370:後にしてもらおう。
「はふー……」
あ、お姉ちゃんが戻って来た。
洗われるのが気持ち良かったのか、若干ぽけーっとしてるな。
「やー、シルクちゃん上手だなぁ。雪ちゃんが羨ましいよ」
「ちっちゃいとは言えプロだしねー」
「じゃあいつも家で入っていく?」とは言わないでおく。
困るほどではないけど、縮めるので結構MP食うしね。
まぁ頼まれたら問題が無ければ断らないけど。
お姉ちゃんをちゃぷっとお茶に浸けたシルクがこちらを見た。
「あー、カトリーヌさんを先にやってあげて。私最後で良いや」
「あら、そうですか? ではシルク様、よろしくお願いします」
ラキを乗せた手をお茶から出し、ぴーちゃんの肩にラキを置いて立ち上がるカトリーヌさん。
あ、シルクが勢いよくお尻をひっぱたいてそのまま骨盤を鷲掴みにした。
思いっきりのけ反ってたけど、腰は大丈夫かな?
片手でお尻を掴んでぶら下げたままシャワーまで運んで、ポイっと捨ててお湯を浴びせてる。
うん、まぁカトリーヌさんだし問題無いな。
「うわー…… あれ私達と違って、ちゃんと痛いんだよね?」
「まぁ本人の希望だし、あんまり気にしなくて良いと思うよ」
「そういうものかー。あ、そういえばレティちゃん遅くない?」
「ん? あー、確かに結構時間経ってるねぇ」
「レティ様でしたらつい先ほどお戻りになり、そのままお帰りになった様ですよ」
おや、コレットさんから情報が。
当然と言えば当然だけど、ちゃんと外の気配もチェックし続けてるんだな。
にしてもログアウトしたのを「お帰りに」と言うって事は、別の世界から出張してきてるみたいな認識なんだろうか。
「あー、外に誰も居なかったらそうなるか」
「普通はこんな状況だとは思わないよね」
お姉ちゃんのコメントに同意しておく。
エリちゃんが居れば説明くらいは有っただろうけど、もうログアウトしてたんだろうな。
ジョージさんは居るけどわざわざ出てこないだろうし、大工さん達も休憩は終わって作業してる頃だしね。
フレンドリストを見ればログインしたままなのは判るだろうけど、それでも他の所かソニアちゃんの所だと思うだろう。
「それにしてもさっき帰って来たって事は、結構長居してたんだねぇ」
「んー、レティちゃんとジェイさんってちょっと似た雰囲気あるし、仲良くなってお話でもしてたんじゃない?」
「あー。アヤメさんでどう遊ぶかとか?」
「本当に計画してそうだからやめてあげて」
お姉ちゃんにすかさずツッコまれた。
うん、自分で言っておきながら本当に有り得て何とも言えない感じになる。
「おおラキ、良い所に収まったな」
ん? ……えー。
アリア様の言葉を聞いてラキ達の方を見るとぴーちゃんが深めにお茶に浸かって、ふかふかの付け根の隙間にラキがすっぽり入ってぬくぬくしていた。
……うん、私には出来ない確保の仕方だな。
いいもん、手に乗せてあげればいいだけだもん。
「雪ちゃんには……いやなんでもないですごめんなさい」
人に言われるとイラッとするので軽く睨んでおく。
私が睨んでもお姉ちゃんには効果が薄いけどさ。
でも私を怒らせるとラキ達にも怒られちゃうからね。
うちの子たちと仲良くなりたいお姉ちゃんにとって、そっちは効果的だろう。
……しかしさっきから三人から放たれる果物の香りが良い感じに混ざって、すごい居心地の良い空間になってるな。
空気もぬくいし。
ぴーちゃん、「んぴー……」って声が漏れてるけど、ラキを挟んだままお茶の中で寝ない様にね?




