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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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244:拭かれよう。

 なんとかラキとぴーちゃんを説得して、自分を使って私を洗わない様にお願いしておく。

 洗ってくれるのは構わないけど、自前の体毛じゃなくてタオルとかを使ってね。


 とは言っても私を洗うってお仕事を、シルクが他の子に譲るとは思えないけど。

 まぁ一部を分けるくらいは有り得るか。



「さて、それじゃ続きをお願いね」


 ラキのお尻でこすられてる最中に止めたので、まだ全身が泡まみれなんだよね。

 私の指示に応じて差し出されたシルクの左手に体を預け、全身の力を抜いてだらーんと手足を垂らす。


 私のお世話をするのがシルクにとっての幸せらしいから、丁度良いのでご褒美代わりだ。

 行為自体はちょっとアレだったけど、やった理由は私のためだし。



 流し残しの無い様に念入りに洗われ、横からぴーちゃんが差し出したバスタオルでくるまれた。

 すぐに拭かないのかなと思ったけど、どうやら先にラキも洗ってしまうからそのまま待っててねって事らしい。


 それじゃ解けない様に端っこを持って、大人しく待機してますかね。

 これ、多分自分で拭き始めたら悲しげな顔になるだろうし。



 おー、シルクからだとかなり小さめなのに器用に洗い流すなぁ。

 相手が私じゃなくて同僚だから、もう少し雑な感じになるかなーって思ってたけどすごく丁寧な仕事だ。


 あぁ、私の召喚獣のお世話だから、間接的に私のお世話って事になるのかな?

 それなら手は抜かないだろうし。




 綺麗になったラキを、ぴーちゃんが両方の羽の間に渡したタオルの上に乗せるシルク。

 あ、ばふって挟まれた。


 ぴーちゃん、仕方ないとは思うけどちょっと雑じゃない?

 まぁ勢いはあったけど、力は入れずに優しく挟んでるし大丈夫かな。



 っと、見てたら横から抱っこされた。

 脱衣場に運ばれて身体を包むタオルを剥がされ、置いてあった別のタオルで優しく水気を吸い取られていく。


 あぁ、やっぱりラキ的には拭かれ方がちょっと不満だったみたいだな。

 ぴーちゃんの頭に登って、うつ伏せになって軽くぺちぺちしてる。

 まぁ怒るって程じゃないみたいだし、ちゃんと水気は取れてるみたいだから大丈夫だろう。



 頭からつま先まで、綺麗に水気を拭き取られて妖精の服を着せられる。

 あれ、こっちだけ?


 せっかくだから着替えさせられるのかな。

 まぁ構わないけどさ。



 部屋で新しく取り出した服を着せられ、再度抱っこされて玄関ホールまで連れて来られた。


「シルク、ありがとね。それじゃ、まだお仕事頑張ってる?」


 コクッと頷く。まぁ聞くまでも無いか。

 ぴーちゃんとラキは引き続きついてくるっぽい。


 ドアを開けてくれたシルクに手を振り、再度お出かけに出発だ。

 まぁお出かけって言っても、とりあえずソニアちゃんの所に再度お邪魔してみようと思ってるけど。




「ソニアちゃーん? 白雪でーす」


 【妖精】用の二重ドアを一枚くぐり、内側のドアをコンコンノックして呼びかける。

 返事が無いけど、にゃんこが移動してる様な音が聞こえる。

 おや、中からドアが開かれた。



「おおぅ」


 開いたドアをくぐってすぐに、横の棚に乗ったあるちゃんが顔を近づけてくんくんと嗅いできた。

 どうやら、あるちゃんが肉球でドアノブをぷにっと押さえて開けてくれたらしい。


「ありがとね、あるちゃん。お邪魔します」


 私のお礼に小さくニャッと鳴いて、再度私を嗅いで少し怪訝な表情になるあるちゃん。

 あー、石鹸の匂いが気になるのかな?



「あ、エリちゃん…… って寝てるし」


 ソニアちゃんのベッドに転がって、すやすやと寝ているエリちゃん。

 なんかいい感じにフィットするのか両脚の間にえるちゃんが香箱を組んで、顎をエリちゃんに載せて寝ているのが見える。

 あ、片目をちょっと開けてこっち見た。

 そしてまた寝た。うん、邪魔はしないよ。


 ソニアちゃんは…… あ、早速穴掘ってるんだな。

 部屋の隅の穴からごそごそ聞こえてくる。



 あ、穴から黒い霧が出てきた。

 穴の横で人の形に集まって、中が見えないくらいに密度が高くなる。

 おや、見えない内側で実体化してたらしいソニアちゃんの体に霧が吸い込まれて行った。


「い、いらっしゃい、雪さん…… リンゴ、おいしかった…… ありがと」


「お邪魔してまーす。どういたしまして」


 まぁ運んでくれたのはエリちゃんなんだけどね。



「早速採掘始めたんだね。何か困った事は無いかな?」


「ん、実は、ある……」


「あら、どうしたの? 私に何とかできる事なら良いんだけど……」


「【錬金術】と【純魔法】、教えて欲しい…… 練習、したけど、上手く行かない、の……」


「あらら。ポイントは残ってないの? って【純魔法】はリストに無いんだっけ」


 ちゃんと覚えてないけど、たしか隠しスキルみたいな感じだった様な?



「うん…… あ、ポイントは一応、ある…… 教えてもらっても、ダメそうなら、使おうと、思って……」


「そか。でも教えるって言ってもなぁ…… 私も【妖精】の魔法適性頼りで習得しただけみたいな感じなんだよね」


「むぅ、そっか……」


「まぁ覚える時にやった訓練を見せるくらいの事は出来るけど」


「あ、それで、良い…… お願い、します」


「そんなんで良ければ、いくらでも。それじゃまずは【錬金術】からかな」


「材料、一杯、有る」


 横に置いていた鞄から、掘ったものらしい土を取り出して穴の横に置くソニアちゃん。



「あ、硬い物の方が解りやすいかも?」


「それじゃ、こっち……」


 土の山の上にどむっと私と同じくらいの大きさの岩が置かれた。

 形がちょっと妙なのは、元からなのかソニアちゃんに削り取られたからなのか。

 まぁ別にどっちでもいいんだけどさ。




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