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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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22/30

函館は16万ドル

「へぇ……」


 獣人夫婦に見守られながら、俺はカレーを一口。

 ――いや、普通に美味いな?

 なんと言うか、そりゃあそうなんだけどレトルトでは決してない。

 あと、市販のルゥを使った味わいでも無いな。

 スパイスの風味がかなり生きてるし、味わいもこう……深い気がする。


「美味いだろ?」

「美味いですねぇ」


 例えるならホテルで食べるカレーって感じか。

 こう、具体的にどこのホテルとかはちょっと思い浮かばないけど。

 手間暇かけて煮込んだカレーですよってのは伝わってくる。


「……いい匂い」


 なお、カレーを食べていたらマウラ君が起きました。

 そりゃあ、こんなにいい匂いさせてたらね。


「そういえば、皆さんは観光目的ですか?」

「ん?」


 で、カレーを食べながら話の種にと、獣人夫婦の旅の目的を聞いてみる。

 俺はミステリーツアーでの参加で、旅すること自体が目的だからね。

 逆に、獣人夫婦は何か目的があって旅してるのかなぁと。


「まぁ、そうだな。世界樹の上から眺める景色はすげぇって聞いてよ」

「マウラにも見せたかったんです。100ドルの風景を」


 ――ん?

 聞き間違いか? あるいは翻訳魔法の不備か?

 位が一つ消し飛んでますぜ。


「地平線から昇る朝日。それに照らされるエルフ族の街並み。早く見てぇな」

「そうねぇ」


 意外と言ったら失礼かもだけど、獣人のイメージってもっとこう……本能的だと思ってた。

 食べるか、寝るか、みたいな。

 形式を楽しむ情緒があるんだねぇ……。いや、だいぶ失礼だなこれ? 

 ちなみにだけど、神戸の六甲山から見える百万ドルの夜景は、あの景色でおおよそ百万ドルの電気代がかかっているから、というのが名前の由来とかなんとか。

 まぁ、言われたのがかなり前で、当時の円ドルレートが1ドル360円とかの話だから、現代で換算するとまた値段は変わりそう。

 ……いや待て?

 異世界に電気代の概念はあるのか?

 なんと言うか、魔法で全部賄ってそうじゃね?

 となったら、この電気代料金額分の夜景って言い方は、ほとんどタダに近いものになるんじゃ……。

 あながち100ドルの風景ってのは金額的に正確だったりして……。


「ご馳走さまでした」


 というわけで小盛のカレーを完食。

 美味しかった。

 ――でも、こう言うとアレだけど、現代日本のソコイチのカレーの方が俺は好みかな。

 いやまぁ、あれはカレーって言うか、『ソコイチ』って食べ物だけれども。

 あと、『淡い朝焼け』ってカクテルも美味しかった。

 アルコール度数低めでブルーハワイとオレンジを足したようなさっぱりとした甘さと酸味のカクテルで飲みやすくて。

 正直、こっちの方がウェルカムドリンクに出てきて欲しかったな。

 間違いなく炭酸味噌汁よりは喜んだだろうし。


「魔法体験はやったか?」

「やりましたよ。滅茶苦茶楽しかったです」

「俺らもだ。特にマウラが気に入ってな。もう一回! もう一回! とほっとけば一日中あそこで魔法を撃ってただろうさ」


 あぁ、確かに。

 子供とか絶対好きそうだよな、魔法体験。

 ――ああ、だから今マウラ君寝てるのかね?

 魔法体験は結構体力消耗するし。

 楽しくてはしゃいでる時は疲れとか感じないけど、テンションが平常に戻るとドッと疲れが襲ってくるし。


「風魔法を腕に込めてな。パンチに風圧が出るようにして、遠くの的を撃つ。楽しかったよな?」

「……え?」


 いや、知らんが?

 そんな魔法撃ってないし。


「俺はオプションで炎魔法に変更しましたよ?」

「ほう」

「そういうのもあるんですね」

「むしろ俺の方が、魔法を体に込めるなんてのもあるのかって感想なんですけど」


 つまりエルフの魔法発射体験に行けば、かめ〇め波や波〇拳、霊〇なんかもやれるって事?

 ちくしょう! だったらもっと早く知っておけば……っ!!


「ちなみにですが、体に魔法を込めて打ち出すやり方は獣人族の膂力あってこそのものなので、人間が同じことをしようとしても威力は水鉄砲程度のものになるかと」

「マジすか」


 俺が考えている事が分かったのか、ビオラさんから説明の補足があった。

 まぁ、獣人のフィジカルあってこそのものなのか。

 じゃあ諦めよう。

 ……ん? 待てよ?

 人間がやっても水鉄砲レベルの行動が、獣人がやるとあの的を撃ちぬく威力になるの?

 ――こっわ。

 やってることワン〇ースの魚人の打ち水じゃん。

 獣人族には喧嘩売らないようにしよう。


「で、昼飯は『LIN&LIN』だろ?」

「よく分かりましたね」

「私達も行きましたし、いい匂いが体からしますからね」


 そのいい匂いってのは獲物としてでは無いですよね?

 無いよね?


「御厨さまは一号店にご案内させていただきました」

「あ、あそこ一号店なんだ」

「へぇ。俺らは三十号店くらいだったな」

「とても美味しかったです」


 ぶっちゃけ、何号店だろうが味はそこまで変わらんと思うけどね。

 でもまぁ、一号店に行けるなら行きたいって思っちゃうのはなんでだろう。


「だからこそマウラもミクリヤに懐いたんだろうよ」

「『LIN&LIN』の匂いがしたからですか?」

「いや、マウラが頼んだオーダーとミクリヤが頼んだオーダーがかなり近い匂いがするからな」

「あー……」


 よく動物が言うじゃん。自分の匂いが近くにあると安心するって。

 俺が偶然マウラ君と似たようなラーメンを注文したから、似たような匂いになって懐かれた、と。

 なるほどね。


「美味かったもんな、あのプリン」


 ――いや、プリンかい!!

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― 新着の感想 ―
あながち100ドルの風景ってのは金額的に正確だったりして……。 あながちって後ろに否定系のイメージだけど、今はこういう形でも使うのかな? それにしても、慕われたのはプリンの香りだったのか…
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