合わないよぅ……
「待って」
「どうされました?」
ふと、貰った交通安全のお守りとやらの葉っぱを眺めていて、気になった事が。
いやまぁ、葉っぱが御守りなのかってツッコミどころはあるんだけど、葉っぱにはよく分からん文字が刻まれているし、なんかよく分からん装飾も施されてるし。
海外の御守りならまぁ、こういうのもあるかな、で納得出来るんだけど……。
「交通安全?」
引っ掛かったのはそこじゃなく、何に対する御守りかって部分。
交通安全なんて概念、異世界にあるのか。
「ですね。今回の列車旅の安全を祈願してのことでしょう」
「あ、確かに」
で、言われて気が付くけど、別に交通って列車とかも含まれるよなって。
どうしても交通安全と聞くと自動車関係を思い浮かべちゃうからさ。
異世界にも自動車があるの? と思っちゃったよ。
「まぁ他には、転移事故防止や飛行中の飛竜種との衝突回避などで用いられますね」
自動車より酷いのしかなくない?
転移事故って何? 字面からして怖いんだけど。
……石の中にいる。
「空を飛ぶこともあるんだ……」
「飛行艇は存在しますし、ハーピー種たちからかなりの人気ですね」
……なるほど、ハーピー種。
確かに異世界だし居てもおかしくないのか。
――某カードゲームのせいでハーピーって聞くとナイスバディな性格キツそうな顔をイメージしてしまうな。
ちょっと見て見たさある。
「噂をすれば、あちらに見えるのがハーピー種ですね」
と、ビオラさんが手を伸ばした先に。
居ました、ハーピー。
――居たんだけれども……。
「えー!? マジ―!? イージーモード?」
「きもーい! イージーモードが許されるのは、若鳥の時までだよねー!」
会話の内容は分からんけれども、話してる二人は明らかにギャルっぽさあるんだよな。
鳩みたいな見た目の羽根のハーピーと、もう一人は薄いピンク色の羽根のハーピー。
手は羽根の先にあるかぎ爪かな? 羽と腕が一体化してるタイプのハーピーさんだった。
「……イメージと少し違う」
「まぁ、彼らだけのような方がハーピーという訳でも無いですし」
「ははは……うん? 彼ら?」
「はい。先程のお二方はどちらも男性ですよ?」
「あの見た目で?」
「エルフに負けず劣らず容姿端麗な種族ですからね、ハーピーは」
いや、容姿端麗というかなんというか。
こう……男の娘感が凄かったぞ。
しかも全く違和感抱かないレベルで。
「ちなみに胸のふくらみは羽毛ですよ?」
「何も言ってませんけど?」
確かに胸に関して思う事はありましたけどね?
でも、流石に初対面の相手の胸を注視するなんてそんなそんな……。
気になったんです、はい。
残念なんて思って無いからね。いいね?
「散策を続けましょうか」
「ですね」
気を取り直して……いや、別に落ち込んでなんて無いけどね?
足の動きを取り戻し、市場を散策。
「ん? あの揚げ物は何です?」
「トードスナックですね。薄切り肉の唐揚げです」
「……一応聞きますけど、何肉です?」
トードって言ってる時点で察してはいるけどね。
「スワンプトード、つまりは蛙肉ですね」
「ですよねー」
まぁ、と言ってもそこまで抵抗は無いんだけどね、蛙肉に。
食べたことあるし。
親に連れられて行ったヨーロッパで食べたよ、うん。
「一つ貰おうかな」
「でしたら飲み物もご一緒にいかがです?」
「いいですね。おススメをお願いします」
「かしこまりました」
という事でエルフ市場で買い食い。
一発目が蛙肉の唐揚げなのはどうなんだという意見は却下で。
「お待たせしました、どうぞ」
「いただきます」
早速買って来てもらったトードスナックをパクリ。
そのお味は……。
「普通に美味しいですね」
不味くもなく、泥臭くもなく。
シャキシャキした食感の鶏肉とは蛙肉を例えていう言葉だけど、本当にそんな感じ。
ただ、鶏肉よりもうま味が強いかな。
そして脂が少なめだから、かなりスッキリした味わい。
衣も薄くて歯切れがいいし、油の重さもほとんどない。
これ、普通に美味しいな。
そしてそこに合わせるおススメのドリンク。
見たところ炭酸か? 灰色の液体なのが気になるけど、ビオラさんのおススメならまぁハズレは無いでしょ。
という事で勢いよくゴクリ!
「んぶっ!」
咽た。
なんか前にもあったな、この流れ。
「大丈夫ですか?」
「なんとか……」
ちなみに咽た理由は飲み物の味ね。
えーっと……湿布の味がした。
飲むサロ〇パスとか言われてる飲み物があるのは知ってたけど、もうマジでまんま湿布薬飲んでる味。
しかもクリームが入ってるのかまろやかでさ。
湿布にまろやかさは求めてないんよ。
炭酸なのも邪魔してるね。
あの湿布特有の匂いって言うの? あれが炭酸の気泡と同時に口の中から鼻に抜けていくんよ。
リピートはしないな、この飲み物。
「お口に合いませんでしたでしょうか?」
「香りが独特であまり好みでは無かったですね」
でもまぁ、これもお任せの醍醐味。
自分で絶対に頼まない飲み物に出会えたと割り切ろう。
じゃないと耐えられないから。
「エルフには人気なのですが……」
「どれくらい?」
「その飲み物のレシピを考案したエルフは、そのレシピ使用料だけで一生遊んで暮らしていけると言われております」
「そんなに……」
こっちの世界でのレシピって、特許みたいなものなのかな。
あるいは商標登録。
いや、特許も商標登録も俺は全く詳しくないんだけど。
「ちなみにそのレシピを考案したエルフの新作が最近発表されまして」
「開発熱心なんですね」
「そのドリンクがあちらになります」
と指差された方を見て一瞬確認。
そして目を逸らす。
「?」
と、ビオラさんに不思議そうな顔をされたけど。
俺はツッコまないようにスルーして市場の散策を再開。
……どう見てもドクター〇ッパーだったよな、あれ。




