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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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エルフ式サウナ

 かっぽ~ん……という音は聞こえてこない。

 あの音、何なんだろうね? お風呂シーン……特に温泉とか銭湯のシーンで聞こえてくる気がするけれど。

 洗面器とかの桶がお湯に流されて壁にあたる音……なのかな?

 まぁ、そのどれも無いんですけれども。


「う~む……絶景なり」


 だいぶ世界樹の高い所まで登ってきたようで、昼食を食べた時の景色よりも視線はずっと上。

 高山病とか、空気の薄さとか気になるけれど、体調に変化はない。

 多分、魔法で何とかしてるんだと思う。知らんけど。


「ふー……」


 世界樹の葉っぱの一つに掘られた穴。

 地下の温水を吸い上げているらしいその葉っぱから滲み出す温泉に、今俺は一人。

 眼前には、今まさに地平線と触れるかどうか、という夕日が存在し、熱すぎず、ぬる過ぎない温泉に浸かって陽が沈んでいく様子を眺めている。


「最高だねぇ」


 視界を遮る高い建物は無く、沈む夕日を遮る山もない。

 文字通り、何物にも邪魔されず、沈んでいく夕日を堪能出来る。

 日本じゃ中々こんな場所無いからな。

 ましてや風呂に入りながらなんて。


「個室ってのもいいねぇ」


 現在利用中の温泉は大浴場ではなく家族風呂。

 それでも、十分に足は伸ばせるし、ゆったりとしたスペースもある。

 他のお客さんが居ないのがありがたいというかなんというか。

 獣人族とか、竜人族とかと裸の付き合いはしたいとは思わないなぁ。

 変な意味じゃなく、絶対に物珍しさで見ちゃうと思うんだ、俺。

 それが失礼に当たらないとも限らないし……。


「飲み物も置かれてるのが寛いでくださいって証左でありがてぇ」


 しかもこの個室温泉内には、ご自由にお飲みください状態で瓶に入った飲み物が置かれていてさ。

 興味本位で一本飲んだんだけど、味はスポーツドリンクのそれだったね。

 汗かいた時に飲んだら浸みる……って感じの味。

 当然風呂に入りながら飲むと美味しさ倍増ですわよ。

 ありがたいことにキンッキンに冷えてたし。


「は~……疲れが溶ける……」


 時間に追われていない状況で、夕方から、絶景を楽しみつつ入る風呂。

 こんなシチュエーションで、癒されない日本人は居ない。

 多分、きっと、恐らく。


「サウナもあるんだよな、確か」


 で、お風呂に入る前にビオラさんに説明されたけど、何とこの家族風呂、サウナも完備です、はい。

 もちろん水風呂もある。つまりはととのうって事。

 そして、もちろんだけどサウナからも、水風呂からも、絶景を楽しむことが出来る。

 外気浴をしている最中でもね。


「ちょっと入るか」


 あまりサウナは利用した事が無いけれど、折角あるのだから入ってみよう。

 ……ふむ。


「あまり暑さは感じないな?」


 こんなもんだっけ? と思う程度の温度。

 あ、でも汗は凄く出てきたな。


「ん、魔力式サウナ?」


 で、あまり暑さを感じなかった理由がサウナの中に説明書きがされてたよ。

 なんでも、空気中の温度を上げているのではなく、空気中の魔力に働きかけて発汗を促す、らしい。

 よく分かんないけど。

 で、そっちの方が全身余すことなく汗をかき、毛穴が開くんだって。

 そしたらそのまま水風呂にどうぞ、だそうで。

 目安の時間は五分~十分との事なので、それに従ってサウナを出て。

 すぐそばにある水風呂に。

 あ、ちゃんと汗はしっかり拭いたよ? 水風呂に入る前に。


「おぉ~」


 で、水風呂に入ると感じる、身体がキュッと締まる感覚。

 全身の毛穴が閉じ、体外へ熱を逃がさないように体が反応。

 その状態で水風呂に約一分ほど浸かり……。

 水風呂を上がって体をしっかり拭いて、外気浴。

 大の字に広がって夕日を浴びつつ、ゆっくり深呼吸をしてととのえる。

 あー……気持ちいい。


「ていうか、タオル結構レベル高いな?」


 まぁ、感想そこ? ってなりそうだけれども。

 でも、タオルの品質って結構大事よ?

 日本で暮らしてると分からないけど、海外だと当たり前にごわごわし過ぎた、身体を拭くだけで痛いタオルなんて結構ある。

 というか、日本のタオルの品質が良すぎるんだけれども。

 そんな海外と比べても、異世界エルフのタオルはかなり高水準。

 ふわふわで身体を拭いても痛くならず、どころか包み込まれているような優しさを感じる。

 ――あと、異世界ならではの自動乾燥機能があるのもいい。

 身体の水分を拭いた瞬間から、タオル自身がセルフ乾燥してくれるから、どれだけ拭いてもタオルが濡れてないんだよね。

 ……だからかは知らないけど、浴槽にタオルを入れないでくださいって注意書きがデカデカとあるわけだけども。

 そもそも通常のマナーだしな、湯にタオルを漬けないのは。


「はー……ととのった後の一口が美味い」


 相変わらずスポーツドリンクのような何かを飲むけど、浸透してるって感じがする。

 本当ならビール、と言いたいところだけれども、流石にアルコールは置いてない。

 ま、それはこの後の焼肉で堪能すればいいでしょ。


「よし、もう一回湯船に浸かろ」


 状態を起こし、ボーっと景色を眺めながらゆっくりと過ごし。

 最後に湯船に浸かって上がろうと決め、再度湯船に。

 風呂に入り始めた時は夕日が地平線に沈む直前だったけど、今だともう半分くらい沈んじゃってるな。

 ……こんなに長く風呂に入ってたの、もしかして初めてなんじゃないか?

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