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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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300/3658

300:作ってあげよう。

 ふいー、食べた食べた。

 やっぱ初参加の人達は遠出して戦ってたんだろうな。

 どの人も一発一発が強力で美味しかったし。


 美味しいご飯をくれた人にサービスで【妖精吐息】を多めに吹きかける事で、薄味の人により一層の努力を促そう。

 ……ここにつぎ込むために外でMPをケチらない事を祈る。



 カトリーヌさんも吹き終わったみたいなので呼び戻して整列だ。


「ありがとうございましたー!」


 聞こえなくても一応しっかり声を出しつつ、シルクとぴーちゃんも一緒にお辞儀。

 あ、この後仕切る人が居ないや。

 魔人さんに任せれば大丈夫かな?


「シ…… ありがと」


「横で見ていてもどう着せているのか解りませんわねぇ……」


 シルクに「とりあえず服ちょうだい」と言おうとして顔を向けたら、その時にはもう上下一式を着せられてた。

 なんかどんどんタイミングが早くなってない?

 最終的に思った時にはもう着脱されてるとかになるんじゃ……

 まぁ良いか。楽だし。



「さて、それじゃ終わりだな」


 お、やっぱり魔人さんが仕切ってくれるか。

 「良いんだよな?」って感じでこっちを見てきたので、オッケーと頷く。


「おし、それじゃ解散だ。お疲れさん」


「れっしたー」


「うぇーい」


 締めの挨拶に軽い返事を返しつつ、解散する…… いや、しない人達。

 皆してもう一つの集団に向かって移動してるだけじゃないか。

 いや、仲間の前衛がそっちに居るから迎えに行ってる人も居るっぽいけどさ。




 さてさて、お姉ちゃんはちゃんと動かせる様になったかな?


「あ、勝手にごめんねー。借りてるよー」


 おや、知らないお兄さんが残ってた一つで練習してる。

 かまわないよーと頷いておこう。


 装備からして剣を使う前衛だろうに、魔力を扱えるとは珍しいな。

 魔法剣士とかそういうのかな?



「ふぬー!」


 お姉ちゃんは何をムキになって…… あー。


「甘い甘い」


「んもー! 何でそんなぎこちない動きなのにー!」


「あんたの攻撃は判りやすいんだよ、っと」


 ……うん、姉妹揃って似たような扱いされてる。

 動かす事自体はお姉ちゃんの方が上なんだけど、アヤメさんの不慣れな操作でも全部避けられてるし。



「アヤメさん、ちょっとよろしいですか?」


「お? お疲れ。どうした?」


 なんかカトリーヌさんが待ったをかけて近寄っていくぞ。

 どうするつもりかな?


「私が相手ですわー!」


「え、ちょっとこれ大丈夫なの?」


 アヤメさんの人形を横に退けて、代わりにお姉ちゃんの人形の前に立つカトリーヌさん。

 うーん、人形と同じくらい動けるなら問題は無いんだろうけど……



「何やってんのカトリーヌさん…… いや、まぁうん、大丈夫……なんじゃないかな……?」


「ふっふっふ。ミヤコさんのへなちょこパンチなど、一発たりとも当たりませんのでご心配なく」


「なんだとー!」


 カトリーヌさんの非常に判り易い挑発に乗ってしまうお姉ちゃん。


「これ、ムキにならせておいて一発もらおうとしてるだけだろ」


「うん、まぁ放っとこう。お姉ちゃんの【妖精】殺害数が一人増えるかもしれないけど」


「カトリーヌだしな」


 ていうか魔力で動かしてるなら効かない可能性もあるのか。

 あー、でも魔法で出した土じゃなくてただの訓練場の土だし、微妙な所だな。

 


「……やる?」


「やらないよ?」


 相手を取られたアヤメさんが聞いてくるけど、アレと一緒にするんじゃない。

 ていうか私お姉ちゃんと同類だから、カウンターもらって沈むイメージしか湧かないよ。


「あ、私やりたーい……ってもう無いのかー」


 魔法使い組から狐のお姉さんが一人名乗り出て来て、余ってない事を思い出してガッカリしてる。

 別に糸出すだけなら簡単だし、ご飯食べたばっかりだからMPにも余裕が一杯だ。

 という訳でにょろりと。



「あ、作ってくれるみたいですよ」


「わ、ありがとー」


 アヤメさんの言葉でこっちを見て喜ぶお狐さん。

 いえいえーと頭を下げておこう。


 ついでに土も盛り上げて、人形の形にする。

 例によって細部は任せよう。



「はいどうぞー」


 糸の端を摘まめるように三十センチほど余裕を持って掴み、お狐さんに差し出して受け取ってもらった。


「ありがとね。よーしウサちゃん、ちょっと練習するから待っててねー」


「アヤメです」


「まーまー」


 名乗っても「ウサちゃんでも良いじゃなーい」って感じでさらっと流されるアヤメさん。

 なんだろう、ノリは軽いけどレティさんと似た様な空気を感じる。

 にしても、色白にツリ目細目で狐耳の似合うおねーさんだなぁ。

 ……化かされそう。




 なんか俺にも私にもって視線を感じるけど、後回しにしてレティさんの方を見てみよう。

 ラキは頑張ってるかなー?


「あ、お疲れ様です。……ラキさん、強すぎませんか?」


「あー、レティさんでもダメだったか」


 ラキが「へいへーいどうしたー」とばかりに足を止めて腕をブンブン振ってる。

 うおう、レティさんがこっちを見たままそこに人形の手を叩きつけた。

 うん、当然のように別の場所で同じ動きしてるな。


 一回あるちゃんにむぎゅってされた反省からか、勝ち誇ってる時も油断しなくなってるっぽいからなぁ。

 あ、人形の頭に駆け上ってこっちに笑顔で手を振ってる。


 よしよし、頑張れー。

 あ、また避けた。

 代わりに人形の頭が歪んじゃったけど、生き物じゃないからセーフだな。




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