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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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246/3658

246:起こさないであげよう。

「あ、と……」


 穴への魔力球の投下を、突然止めるソニアちゃん。


「どうしたの?」


「そういえば、アリア様の話だと、【純魔法】って……」


「ん? えーっと…… あー、なんか土が手に付くのが気になるから使うってだけだったっけ?」


「うん、確か、そうだったよね…… それじゃ、【錬金術】の、練習が先かなって……」


「あぁ、確かにそうかもね。【魔力武具】が無くても、これだけサクサク掘れてるんだし」


 研究所に行ってる間だけで、少なくとも三階層分くらいは掘れてるっぽい。

 どのタイミングで掘り始めたのかは判らないし、途中でおやつ休憩も挟んでるはずだけど。



「それに、霧になれば、落とせるから…… 本当に、掘る時に、気になるだけ……」


「あー。そう言えば手に土、付いてなかったね」


「こんな感じ……」


 ソニアちゃんが私の前に手を近づけて、もやもやっと手首から先だけを霧にする。

 おお、一部だけ変化ってのも出来るんだ。


 指に残ってたっぽい岩の欠片や細かい土が、ぽろぽろ落ちていった。

 フッと手が元に戻ると、綺麗に全部落ちていた。

 いや、まぁ一部だけ残ってたら何でだよってなるけど。



「おー、便利だねー」


「現実でも、出来たらなー……」


「あはは、気持ちは解るけどね。【妖精】も色々便利だし」


「まぁ、それはともかく…… その人、雪さんの、お友達……?」


「えっ? ……あー、ごめんなさい。言ってなかったや」


 いつの間にかエリちゃんの隣で、サフィさんが丸まってぐーすか寝てる。

 本当にすぐ寝るな、この人……


 というか、せめて見えないところでこっそりサボりなさいよ。

 いくらなんでも堂々としすぎだよ。



「この人は、役場で案内につけられたサフィさん。まぁ見ての通りな感じの人かな」


「にゃんこっぽくて、かわいい……」


「あ、そういう感想なんだ」


「これ、お耳触ったら、怒るかな……?」


「あー、まぁ一応、ちゃんとお願いしてからにした方が良いと思うよ」


 相手は猫じゃないんだしね。

 体に触るなら、ちゃんと許可を取るべきだろう。


 まぁその本人は、寝てたエリちゃんに勝手にひっついて寝てるけど。



「そうだよね…… 起こしても悪いし……」


「いや、この人一応今も仕事中だから、本当なら起こすべきではあるんだけどね」


「でも、すごく気持ち良さそうに、寝てるし……」


「まぁ、うん。用事が有るわけでも無いから、放っといてあげようか」


 さっき散々酷い目に遭ってたしね。

 まぁ移動する時には容赦なく起こすけど。




 そういえばぴーちゃん達は何やってるんだろ。

 あるちゃんとケンカとかしてなきゃ良いんだけど……

 いや、流石にケンカしてたら私もソニアちゃんも気付くか。


「あ、良いなー」


 棚の上で横になったあるちゃんのお腹に、ぴーちゃんがもふっと寄りかかってのんびりしてた。

 柔らかくて気持ち良さそうだ。


 なぜかラキはあるちゃんの頭の上に移動してたけど、嫌がってる素振りは無いから構わないのかな。



「雪さんも、混ざってきたら……?」


「うーん、それじゃお言葉に甘えて」


 ふわーっと近づいて行くと、一瞬だけあるちゃんのおててがピクッて反応した。

 うん、お願いだから我慢してね?

 ねこパンチなんて食らったら、お部屋が汚れちゃうからね。



 棚に着地して、あるちゃんのお腹の横から顔の方に歩いていく。

 近づいたらまた嗅がれた。そんなに石鹸の匂いが気になるのか。

 嫌がってる訳じゃなさそうだし、勘弁してもらおう。


 あるちゃんの耳の付け根にぽふっと手を当て、下に向けて滑らせる。

 感覚は鋭敏だろうし、私の力でも撫でられてることくらいは解ってくれるだろう。

 多分。



「それじゃ、失礼しまーす」


 一応断ってから、ぴーちゃんの横にもふっとダイブする。

 うおー、もっふもふだー。

 やっぱ猫のお腹って良いなー……


 珠ちゃんに比べると少しだけ硬めかな?

 まぁあっちは仔猫だし、そんなもんなのかな。


 でもこれもまた違う良さがあるからなぁ。

 それはそれ、これはこれってやつだ。

 なんか違う気もするけど。



 あ、ラキが駆け寄ってきた。

 よくそんなモフモフの上を軽快に走れるなぁ。

 あー、まぁ埋まるほどの自重も無いか。


 なんか、だらーんと伸ばした私の手の下に潜り込んで来た。

 良く解んないけど、とりあえず撫でておくか。


 横で見てたぴーちゃんも引っ付いてきたので、反対の手で羽を撫でてあげた。

 おー、これもまた違った感触で気持ち良いな。



 ……なんかあるちゃんもこっちに顔を近づけてきた。

 目を閉じて頭を差し出してきてるし、私も撫でてーって事かな?

 私の腕力じゃ撫でても大して気持ち良くないだろうけど、せっかくなので撫でまわさせてもらおう。




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