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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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252/3658

252:お話を聞こう。

 露骨にやる気を出したモニカさんは放っておいて、先にテーブルでくつろいでいた三人の所へ。

 なんか帰ってきたばかりにしては、妙にアヤメさんが元気だな。


「アヤメさん、何か良い事でもあったの?」


「いや、それがさ。昨日のマッサージに特殊効果が有ったみたいなんだよ」


「あー、コレットさんにゴリゴリされてたやつ?」


「うん。妙に体が動くなーってステータス見てみたら、なんかボーナスが入ってたんだよ。そろそろ時間切れなんだけど、痛い思いをした甲斐は有ったなぁ」


「丁度来てるんだし、今日もお願いしてみたら?」


「いや、そんな軽々しく頼める相手じゃないだろ…… そもそも他の仕事してる最中じゃないか」


 まぁホイホイ来てるから感覚が狂うけど、立場を考えると本当なら会う事すら難しい相手だもんね。

 


「む? なに、マッサージくらい構わんだろう? コレットよ」


「はい。姫様の仰せのままに」


 こちらの会話を聞きつけたアリア様が、ニヤニヤしながらコレットさんの了解を得る。

 悪い笑顔だなー。


「すいませんマジで勘弁してください。あれ本当に痛いんですよ……」


「うむ、身をもって知っているさ……」


 ちょっと遠い目になるアリア様。

 実は巻き添えが欲しいだけじゃないのか?



「そういうものですので、耐えて頂きませんと」


「うむ、解っている。解ってはいるのだ」


「痛い物は痛いですからね」


 なんか変な連帯感が生まれてない?

 いや仲良くなるのは良い事だけどさ。



「そういう事だ。まぁ必要な事だからな…… 仕方がない」


「頑張ってください」


「むぅ、他人事だと思いおってからに」


 と思ったら裏切った。

 まぁ誰だって痛いのは嫌だよね。

 一部(カトリーヌさん)を除いてだけど。




「ところで、今日は何か面白い事は有った?」


 なんとなく聞いてみる。

 まぁこれ、別に今聞かなくてもご飯食べてる時で良いんだけど。


「いえ、特にそういった事は。普通に戦って、普通に採取してきただけですね」


「あっはっは。雪ちゃんじゃあるまいし、そんないつも愉快な日常送ってないよー?」


「いや、人をなんだと思ってるのさ……」


 私だって別に騒ぎを起こしたい訳じゃないんだぞ。



「うーん、空飛ぶ災害?」


「真面目にそんな事言われても困るんだけど」


 ちょっと考えて出てきた妹の表現が「災害」て。


「まぁあながち間違ってもいないのではないかな?」


 おおう、アリア様まで……

 なんか扱いが酷くない?



「白雪は不服そうだが、実の所【妖精】は災害扱いされても仕方ない一面もあるからな」


「何かご存じなのですか?」


「遥か昔の事だが、【妖精】達の怒りを買って村を滅ぼされたという記録が残っている」


「えー……」


「雪ちゃん怖っ」


「いや待って待って。言うまでも無く私じゃないから」


 遥か昔って言ってるじゃないの。



「何故そのような事に?」


「詳しくは記されていないが、ある日ふらりと訪れた【妖精】の群れをもてなそうとしたところ、何が逆鱗に触れたのか突然暴れ始めたそうだ」


「雪ちゃん怖っ」


「だーかーらー」


 私じゃないっつーのに。

 っていうかその【妖精】達、理不尽すぎない?


 いや何があったのか判らないから、何とも言えないけどさ。

 もしかしたら私でも怒る様な何かが起きた可能性も、無いでは無いし。


 うちの子達がカトリーヌさんみたいな目に遭わされてたら、多分暴れるし。



「生き延びた人は居るのですか? あ、少なくとも【妖精】の仕業と証言した人が居る筈ですね」


「うむ。暴れ始めてすぐに、隣村に報告に走った一人だけが生き残った訳だ」


「よく逃げ切れましたねぇ」


「運が良かったのだろうな。記述からするとその者の他にも数人が別々に走ったそうだが、他の者達は皆そのまま消されてしまった様だ」


「雪ちゃん酷い……」


「ええい、しつこいお姉ちゃん。いちいち茶化すんじゃないよ」


「いや、だって思ってたより重くて」


「いやうん、まぁそれは解るけど」


 私も割と引いてるけど。

 普通討伐対象にされるだろう、そんな生き物。

 なんで優しくしろって言い伝えられてるんだ。



「二日後、村に戻った報告者が見たのは」


「もう勘弁して下さい……」


 うん、群れが災害扱いされても仕方ないのは良く解ったから。

 でも一人じゃそんな事は出来ないからさ。



「む? 惨状は聞きたくないか」


「よく解ったんで。もう災害でも何でも良いですから」


 惨状って言っちゃってるし。


「ふむ、そうか」


 良かった、素直に引いてくれた。

 あんまりそういう話されると、ぴーちゃん達にまで怖がられそうだよ。

 ちょっと手遅れな気もするけど。

 なんか退き気味だし。


 っていうか、レティさんはなんでちょっと残念そうなんだ。

 聞きたかったのか?



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