面接最終日:七・八組目
さて本日最終日、残すところ後二組。どんな人達だろうか。
昨日はいい人材だらけだったので期待したいところではあるが、初日の例もあるしなぁ。
本日の一組目は恰幅の良いおっちゃんだった。貴族ではなさそうだから王族?
にしては簡素な服装なんだよな。何て言えばいいかな、砂漠の民みたいな服・・・
「「 叔父上?! 」」
ありゃ?宰相とルークが仰け反っている。
「やぁ、久しぶりだね2人共」
ルーク達の叔父って事は一応王族ではあるんだよね?
・・・
本当にこの資料使えねぇ・・・・
移動式商団って・・・商隊って書けばいいだけじゃね?つまりキャラバンだよね?
しかもルーク達との繋がりは書かれてないし・・・
「知っての通り僕の商隊は周辺諸国も回っているからね。
物資の調達や情報・人材の確保。
なにかと君達の力になれるんじゃないかと思ってね。
ほら、私は放浪しているから貴族連中にも顔を知られていないしね。
ちなみにスェイキョウ商会とも懇意にさせてもらってるから安心してね。
僕と商会のルートを利用すれば確実に安全に手早く届けられるよ」
うわぁ、この人も凄い人なんじゃ?・・・
ちなみにこの叔父さん、末っ子なのでルーク達と同年代、つまりは40代だそうな。
ルークのじいちゃん頑張ったんだな・・・(何をだか)
儂も会ってみたが、なんかもぉ見たまんまでおおらかで太っ腹な感じの人だ。
だけど怒らしたら駄目な部類な気がする・・・
「そうか、君がルークの・・・。じゃあ僕にとっては姪になるね」
後日「君に似合いそうな物をみつけたんだ」と送られてきたのは鞭だった・・・
うん、確かに愛用してたよゲームで!
実際は扱うの難しいんだよ、練習しなきゃ・・・
いよいよ最終組。さてどんな人かな・・・
・・・
なんか拍子抜けするくらい何処にでも居そうな当たり障りのない人に見える。
でもこうゆうのが一番曲者だったりするんだよ。
「率直に申し上げますと。
アレの派閥に居た時はまさにあれが貴族の在り方だと思っておりました。
ですが皆様が城を出て行かれた時に己の傲慢さを思い知らされました。
今まで自分達の暮らしが誰に支えられ誰に守られていたのか・・・
そんな事ですら考えていなかった。
それは妻も子供達も同じで、今は民に教えてもらいながら畑を耕したり
狩りにも挑戦してみたりしております。
情けない事に薪1つ割る事が出来なかった。
爵位返上も考えたのですが、
領民達がもう少し様子を見てからでもよいのではと言ってくれて・・・
私の事は捨て置いて下さって構いません。
ですが妻子と領民には・・・お力添え願えませんか」
うーん、真っ当な事言ってるように見えるけど、畑耕したり狩りに挑戦したって割には日焼けもしてないんだよね。それに服も相変わらずのキラキラだし・・・
ルーク達も同じ事を思ったようで・・・
「畑や狩りなど野外での仕事は大変だったでしょう?」
「それが・・・ですね、すみません見栄を張りました。
あまりにも非力すぎて、どうにも邪魔にしかならなかったようで・・・
まずは体力をつけろと言われてしまいました、ハハハ・・・
それにこの服も・・・もっと簡素な物をと言ったのですが
最後の登城になるかもしれないからとこれを渡されまして。
これしか残してなかったのです、他の物は売り払ってしまいまして」
なんでも昨年の納税が出来ていない領民の税をすべて肩代わりしたのだと言う。
今まで派閥から派遣されてきた人に領地経営を任せていたらしく・・・
なにしとんねん!と言いたくなった。
自分の領地だろうに領地経営に関わってないとか駄目だろう!
いやこれ領地返納した方が領民の為じゃね?・・・
まぁ領民としては頑張ろうとしてる領主を応援したいのか、またはこれ以上に変な領主が来られてもと思っているのかは解らんけども。
うーん、この人は保留で様子見と再調査かなぁ・・・
なのでこの人とは会わなかった。なんか会ってもめんどくさそうなんだもんよ・・・
この日の夜は城滞在最後の夜だったので妃殿下と侍女長も愚痴大会に参加した。
取り敢えず候補者の中で合格(仮)になった人は王族以外は侍女長が再調査する事になった。
念には念を、用心に越したことはないと張り切っていた。頼もしい。
儂とアルは明日ウォーカー自然保護領に戻るけどルークはもう少し残って今後の話を詰めるらしい。
誰を迎え入れて何処の何を任せるのか、領の条例はどうするのか等々細かい分を決めるらしいので、儂からは各家庭で庭に1人1本の樹を植えるようにして欲しい事、無暗に畑や住宅地を開拓拡張しない事を頼んでおいた。ちょっとくらい・・・なんて考えは止めて欲しいんだよ。木が成長するのに何十年とかかるし森林伐採しまくったあげくコンクリートジャングルになって温暖化が進んで・・・なんていい例があるからね(苦笑)
メンドクサイってのもあるけど、儂この世界の法律とか知らんし(向こうの世界の法律もそんなに詳しくはないけども)頑張れルークと宰相。あ、陛下もか・・・
読んで下さりありがとうございます。




