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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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314/3658

314:声をかけられよう。

 んー、後はジェイさんについてとか……

 でもアレ、ドッキリネタみたいな感じだしバラさない方が良いんだろうか。

 いや、もうお姉ちゃん達には言ってるけどさ。


 てか言っておこうにも、もう塀が見えてきたな。

 百聞は一見にって言うし、無理に言わなくても良いか。


「お、あれあれ」


「これは確かに判りやすいですな」


「物々しいですねぇ」


 ロクさんが塀を指さし、二人がコメントする。

 まぁ形だけでも閉じ込めてますって雰囲気を出すためだからね。




「あれー? 白雪さんだ」


「あれー? どうしたのかな?」


「うおっ!?」


 なんかいきなり左右から聞き覚えの有る声が。

 確か帰りにサフィさんがお仕置きされてる時に、ジルさんを煽ってた二人だ。


 ふだん索敵役やってるアヤメさんが、必要以上にビックリして身構えてる。

 NPCの隠密さん達、本当に気配が無いからなぁ。

 私の【魔力感知】にも引っかからないし。



「大丈夫、敵じゃないよ」


「大丈夫、そこの警備だよ」


 言いながら道の端からスゥっと猫耳の男の子が出現してきた。

 おおう、まだ子供じゃないか。

 そこ隠れる物何もないけど、それは今更だな。


 反対側の端にも、こちらは猫耳の女の子が出てきてる。

 うん、こっちもシルクとそう変わらない年頃に見える。

 ていうかほぼ同じ顔だ。双子かな?


 なんとなく服装で性別を判断したけど、合ってるんだろうか。

 その辺は必要があれば自分たちで言うだろうし、まぁ良いか。

 こちらからそれに触れなければ、間違えて怒られることも無いんだし。



 二人はこちらが話しやすい様にするためか、少し前に歩いて同時に視界に入る位置に移動した。

 でもそれぞれ端からは動かないんだな。

 真ん中で並んでくれた方が話しやすいと思うんだけど、まぁ何か意味が有るんだろう。

 ただの趣味とかかもしれないけど。


 ……あー、なるほど。

 買い出しに行かされた帰りだから、出てきてたのか。

 なんか持ってる籠からネギみたいな長い野菜がはみ出てるし。


 とりあえず名指しで声かけられてるし、私が答えるべきか。

 そもそも面識有るの私だけだし。

 いや、ラキとぴーちゃんもだけど話せないしね。


「こんばんはー。この人達がディーさんの研究に興味が有るって言うので、紹介しようと思って一緒に来ました」


 アルさん達三人を手で示しながら、来た理由を説明する。



「へー。物好きだね」


「へー。命知らずだね」


 面白い物を見る顔をしつつ、少し物騒なコメントをする二人。


「あ、忘れてた。僕はレスト」


「あ、忘れてた。私はレイト」


「よろしくね」


 おおう、最後の一言だけ頭を下げながら完全にハモってきた。

 声も殆ど同じだから、一人の声を左右に置かれたスピーカーから聞いてるみたいな感じになったぞ。




 応じて皆もそれぞれに挨拶して名乗る。

 ついでにさっきは連れてきてなかったシルクも紹介してもらった。


「なるほど、全員ではないんだね」


「なるほど、付き添いなんだね」


「私らはね。てかさ、その初めの一言を繰り返すのは癖か何かなの?」


 どうにも気になってしまったらしいアヤメさんが質問する。

 うん、まぁ気になるよね。


「いやー、双子っぽいでしょ?」


「いやー、双子なんだけどね」


 あ、やっぱ双子だった。

 まぁメイクとかじゃなきゃ見れば判るレベルで同じ顔だけどさ。

 でもその喋り始めはただのキャラ作りなのか。


 ……ていうか隠密さんがキャラを濃くしてどうするんだろう。

 まぁそういう必要もあるのかもしれないし、ジョージさんやランディさんが止めさせてないって事は、少なくとも問題は無いんだろう。



「別に普通に喋る事も出来るよね」


「うん、普通に話せるよね」


 まぁ、そりゃそうだろうな。


「二人一緒にも話せるし」


 おお、完璧に揃えてきた。



「こんな」「感じに」「バラ」「バラに」「くぎっ」「てしゃ」「べった」「りも」「できる」「よー」


「うおお…… やめてそれ、なんか混乱しそう」


 二人で一つの文章を細切れにしてから交互に発音してきて、アヤメさんが額に手を当てて唸る。

 凄いな。

 普通に喋った音声を機械で左右に振り分けたみたいに、違和感なく滑らかに繋がってたぞ。


 いや、違和感が無いのは発音の滑らかさだけで、それが左右から聞こえてくるのは物凄く変な感じだったけど。




「おっと、遊んでないで戻らないと」


「おっと、ジルに怒られちゃう。ついてきてー」


 あー、お使いの最中なら早く戻らないとね。

 食材を買ってるっぽいし、ご飯の支度があるんだろう。


「お使いに行ってたのかな?」


「うん、晩御飯の材料とかね」


「うん、下っ端はつらいね」


 お姉ちゃん、一応相手はちゃんとした警備の人なんだし、子供相手の話し方はどうかと思うよ。

 いやどう見ても子供だけど、それでもここに居るってことは相応の実力が有るって事だし。



「あ、いや、自分で進んで行ったから」


「あ、いや、こき使われてるわけじゃないから」


 急に慌てた声を出すからどうしたのかと思ったら、門の近くでジルさんがしょんぼりした顔してた。

 嫌な上司だと思われてたのか……って感じだろうか。

 あの人無表情で力持ちだけど、意外と繊細なのかな?


 二人が私たちを置いて駆け寄って、ジルのご飯美味しいとか大好きとか言って励まして……

 あ、まとめて抱きしめられてニ゛ャーって叫んでる。

 ジルさん、力加減ミスったのか。



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