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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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342/3713

342:復活しよう。

 もふっと頭を埋めたお姉ちゃんの上に、両方の羽を被せて全身を覆い隠すぴーちゃん。

 うーむ、かなりぬくそう。


「お姉ちゃん、そのまま寝ないでね?」


「うー、いっそそうしちゃいたいくらい……」


「ぴぁぁ……」


 胸元で喋るから、ぴーちゃんがくすぐったそうじゃないか。

 いや、声かけたの私だけどさ。



「も、もうちょっと待ってね」


 お姉ちゃんがぴーちゃんの羽の内側でもぞもぞ動いて、くぐもった声を送ってくる。


「無理しない方が良くない?」


「一応、頭では大丈夫だって解ってるから。さっきみたいに慌てなきゃ問題無いと思う」


「ラキが怒ってたの、よく解ったでしょ?」


 さっき直接言ってたけど、改めて聞いておく。


「うん…… あれは襲ったって言われても仕方ないね」


 でっかいっていうのは、それだけで強くて怖いんだからね。

 あ、ラキが腕を組んで「解れば良いんだ」って顔で頷いてる。

 これでもう威嚇されなくて済むかな?




「よ、よし。ぴーちゃん、ちょっと開けてくれる?」


「ぴぅ」


 お姉ちゃんの言葉に従ってぴーちゃんが羽の囲いを少し緩め、顔を出せるように前に隙間を空ける。

 お、羽の上側を持ってそろーっと顔出してきた。


「ひぃ、やっぱでっかい……」


 ひゅっと引っ込んで、またそろそろ出てくる。

 ……なんか見てる分には面白いな。

 引っ越しとか買われたりで環境が変わった動物が、移動用の箱の入り口から周囲の様子をうかがってるみたいだ。

 本人的には笑い事じゃない辺りも同じか。



「あんまり無理するなよ? 別に急がなくて良いからさ」


「うむ」


「だ、大丈夫大丈夫。ぴーちゃん、ありがとね」


「ぴゃっ」


 羽を開けてもらって、ぴーちゃんから降りるお姉ちゃん。

 あ、そういえば土足だったな。

 太ももをぱふぱふ払ってあげてる。



「よーし、ミヤコちゃん復活!」


「ほー。それじゃ、もう一回やってみても良いか?」


「……やったらレティちゃんに同じ事してもらうからね?」


「うん解った、絶対にやんない」


 ……うん、まぁそうなるな。

 でもそれ、そもそも縮めるのにアヤメさんの協力が必要なんだけどね。

 いや、無理矢理できなくも無いけど、それは流石に怒るだろうし。



「しっかしまぁ縮んだな。親指と同じくらいか?」


「そんな太くないもん!」


「わかったわかった、小指な、小指」


 お姉ちゃんが変な所に文句を言う。

 まぁ確かにそうかもしれないけど、別に良いだろうに。



「ちょっと隣に指立てて、比べてみても良いか?」


「隣にドンッて突くのは止めてね?」


「ん、ダメか?」


「アヤメちゃん、自分の目の前に自分と同じくらいの柱が降ってきたらどう思う?」


「あー、うん。『あぶなっ!?』ってなるな。やめとくか」


 実際、大体同じって判ってるんだからやる意味ないしね。




「そういやミヤコ、今更だけどさ。白雪が色々やらかすのは離れて見てるスタンスだったのに、なんで急に立候補したんだ?」


「ん? あー、雪ちゃんのお友達となればぜひ一番乗りしないとって思って。最初のフレンドはアヤメちゃんに先越されちゃったしさ」


「いや、そんな理由かよ……」


「ていうかお姉ちゃん、実の姉から友達って逆に離れて行ってない?」


「はっ、しまった!」


 いや、まぁ姉妹じゃなくなるわけではないけどさ。

 お姉ちゃんもそこに気付いて「まぁいいか」って顔になった。



「よーし、それじゃ色々調べよっか」


「協力してくれるとありがたいけど、良いの? いろいろ変な事になるかもしれないのに」


「ほら、もうこの際だし。私も気にはなるしね。……お手柔らかにお願いしたいけど」


「まぁ止めてって言ってくれれば止めるし、大丈夫かな?」


「うん。それじゃ何からやる?」


「んー…… 耐久試験?」


「いきなり変なの来た! ……まぁ確かに、さっきの事も有るし気にはなるか」


 うん、どこまで大丈夫なのかは大事だと思うんだ。



「じゃ、じゃあまずは引っ張ってみる?」


 人差し指だけを立てた手をおずおずと差し出してきた。


「あ、うん。痛かったら手を上げてくださいねー」


「それ止めてくれない奴じゃない?」


 ツッコミをスルーして右手でお姉ちゃんの手を覆うように掴んで根元を固定し、左手で人差し指の先を摘まむ。



「それじゃ行くよー」


「うん、やっちゃって。……ゆっくりね?」


 うん、そりゃまぁ、一気に引っ張って千切れたりしたら洒落にならないからね。

 ……おー、指の形が崩れる一瞬だけ抵抗を感じたけど、伸び始めたらにゅーっと柔らかく伸びていく……


「うぅ、変な感じだなぁ。こんなことになってるのに、ちょっと強く引っ張られたくらいの感触しかなかった……」


「うわー、これまだ伸びるの……?」


 もう人差し指がお姉ちゃんの身長より長くなってるぞ……

 糸みたいに細くなっちゃってて、いつ切れるかハラハラするよ。



「あっ、ちょっ、ストップストップ! なんかちょっとチクチクする!」


「あ、うん。……アヤメさん、これ普段のお姉ちゃんの指の長さくらいじゃない?」


「あー、そうだな。見づらいけど大体そのくらいだろ」


「お姉ちゃん、小指も試してみて良い?」


「う、うん。ちょっと怖いけど良いよ」


 伸びきった人差し指をテーブルに置くと、ちょっとずつスルスルと戻って行ってる。

 あー、やっぱり良い匂いしてるなぁ。



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