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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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352/3658

352:家に迎えよう。

「さて、まだしばらくこうしていたいのは山々だが、そういうわけにもいくまい」


 ポチの背中の上で毛皮と羽毛をもふもふと堪能しつつ、アリア様が切り上げようと言う。

 ……言葉とは裏腹に、全く動く気が有るように見えないんですけど。

 ぴーちゃんの羽、掴んだままだし。


「姫様、ぴーちゃん様が戸惑っておいでですので」


「む、すまんな」


 コレットさんにツッコまれて羽から手を離すアリア様。

 なんかぴーちゃんが羽を引っ込めて良いのか迷ってた様子。



「よしよし、乗せてくれてありがとうな」


 アリア様がポチから降りて正面に歩いていき、そっと顔を撫でる。

 そういえばよく考えたら土足で背中に乗ってたんだよね。

 まぁポチは全く気にしてないけど。


「で、だ。白雪、ミヤコ、まだ時間は有るかな?」


「はい? 時間でしたら問題は有りませんけど、何かあるんですか?」


 お姉ちゃんも問題ないと返事をする。

 別にゲーム内で翌朝までかかったとしても、現実だとちょっとだけ夜更かしになるだけだしね。



「うむ。せっかく小さくなったのだから、この視点で家の中を見てみたくてな。構わないか?」


「あ、はい。もちろん大丈夫ですよ」


 元々内装まで全部アリア様の作った家だしね。

 見られて困る様な物も無いし。


「私も見たいなー」


「ていうかお姉ちゃんにも確認したって事は用事が有るって事だし、行くしかないんだけどね」


 じゃなきゃわざわざ確認しないと思うし。

 


「あー、それもそっか」


「いや、無理にとは言わんがな?」


「雪ちゃんの巣を見てみたいのは本当なんで、大丈夫ですよー」


「はいはい巣って言わないの」


 さくっと流してぴーちゃんにお姉ちゃんを、シルクにアリア様たちを家の玄関まで運ぶ様にお願いする。

 入り口が四階くらいの高さに有るから、少なくともお姉ちゃんは自力じゃ入れないだろうしね。



「では頼む」


「失礼します」


 それぞれに一声かけてシルクの腕に座る二人。

 いや、なぜ早速ぷにぷにするのか。

 まぁ当のシルクは優しく微笑んでるから、別に構わないんだろう。


「よろしくね、ぴーちゃん」


「ぴっ」


 こっちは普通におぶさって、全力でしがみ付いてる。

 ぴーちゃん、人に頼られて嬉しそうだな。



「ラキ、こっちおいでー」


 放っといても自分で支柱を駆け上がってくるだろうけど、せっかくだから運んであげよう。


「で、ポチは…… うん、エリちゃんと遊んでて良いよー」 


「やたー」


 なんかエリちゃんも触りたそうだったし、可愛がってもらいなさい。



「んー、いーもの見られたし、私はそろそろ抜けて寝るねー」


「はーい、お疲れ様ー」


「うむ。おやすみ、めーちゃん」


 ログアウトを告げるめーちゃんに手を振る。

 いーものっていうのは、小っちゃいのがわんこの周りでわちゃわちゃしてる姿かな?


 おー、なんかずっとめーちゃんが立ってた所、居なくなるとぽっかり空間が空くなぁ。

 まだそこに来て間もないけど、物理的に大きな存在だから消えると結構な違和感が。


 ていうか根っこの有った場所の土どうなってるんだろ。

 居たところに穴とかも無いし、不思議な力で何とかなってるのかな?




「さて、それでは行くとしよう」


「はーい。シルク、ぴーちゃん、よろしくね」


 お客様の輸送を二匹(ふたり)にお願いして、私は玄関のドアを開けに先回り。

 例によってシルクの両手が塞がってるからね。


「エリシャ、少し頼みがあるのだが」


「はいはーい、何でも聞くよー」


「管理小屋の設備を借りて、湯を沸かして三杯分ほど茶の準備をしておいてくれ」


「はーい」


 ポチを撫でながらしゅたっと反対の手を上げて、ちょっと待っててねと言って管理小屋へ向かうエリちゃん。

 うん、嫌な予感がするっていうかこれ、ほぼ確実にみんなでお風呂の流れだよね。



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