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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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346/3658

346:また伸ばしてみよう。

「そういえばお姉ちゃん」


「ん?」


 ラキに土下座してるお姉ちゃんの肩の下に指を差し込んで、起き上がらせてから声をかける。


「小さくなっても元の大きさまで伸びるのかな?」


「えー、また伸ばすの?」


「嫌なら良いんだけど」


「むぅ、まぁ良いよ。痛くはないしね」


 あー、でも小さすぎてうまく摘まめないかな?

 握り拳がピンポン玉より小さいし。



「ラキ、ちょっと手伝ってくれるかな?」


 笑顔で「任せてー!」と胸を叩くラキ。


「えーと、お手柔らかに……」


 お姉ちゃんが恐る恐るとラキに向けて人差し指を差し出す。

 まぁ今までのラキの態度を考えると、噛まれたり引き千切られたりしそうで怖いわな。

 流石に本気で危害は加えないだろうけどさ。

 私に怒られるのは判り切ってるし。



「ん? えっと、下につければ良いのかな?」


 お姉ちゃんに向けて、手の甲を下にしてテーブルに置けとジェスチャーで指示するラキ。

 どうするのかな?


 あ、糸吐いた。

 あぁ、根元をそこに固定しちゃうのね。



「おお、剥がれない……」


 貼り付けられた手をグイグイ動かして、強度を確かめるお姉ちゃん。

 まぁ引っ張ってみてから剥がれたらいけないしね。


「あ、はい。それじゃおねがいします」


 ラキに指を出せと催促されるお姉ちゃん。

 なんかすっかり立場が下になってない?

 まぁ実際、今の体格差くらいじゃ普通に負けそうではあるけどさ。


「ラキ、ゆっくりやってあげてね?」


 ラキがしゅたっと手を上げて了解の意を示し、両手でお姉ちゃんの指先を包む様に持ってゆっくりと下がっていく。

 おー、伸びる伸びる。




「しかしさっきは怖かったよ」


「あー、うん、ごめん」


 まぁ考えてみれば、手を振ってる時点で声に出して確認しろって話だよね。


「そのまま見えなくなるまで無限に縮められちゃうかと」


「いや、流石にそこまでは出来ないでしょ。……多分」


「判んないよー?」


「ていうかもし出来ても、こっちが怖くなって止めるでしょ」


 いくらなんでも意思の疎通ができなくなるまでやらないよ。

 あ、でもプレイヤー同士ならメッセージって手段があるか。



「いやー、雪ちゃんだからなー」


「いやどういう意味なの」


「だって雪ちゃん、『おー、どこまでいっちゃうんだろう……』ってうっかり続けちゃいそうだもん」


「……否定しきれない」


「でしょー? で、見えなくなってから気付いて、慌てて戻すってなりそう」


「うぅ、我ながら本当にやりそうだ……」


 しかも見えない位に縮んでたら、下手したら普通の空気の流れだけでも吹き飛ばされて、手の上から居なくなっちゃいそうだ。

 触れてないと流せないから、そうなったらもうどうしようもないな……


 ……あ、普通に解除すれば良いのか。

 そっちは別に触れてからとか書いてないし。




「おー、伸びる伸びる……っていうか細すぎて殆ど見えない」


 元々糸みたいな細さだったのが、引き延ばされて髪の毛みたいになってる。

 もうお姉ちゃんの身長の倍以上に伸びてるなぁ。


「あ、そろそろチクチクしてきた。その辺りが限界かもー」


「やっぱり大体普段のサイズの長さだな。私からじゃ全く見えないけど」


 アヤメさんが上からラキの位置で確認してくれた。

 まぁそうだろうな。

 フミさん辺りならこれでも見えちゃうかもしれないけど、普通は無理だろう。

 ……コレットさんとジョージさんは当然の様に見えてそうだけど。



「ラキ、ありがとね。戻って糸を外してあげて」


 はーい、と指を置いてダカダカ走って帰ってくるラキ。

 うん、置いとかないと勢いに負けて千切れちゃうかもしれないからね。


 このまま自然に治るのを待ってたら結構かかりそうだし、【妖精吐息】で加速しておくか。


「んあー……」


 全身に私の息を浴び、リラックスしてへにゃっとなるお姉ちゃん。

 ていうかラキが地味に前に出てきて、ちょっと横取りしてる。

 まぁ良いんだけどさ。




「さて、元に戻ったし逆はどこまでいけるか試してみようか」


 ふにゃーっと座り込んでるお姉ちゃんの両脇に手を差し込んで、ひょいっと持ち上げて立ち上がらせる。

 そのまま触れた手から魔力を流し、少しずつ大きくしていこう。


「このまま元の大きさにまで戻れないかな?」


「ん? もう戻ってるじゃない」


 抱えたお姉ちゃんはもう最初の倍率になってる。

 ここからはもう少し慎重に行くとしよう。


「いや雪ちゃん、これ私の本来のサイズじゃないからね?」


「あぁごめん、人間サイズにか。いやー、流石にそれは無いでしょ。ちょっとコストが高いとは言え、メリットが大きすぎるもん」


「だよねぇ」


 ジワジワと大きくしながら、お姉ちゃんの言葉を否定する。

 うん、死ぬまで持続の治癒強化と痛覚カットとデスペナ軽減を普通の種族が得るとか、ゲームバランス壊れちゃう。

 ……このゲーム、本当にバランスとか気にしてるのか判らないけど。




 あれ?

 魔力を流しても反応しなくなったぞ。


「あー、ここが限界みたいだね。【妖精】より大きくは出来ないみたい」


 うーん、あくまでも【妖精】の所有物みたいな扱いなんだろうか?

 いや名目上は「お友達」だけどさ。


「おー、いつもの雪ちゃんだ」


 遠慮なくふにふに触ってくるお姉ちゃん。

 こら、わーとか言いながら翅を掴むんじゃありません。




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