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相も変わらずオカンの叫び

「はぁどっこいせぇぇぇぇ!」


両手でアレの脇の下を掴んで力いっぱい引き抜いた。腰がグキッと言った気がせんでもないが気にしない。

ポンッと気持ちよく抜ければいいんだろうけど、トリモチにミスって掛かったオマヌケな猫を引きはがすかのように、ネバ~っと・・・


「うぇぇぇぇ、きもっ!」


「きもっ!とか言うな! 僕は国王なんだぞ!」


「うっさい!黙ってろ!」


思い切り蹴り上げたら気を失ったらしい。これで大人しくなるだろう。

あれ、こいつ喋り方普通に戻ってるじゃん。て事は?


おぉぉ、アンデッドドラゴンも雑魚も消滅! やったぜぃ!


「おかん、だいじょ・・・くさっ!きもっ!」

「おかん無事・・・じゃないな」


「だからな?その言い方だと儂が臭くてキモいみたいだろうが!」


いや確かに儂も臭くなってるかも? ひぃぃぃぃ、水だ水! シャワー!!

慌ててイメージしたもんだから冷水だった、へっくしょぃ。さむっ!

温水温水! そして温風で乾燥!

ふぅ・・・ ついでにアレも洗っとくか。アレは冷水でいいや・・・

洗ってドロドロの物が無くなったアレは元通りのアレの姿だった。頭頂部以外は。

そりゃもぉね。見事な落ち武者禿・・・

ざまぁ!と思った儂は性格悪いと思う。

あ、ちゃんと頭皮は無事だよ?ホラーチックにはなってないから。

しかし、どうすっかね。なんも反省しちょらんし改善もされてないし。

どうやって城から此処まで来たんだろう。


「おかん、どうするこれ」


「どうすっかね。生かしておいても害悪にしかならん気もする」


1度どころか何度かは機会上げたハズだし?

学習能力無いみたいだし?

禁術使いまくってスタンピード起こすし?

ゆっちゃんの仇だし?

もぉいいよね?


「天誅!!」


ドカンッと拳骨と共に雷を落としてやった。


「うわっ、おかん!」

「やるならやると言ってからに!」

「あっぶねぇ・・・」


地面には黒い人型のシミが残っていた。

気絶したまま消滅したからなんの苦しみも無かったんじゃないかな、ちっ失敗したな。叩き起こしてからにすりゃえかった。


「もちっとどつきまくりゃよかったかなぁ」


儂や千秋が味わった苦痛を味わせればよかったかも。

やれやれ終わった終わった、コイツだけは生まれ変わったりしませんように。


「さぁ後始末して帰ろうぜ。疲れたー。 うっ・・・」


「おかん?!」


「腰が・・・ さっきアレ引きずりだした時にグキッゆうたん・・・」


「ちょ・・・おかーん!」


いやよく今まで動けてたなと思う。終わって気が緩んだのか腰がね?・・・

アルはおんぶしてくれようとしたけど、痛くて無理だった。

結局どうしたかって言うと、ササミに咥えられて帰ったよ・・・トホホ




「ばぁばおかえりー! なにしちょんそれ、たのしそうじゃね。

 ゆっちゃんもそれやるー!」


いやあのね、ゆっちゃんや。ばぁばは遊んでいる訳じゃなくてね?・・・


「ゆっちゃん、ばぁば腰が痛いんて」


ササミに家まで連れて行って貰った後はルークが運んでくれた。お姫様抱っこで。

さすがにこの齢でお姫様抱っこは恥ずかしいんじゃけど。

普段使ってない筋肉も使ってたのか気が付けば体中がバッキバキになっていた。

肩があがらんし、指先はプルプル震えるし、あれこれ高齢者みたいじゃん。

確かに儂60になったけども!まだそこまで老化はしてないハズ!と思いたい。

でもほら、筋肉痛がすぐに出るって事はまだ若いって証拠だよね? ね?

とは言えベットに寝かされた後は甲斐甲斐しく介護された。

すげぇ恥ずかしい・・・


アルとダルクは皆への報告をしている。

アレの事は伏せておくように言っておいた。

皆まで不快な思いしなくていいと思うから。

アレの事はこのまま皆の記憶から薄れていけばいい。


数日後、やっと筋肉痛も収まり腰も回復した。

皆が快気祝いを兼ねた祝勝会をやろうと庭で準備してくれたらしい。

室内までいい匂いが漂ってるもんね。

庭に出てみると ふわっと頭に何かのせられた。


『 ふふふ マォ おめでとう 』


ありがとう? って何が?! 頭に何乗せたんよカカオ。

あれ? これベール?


『 はいこれ持って 』


花束?・・・

ハッ! 待って? もしかして・・・

いやいや待って? そもそも儂とルークは書面上の夫婦であって・・・

えぇぇ・・・

ルークは目の前で跪いていた。


「マォ 残りの人生を共に歩ませて欲しい。

 君の笑顔も泣き顔もずっと側で見つめていたい。

 無鉄砲で破天荒な所も含めて、君を愛しているよ」


うん、儂頭の中が真っ白になったよね。

元の世界でもこんなセリフを言われた事なんか無かったし。


「おかん、あっちでも結婚式とかしてなかったんじゃろ?

 人生初じゃん!ルークさんええ人じゃし良かったじゃん」

「ばぁば? ゆっちゃんじぃじも大好きよ?」


いやそりゃそうじゃけどね?今までも一緒に住んでたし介護もしてもらったし

なんならその間一緒に寝てたし・・・ヒェ!一緒に・・・寝てた?!


「マォ?」


ずるくね? 外堀埋めてんじゃねぇよ!

でも一緒に寝たって事は嫌ではなかったんだろうな儂も・・・と気が付けば。

ボンッと顔が赤くなった。


「ぶっ、おかん何今更赤面しよん?」笑

「ばぁば まっかっかぁ~~」


うっさい!黙れ!イチイチ言わんでいい!(苦笑)


「そもそもおかんは恋愛にニブイ」

「いやルークがちゃんと言わなかったのも悪い」

「今まで機会はあっただろうにな」

「まぁいいじゃないか、やっと言えたんだから」笑


「ホラホラ、冷やかすのはそこまでにして料理が出来上がったぞ!」


「「「「 おかん、ルーク。おめでとう!!!」」」」



コレットの一声でやっと冷やかしから解放された。 ふぅ・・・


「そのベールはカカオとチョコがひっそりと編み上げたらしい。

 そしてブーケはモルトとホップが用意した。

 今日の料理の素材はすべてクッキー・ビスキュイ・サブレが用意した。

 もっふるにもさっさと、きちんと伝えろと言われたよ。

 エルフィンの思惑もあったのだろうが

 先にプロポーズが出来なくて済まなかった」


「まったく想像もしてなかったよ、書面上だと思っていたから。

 きっとこれからも何がどう変わるとかないと思う。

 今まで通りだと思うけどいいの?」


「最高の家族だろう?俺達は。

 隣にマォが居る、十分私は幸せだよ」


「そうだね、皆が居て千秋もゆっちゃんも居て。

 うん幸せだ。

 儂さ、ルークの笑顔も声も 好きだ」


どうやら儂、無自覚で好きだったらしいと言葉に出してみて思った。

最初の出会いでお堅いおっさんだと思った(失礼な)

でも話してみたら人間味があって意外におもろかった。

騎獣と触れ合う時は少年みたいだと思ったし、行き成り隣に住んでるし(笑)

城抜け出す時なんざ仕事辞めて一緒に来るんだもんなぁ。

まぁ知らない内にエルフィンに入籍させられてたんだけ・・・  あ。


「ねぇルーク。今気が付いちゃったんだけどさ・・・」


「私も今気が付いた・・・」


「「 エルフィン達に知らせてない! 」」


これ後からごねるの確定じゃんか!うわぁ・・・


「まぁそれは後で考えよう。

 私達も食事にしないと、無くなってしまいそうだ」


「え?」


うわぁぁぁ、マジで? 皆すげぇ勢いで食ってるじゃないか!


「急ごうルーク!あれはマジで無くなる」


「ああ、そうだな」


「お前等!儂のを残しとけ!! あああ、それ全部持っていくんじゃねぇぇぇぇ」




相も変わらずおかんの叫びが響く、此処はウォーカー自然保護領。

人も獣人も魔獣も魔物も愉快に共存出来る場所なのであった。



これにて終話となります。

拙い作品ではありますが評価やブックマーク、リアクションなど頂き嬉しかったです。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました!(*'ω'*)

https://book1.adouzi.eu.org/n3206kp/

スピオフでルークサイドの話始めました(6/10)

もしよければお暇潰しにでも。

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