376:くわえられよう。
くつろぎながらシルクのマッサージを見物してるけど、シルクから見ればリンゴよりも小さそうな頭を指先でくにゅくにゅ揉んでるのを見ると、大丈夫なのは解っててもちょっと不安になってくるな。
普段はあれ、私がやられてるんだよなぁ……
そういえばコレットさんは私達やアリア様と違ってうさうさした耳が有るから、けっこう勝手が違うんじゃないかなーと思ったけど、そういう相手にもちゃんと対応できてるな。
というか普通に、耳もむにむに揉みほぐしてる。
この調子だとウサ耳だけじゃなくて、他の耳や角とかが有っても普通に揉めるんだろうなぁ。
……気持ち良いのかくすぐったいのかよく解らないけど、長い耳がピーンと立ったりへにょっとしおれたり、なんだか見てて面白いな。
ていうかジロジロ見てるけど、見られると恥ずかしい類の事だったらどうしよう。
まぁ一緒に見てるアリア様が止めないって事は、多分大丈夫なんだろう。
いや、私だから……というか【妖精】だから許してるだけって可能性もあるけどさ。
まぁどちらにせよ、見てても怒られないって事には変わりないか。
カトリーヌさんの方は流石にそんな技術は持ってないから、お姉ちゃんに確認しつつって感じだな。
……そのキツネ耳、穴の奥いじられると気持ち良いの?
ローション綿棒で耳掃除してる様な感じなんだろうか。
まぁ実際人間の体に無い器官の感覚とか、持ってる本人しか解らないしなぁ。
私も翅や付け根周りを触られた時の感触を正確に説明しろって言われても無理だもんね。
迂闊に触るとくすぐったいけど、シルクがやるみたいに上手に触られると気持ち良いし。
そもそもシルクに触られると大抵気持ち良いんだけどさ。
頭撫でられるだけで寝かしつけられちゃうくらいだし。
まぁあれは、シルクの体のぷにぷに感でリラックスさせられてるのもあるかな?
しかしお友達になってる三人やお茶から出て揉んでるカトリーヌさんはともかく、ぴーちゃんとラキは結構長い事浸かってるけど大丈夫かな?
あんまり熱くはしてなかったし、のぼせてはいないだろうけど。
……ぴーちゃん、これ目を離してる隙に寝てない?
枡のふちに頭のっけて目を閉じて、ぐんにょり脱力してるし。
胸元のラキはお湯とぴーちゃんのふかふかのぬくもりで、ぐっすり寝ちゃってるな。
まぁうん、柔らかいもんね。うん。
ラキの硬さなら挟まれて潰されたり重みで潰れたりしないし、気持ち良いだけだろう。
お姉ちゃんを縮めて同じ事したら、ぺったんこになって左右のどっちかに貼り付いちゃうかな?
サイズに応じて見た目通りの強度になっちゃうもんなぁ。
まぁ潰れても死にはしないからそこは大丈夫だけど、試す意味は無いわな。
「ぴーちゃん、ぴーちゃん。危ないから起きよう?」
「んぴゃぁ……」
カップから手を伸ばしてぴーちゃんのほっぺたをぷにっとつつくと、眠りが浅かったのか寝かけてただけだったのか、すぐに起きてくれた。
どちらかと言うと浅く寝てたっぽい反応だな。
「んー?」ってちょっと寝ぼけてる感じの顔してるし。
「はいはい、お風呂で寝ちゃダメですよー」
「ぴぅ……」
「おおう」
引き続きふにふにとほっぺたをつついてたら、今度は私が指をくわえられてしまった。
流石に噛まれはしなかったけど、ちょっとびっくりした……
でもさっき同じ様な事されて同じ様な事したから、文句は言えないな。
こらこら、何故しゃぶるんだぴーちゃん。
あー、指に妖精茶がついてるって言うか染みてるから美味しいのかな。
濡れた手でつっついてたしなぁ。
うおお、根元まで吸い込まれた……
これ迂闊に指を動かしたりしたら、喉がおえーってなって最悪噛み千切られかねないな。
ていうか地味にカップと枡が離れてるから、ちょっと体勢が辛いんだけど。
おーいぴーちゃん、早いとこ目を覚ましてくれー。




