように視線でお願いし、ログアウト操作を進める。
あー、どうしよ。
一応リハビリ部屋に寄ってからにしようかな。
もう別に必要無いと言えば無いんだけど、なんか機能が有るなら使いたくなる性質なのだ。
うん、ぽちっとな。




