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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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264:訓練を振り返ろう。

 ポキッとへし折られた柱を岩に練り込み、再度生やして同じ様に返り討ちに遭う。

 ……ぬぅ。


「えーと、まぁこんな感じでボロ負けしてたんだけど」


「雪ちゃんよわーい」


「うっさいやい。で、そしたらラキが乗り込んできて私が相手だーってアピールしてきてさ」


 あ、走ってきた。


「……まぁ見ての通り、こうなったよ」


 ダッシュの勢いをそのままにジャンプして、カトリーヌさん側の人形を吹き飛ばすラキ。

 大きさを揃える工程をカットしたけど、結果は同じだから別に良いか。



「おー、ラキちゃんすごーい」


「白雪と違ってな」


「ええい、やかましいよ。んで、これ柔らかいよーって言うからカトリーヌさんが丁度良い硬さにしてから、試合が始まったと思ったら途中から何故かボクシングの指導に変わってた」


「ラキ様、糸で器用にグローブをお作りになっておられましたわね」


「うん。なんか妙に手慣れてたのが気になるけど、まぁそれは良いとして。私はその間に、こんな感じで糸を経由して操れないか試してた」


 両手からにょろっと糸を垂らして、岩の一部を盛り上げて人形を作り出す。

 うん、少しは早く作れる様になったな。



「おー、マリオネット。あ、こけた」


「いやー、これ難しいんだよ。吊り下げれば良いんだろうけど、それじゃなんか負けた気がするし」


「何にだよ。まぁ言いたい事は解るけどさ」


「とまぁこんな感じに苦戦してたら、ジョージさんがサボりに来た」


「いやいや、仕事だっつったろうがよ」


 ジョージさんがスッと出てきて抗議してくる。

 いやー、サフィさんに押し付けてしっかり遊んでたと思うけどなー。



「まぁ何でも良いですけど。で、ジョージさんにも糸を渡して、二人でしばらくやってたら今度はアリア様がサボりに」


「私とて休憩くらいするさ。座りっぱなしは体に悪いのだ」


「まぁそうですけどね。そんでアリア様とコレットさんにも糸を渡して、皆で練習してた」


「良いなー。ちょっと楽しそう」


「後でやらせてもらえば良いんじゃないか? どうせ今日も試食会はするんだろうし」


「試食会……? あ、【MND強化】の訓練の事か」


 いや、まぁ確かに撃ってもらった魔法は食べてるけどさ。

 別にその後で誰か選んで食べる訳じゃないんだからね?




「それから少しして、私とカトリーヌさんは切り上げて他の訓練に移ったんだけど」


「今度は何?」


「【血肉魔法】の訓練って出来ないよねーって言ったら、カトリーヌさんがそうでもないとか言って、いきなり自分の腕を切り落としてね……」


「うっわぁ……」


「残った腕で細かく刻んでぐっちゃぐちゃにかき混ぜて、さぁどうぞって言うんだよ」


「無茶にも程があるだろ……」


「もうやっちゃったものは仕方ないから、諦めて私も触ったけどね」


「糸を介せば良かったのでは?」


「うん、後でカトリーヌさんに言われてから気付いた」


「相変わらずだな」


「雪ちゃんだしねぇ」


「だまらっしゃい」


 納得するんじゃないよ。



「その後もしばらく訓練を続けて予定の時間が来たから訓練を切り上げて、カトリーヌさんの腕をジョージさんにパパッと治してもらった」


「へー、治療も出来るんですね」


「一人で動く事も多いからな。ある程度なんでも出来にゃならんさ」


「私では流石に一瞬とは行きませんね。まだまだ修行が足りません」


「まぁ年季の違いだわな。いくら本職とはいえ、そんなすぐに追いつかれたら俺の立つ瀬がねぇよ」


「いや、本職の癒術士として、こんな冴えないオッサンに負けていては悔しかろう。精進するが良いぞ」


「だから地味なのはわざとやってるんだって言ってるでしょうに……」


 地味とか言えそうなところにはすかさずぶっこんでいくな、アリア様。



「で、後で工房の方に行くんなら研究所で粉を調べてもらえって言って、案内に部下の隠密さんを付けてもらったよ」


「へー。どんな人?」


「えーと…… サフィさんって言う人で猫の獣人さんで、なんていうか…… うん、素直な人?」


 自分の欲望にだけど。


「まぁ、精一杯優しく言やそうなるか」


「率直に言うと?」


「サボり魔だな」


 お姉ちゃんの質問にぶっちゃけるジョージさん。

 うん、一言で言えばやっぱりそうなるよね。



「ま、まぁそれはともかく受付でぴーちゃんを起こして、シルクを迎えに一旦家に帰って」


「迎え? あぁ、お昼はおばちゃんの所でおやつの時間だっけ」


「そそ。まぁシルクを呼ぶ前にソニアちゃんの所に寄ったんだけど」


「え? ソニアちゃん、出られないでしょ?」


「うん。だからエリちゃんに付いて来てもらって、おみやげを持って帰ってもらおうと思ってね」


「あぁなるほど、何が良いか聞きに行ったんだね」


「そゆこと。あとエリちゃんもそこに居たから、呼ぶのも兼ねてた」


 そういえば最初に入った時、サフィさん連れてきてるって言い忘れてたなぁ。

 後で寝てて見つかった時もソニアちゃんは気にしてなかったっぽいけど、今度から人の家に誰かを連れて入る時は、一応ちゃんと言った方が良いよね。



「入ったらソニアちゃんの召喚獣の、黒くておっきなにゃんこが二匹いてね」


「おー、そういえば【召喚士】なんだっけ」


「うん。で、片方の子とラキが追いかけっこ始めてね」


「モニカさん、紙がくしゃくしゃになっちゃいますよー?」


 ……見たかったって事か。

 うん、あれは仕事中だったから仕方ないよ。



「どうなったのかな?」


「ラキが上手い事逃げ切ってたんだけど、最後にクッションの上でふふーんってなってる所をぽむっと押さえられて負けてた」


「油断大敵という事ですね」


「だね。ラキもそれは解ってて、すごい悔しそうにしてたよ」


「はっはっは。次は頑張れ」


 むぅって感じでアリア様の激励に頷くラキ。

 うん、何気にちょっとした恥を公開してしまった。

 なんかごめんね。



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