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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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213/3658

213:返してもらおう。

 あるちゃんが前脚を上げると、そこには全ての脚をまっすぐ伸ばしてうつ伏せに倒れたラキの姿が。

 うん、どこも折れたりはしてないな。


「ラキ、大丈夫?」


 一応問いかけてみると、万歳していた両手でクッションをばふばふ叩き始めた。

 悔しいのかな?


「大丈夫っぽいね。ちゃんと終わってないのに、手の届くとこで油断しちゃダメだよー」


 むーって顔で頷くラキ。

 こっちは終わったつもりだったのにずるいーとかじゃなくて、油断しちゃった自分に怒ってるのかな?



 ん? なんかあるちゃんがラキに顔を近づけてクンクン嗅いでる。

 あ、お尻を軽くくわえて捕まえた。

 ……そのままパクッと行ったりはしないよね。


 ラキが別段暴れることも無くだらーんってしてるし、そういう遊びなんだろうか。

 くわえたままソニアちゃんの所へトコトコと歩いていき、誇らしげにピシッと座るあるちゃん。

 捕まえた獲物を見せつける様に少し顔を上げて、褒めて褒めてーって感じだな。


「うん、えらい、えらい…… でも、ちゃんと返して、あげようね……?」


 ソニアちゃんがよしよしと撫でてから口元に手を出すと、あるちゃんは手の平にそっと顔を近づけてラキを下ろした。

 むくりと起き上がって左手を腰に当て、右手を前に出してあるちゃんにビシッと指を突きつけるラキ。



「次は油断しないからねって事かな?」


「なのかな……? はい」


「ありがと。ラキ、おかえりー」


 ソニアちゃんの手からラキを摘まみ上げ、肩の上に戻してあげる。

 悔しいなーって顔してるし、頭と背中を撫でて慰めておこう。




「っと、そうだ。エリちゃんを呼びに来たんだった」


「ん? 何かお仕事ー?」


「いや、これから市場にお昼食べに行くから一緒にどうかなってね。お昼って言うかおやつかな」


「おー、行く行くー」


「うぅ、いい、なー…… でも、我慢、我慢……」


「一緒に行けたら良いんだけど、仕方ないよね。代わりにエリちゃんにおみやげ持って帰ってもらうから。野菜とか果物のお店に行くけど、何か好きな物はある?」


「良いの……? んー、と……」


 笑顔で何にしようかなーと考えるソニアちゃん。



「それじゃ…… リンゴを……」


「食べた私?」


 いや、今そういう話じゃないだろエリちゃん。


「それも、美味しそうで良いけど…… リンゴも、食べたい……」


 私がツッコむ前に言葉を続けるソニアちゃん。

 逆にソニアちゃんの方に良いのかってツッコみそうになったよ。



「うん、リンゴだね。分かった」


「途中で、食べちゃ、だめだよー……?」


 ソニアちゃんがふふっと笑いながらエリちゃんに向けて言う。


「おっ、フリかな? おぶっ、いやいや冗談。ちゃんと持って帰るよー」


 ちょっとふざけてみたら抱っこしてたえるちゃんに後ろ足で顎をぐいーっと蹴られて、普通に返事をするエリちゃん。

 にくきゅーキック良いなぁ……

 でも今の私じゃ肉球の方が硬いんだよねぇ。

 次に珠ちゃんを呼んだ時にでも、仔猫のやわやわ肉球をふにふにさせてもらおうかな……?




「それじゃ、またねー」


「うん、いってらっしゃい…… おみやげ、楽しみに、してるねー……」


「任せてー。あ、一緒に通る?」


「うん、お願い」


 人間用のドアを開けられるのにわざわざ【妖精】用の通路を通る必要も無いので、エリちゃんが出て行くのに便乗させてもらう。



「これ入り口分けなくても、このドアに小っちゃいの付けるんじゃダメだったのかなー?」


 外に出てから振り返り、出てきたドアと【妖精】用のドアを見てエリちゃんが口を開く。


「ドアにドア付けるって事? んー、例えばさ」


「ん?」


「私が外から入ろうとしたタイミングで、エリちゃんが中からバーンって出てきたらどうなると思う?」


「あー、納得。多分ぶつけても気付きさえしないねぇ」


 【魔力感知】を持ってれば開ける前に気付けるけど、皆が持ってる訳じゃないしね。

 既に出来てる建物ならともかく、新しく作るなら完全に分けてしまった方が安全だろう。



「ちょっと待ってて。シルク呼んでくるよ」


「はい」


「ほーい」


「ぴー」


 階段を上がった所でエリちゃん達から離れ、屋敷に向かって飛ぶ。

 あれ? なんか違和感が……

 あぁ、いくつかの部屋に畳んだ布が置かれてるんだ。

 サイズをぱっと見た感じ、カーテン用かな?



「シルクー、ちょっと良いー?」


 高度を下げて玄関からホールに入り、呼びかけてみるとすぐに奥から出てきてくれた。


「これからお昼のおやつ食べに行くから、一緒に行こう。あとこれ……ありがと」


 嬉しそうにこくこく頷くシルクに「着せてー」と頼もうと服を差し出したら、言い終わる前にシュパッと着せられていた。

 相変わらずの早業だなー。

 なんかそういうスキルでも持ってるのかってレベルだよ。


 ていうか肩にラキ乗ったままだったのに、気付けば服より上に居るんだけど。

 動かされたであろうラキも「あれっ!?」て顔してるぞ。



 まぁ気にしても仕方ないので、諦めて皆の元へ戻る。


「んー、よろしくー」


「おまたせー。ん、何が?」


「おかーりー。お使い頼まれたってだけー」


「あ、なるほどね。それじゃ、行こうか」


「いってらっしゃーい」


 めーちゃんに手を振って庭から出て行く。

 今日は配布する蜜が無いけど、エリちゃんに説明してもらえばいいよね。



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