悪役おかん?
ゆっちゃんはユズリハと名付けられた。
すくすくと元気に、そりゃもぉこれでもかってくらいに元気に育っている。
人族よりも少し成長速度が速いみたいで、生後半年の初夏にはすでに走り回っている。
騎獣達が交代で付き添ってくれているので安心だ。
オルガの子も一緒に遊んでくれているしコレット達の子はまだ赤ん坊なので
いっちょまえにゆっちゃんが絵本を読み聞かせたりしている。
すごーく拙いんだけどそれがまた可愛い。
儂はと言うとのんびりと畑仕事しながらたまに狩りやダンジョンに行く程度。
やっと落ち着いてのんびりライフしてるって気がする。
と思ってたのに・・・
突如としてスタンピードが起きた。なんの前兆も無く。
「此処から近いな・・・」
「大丈夫だ、あの時と違って俺はもう大人だ」
「馬鹿を言うな、リオルには守るべき家族が居るだろう」
「皆でこの居住区を守るんだ」
「ああ、例え死んでも・・・」
パコーンッ! ゲシッ
「あふぉか!死を前提に考えるんじゃねぇわ!
皆せっかく家族と平和に楽しく暮らしてんだろうがよ!
西の山側でスタンピードが起こっているなら
西の出入り口に半数を集めて防衛戦を引け!
残りの半数はいつでも出発出来るように準備して待機!
儂が騎獣達と一緒に斥候として出る」
「「「「 おかん?! 」」」」
「心配はいらん、儂ランクⅠと言えど全属性なのは皆知ってるだろ?
それにほら、必殺タマ潰しもあるし?
単騎で動く方が遠慮なくぶっ放せるし?」
最悪痛いの痛いの飛んでいけもあるし?(笑)
「なにさ、皆儂が負けるとでも?死ぬとでも?」
「いやだが・・・」
「皆さ、ついて来たいなら来てもいいけど
後からタマがない!髪が無い!って文句言うなよ?」
「・・・・」
「儂を誰だと思ってる? 異界から来た不老長寿で王族どつき倒すババァだぜ?(笑)
次はどんな噂が流れるのか楽しみじゃね?」
「マォ、やる気満々だな」
「久々に暴れたいんですかね?」
「解りました、マォ殿にお任せしましょう。
女性と子供達は食堂に集めておきましょうか」
「ダルク」
「はい」
「言葉使い・・・」
「はっ・・・」
「んじゃ行ってくる!
合図の花火が見えたら来てね!
毛毟り取ってタマ潰しまくってくれるわ!うひゃひゃひゃひゃ」
「「「 おかんが悪役に見える・・・ 」」」
と、まぁ多少強引な流れで押し切ったけどね。
さすがにスタンピードを1人でどうにか出来るとは思わん。
けどね? 儂の魔法ってゲームとかのイメージが強いんだよ。
そのイメージで発動させるから広範囲にとかならいいけど、その中でピンポイントに味方だけ避けるとか無理な気がするんよなぁ。
一応測定不可能なくらい魔力量はある訳だし?
なんも考えずにぶっ放しゃいいんだろうと(笑)
一緒に行くのはカカオとサブレとササミ。
チョコ・ビスキュイ・ホップは育児中なので待機。
モルトとモモは伝令&防衛に回って貰った。
オルガやその一家も防衛に参加してくれるという、ありがたや。
カカオに乗って森の西側を進めば・・・
うぇぇぇ、なんかじめっとした空気が・・・そしてヘドロ臭い。
「カカオ、嫌な予感がするんだけど?」
『なんかダンジョンの空気に似てる?』
「やっぱりぃー?・・・」
そして見えたスタンピードの現場は・・・
ヌメヌメ系と多足系とヘドロ系にアンデッドドラゴン・・・
アンデッドドラゴンなんて言えば格好良さげじゃん?
ただの腐りかけの巨大蜥蜴だから・・・
もうこれ焼き付くそう・・・うんそうしよう。
まず自分達にシールドを掛ける。
そして最高の火魔法と言えばやっぱメテオでしょ!て事で
ハルマゲドンにでも起こりそうな高温で降り注ぐメテオ群をイメージした。
「燃え尽きてしまえ!」
ドンッ ドドンッ と次々と降り注ぐメテオ群。
うん、こんなに地面が揺れるとは思わなかったよ、酔いそう。うぇっぷ
ヌメヌメ系は水分が多いのか燃えにくい、一応は燃えてるけど。
んじゃぁ落雷かな。 竜巻で切断された高圧電線をイメージした。
何故かサンダーストームとかチェーンライトニングじゃなかった・・・
眩しい閃光が走り辺りに焦げた匂いが広がる。
殲滅とかは無理だけどそれでも数は減っている。このくらいなら呼んでも大丈夫そうかな?
花火と共に色付きの煙幕も打ち上げて見た。ホラ、オリンピック開会式で見るような・・・
うん、ごめん。まんま五色の輪が空に浮かんだよね・・・・
「お、おかんからの合図が上がったぞ」
「なんだあれは。カラフルで目立つなぁ」
「まぁ行こうか」
「そうだな、急ごう」
「おかんの事だからまたなんかやらかしてそうだしな」
「「「あー・・・」」」




