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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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288/3658

288:担当しよう。

「あー、まぁ皆揃った訳だし行こうか」


 流れを打ち切ってさっさと行こうと提案する。

 なんかこのままの流れで話してたら、私の趣味みたいな言われ方されそうだし。


「だな。ほら、シルクちゃんおいで」


「あー、またシルクちゃん取られたー」


「別に良いだろ」


 すかさずシルクを頭に乗せるアヤメさんに、ぐぬぬといった顔で文句を言うお姉ちゃん。

 まぁいつもの事だな。



「とか言ってる間にラキちゃんも!」


「別に……と言いますか、ミヤコさんがラキさんを運ぼうとしたら、指を噛まれかねないのでは?」


「う」


 レティさんにツッコまれて言葉に詰まるお姉ちゃん。

 うん、今もレティさんの手に乗ってシュッシュとお姉ちゃんに向けて素振りしてるしね。



「あー、まぁ流石に毒とか流したら叱るから、実害は無いと思うけどね」


 ラキちゃんよ、「えー、ダメー?」みたいな顔してもダメです。


「体が痛くなくても心が痛いよ? というわけでぴーちゃん、おいで…… あ、うん……」


「ぴー?」


 そんな事をしている間にちゃっかりぴーちゃんを頭に乗せているエリちゃんを見て、しょんぼりうなだれるお姉ちゃん。

 うん、いい加減アヤメさんを見習って、すぐ動く様にしなさい。




「さ、行こうか」


 そんなお姉ちゃんをスルーして、アヤメさんが出発を促す。


「ぴー」


「おっ、ぴーちゃん優しいねー。うん、行ったげなよ」


 見かねたぴーちゃんが一声鳴いてエリちゃんの頭から飛び降り、「あっち行ってくるー」とジェスチャーで示してテーブルに向かった。

 


「ぴーちゃん大好きぃだだだだだだ」


「ぴぃっ!」


「あんた、ほんと懲りないな……」


 また両手で抱きしめて頬ずりしようとして、頬っぺたに鉤爪が食い込んでる。

 あ、ちょっと刺さった。



「うぅ、レティちゃーん」


「駄目ですよ。少し反省してください」


「はーい……」


 少し血が出たので治してーと頼むも、あっさり断られる。

 うん、まぁ仕方ない。


 現実だと色々危ないから早いとこ治療した方が良いけど、こっちだと大丈夫だろうし。

 というか大丈夫じゃなくても治せるし。




「ま、逃げられないだけ良かったじゃないか」


「うん、ぴーちゃん優しい……」


「ぴっ」


 お姉ちゃんの肩に乗って、「まったくもう」といった顔でふすーと息を吐くぴーちゃん。

 なんだかんだで、なぜか嫌われてはいないんだよね。


 お前が言うなよって言われるだろうけど、妙に寛大だよなぁ。



「流石ぴーちゃん様ですわ。さ、行きましょう」


「そうだね。何が流石なのかはよく解らないけど」


「それはもちろん」


「はいはい、さっさと行こうね」


 カトリーヌさんが妙な事を言い始める前に、さっさと打ち切って移動を始める。

 いや、私が言う様に仕向けたみたいなものだけどさ。




「いってらっしゃーい」


 庭の入り口で見送るめーちゃんに、皆で返事をしながら横を通って庭から出ていく。


「そういや、何食べる? 私は特に希望は無いけど」


 門を出た所で、決めていなかった事を思い出したアヤメさんが口を開いた。


「あー、どーしよっか。レティちゃんは?」


「そうですねぇ。では、お魚の屋台ではどうでしょう」


「お、いーねぇ」


 レティさんの提案にエリちゃんが乗り気に。



「ん、どうしたんだい? ……あー、やめとかない?」


「え、アヤメちゃんどうしたの? 美味しいって言ってなかったっけ」


「いやほらその、あそこはシルクちゃんが……」


「あー…… 雪ちゃんがトラウマ植え付けちゃったとこだっけ」


 むぅ……

 アヤメさんの頭に引っ付いたシルクが、微妙にぷるぷるしてる。



「え、大丈夫? でも…… あぁぁぁ、解った、解ったから勘弁して」


 ぽむぽむっとアヤメさんの頭に手を置いて気にするなとアピールし、それでも心配するアヤメさんの耳に手を添えて威嚇するシルク。

 相変わらずどういう脅しだ。


「うん、なんか変えるって言ったらアヤメちゃんが酷い目に遭いそうだし、お魚食べようか」


「それはそれで面白そうですけどね」


「他人事だと思いやがって……」


 レティさんをジトッと睨むアヤメさん。

 相変わらずレティさんは、アヤメさんをイジれそうなポイントでは容赦無いなぁ。




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