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おかんは今日も叫んでる  作者: 猫茶屋
四章:ウォーカー自然保護領
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面接二組目

次の面接は・・・


見た瞬間、本能的に却下と思ってしまった。

中肉中背、何処にでも居そうな20代後半だろうか。

一見害の無いような笑みを浮かべているんだけど、なんか胡散臭いんだよね。

根拠はないけど儂の本能というか野生の勘というか、関わるなと言ってるんだよ。


「お初にお目にかかります、私共は・・・」


なんか自己紹介始まったけど儂は手元の資料に視線を落とす。

へぇー、本妻の他に愛人が居るんだ。ん?3人も??

・・・  いや貴族とかなら愛人が居てもおかしくはないのか・・・?

えー、あちこちで愛を囁いてんの? うぇぇぇぇ・・・

無理無理、儂コイツ無理ーー!!


ニュッ と薔薇が1輪 目の前に差し出された。

は? 何?


「眉間に皺を寄せて険しいお顔をなさっては

 せっかくの美しさがもったいないですよ?」


ゾワワワワと鳥肌が立った。 うぇぇぇぇぇぇぇぇぇ(2回目)

殴ってもいいかな?とルークの顔を見れ・・・・あれ、居ない。


ズルズルズル・・・・

無言のまま引きずって部屋の外に放り出していた。

廊下で待機していたアルがソレを受け取りまたズルズルとどこかに引きずっていった。


同行していた奥方にもご退場願おうとしたのだが彼女は儂の腕を掴んで何かを伝えたそうにしていた。


「何か話したい事があるならどうぞ?」


彼女は本当にあの男が居ないのを確認した後、ジェスチャーで声が出ないと伝えて来た。

ルークが紙とペンを渡すと拙い文字が綴られた。


 おくさまとぼっちゃまを おたすけください


おやぁ?・・・ 奥様と坊ちゃまを助けてとかどういう事だろう。

彼女は奥様、坊ちゃまと言ってるからメイドか侍女なんだろうか。

うーん・・・


「ねぇルーク身辺調査とか下調べしたんだよね?」

「そのはずだよな?」

「ええ、そのはずですが。これはちょっと怪しくなりましたね」


彼女がまたペンを走らせている。

これ声が出せないのは元々なんだろうか、それともあの男に声を奪われたんだろうか。


どうやら彼女は屋敷で働くメイドだったのだがあの男に手籠めにされたと・・・

あの男は婿養子でとにかく金に関しても女に関してもだらしがなくて?

それでも第二王子の派閥から離れたので少しはマトモになるだろうと奥方が見守ろうとしていたのにあの男は奥方と子息を地下に閉じ込めてしまったと・・・

自分の他にもあの男に手籠めにされたメイドや侍女は居て、奥方は彼女たちを被害者だからと守ろうとしてくれていたらしい。


「えーと。確認するね?

 正当な爵位継承者は奥方でいいんだよね?

 その奥方は至って普通にマトモな人、むしろ人徳ありそうだよね。

 で婿養子の阿呆はクズって事でいいんだよね?

 よし潰そう。んで奥方と息子っち保護しよう」


「いやまず身辺調査を・・・」


「宰相、その身辺調査があてにならんかったよね?

 誰が調査したのか調べて本人確保しといて」


「承知しました・・・」


「ルークはこの女性を治癒師の所へ。

 人為的に声を奪われているならなんとかなるだろ」

 

「マォは・・・」


「そりゃ当然奥方と息子っち助けて、アイツ潰しに行く」


「その・・・潰すと言うのはやっぱり」


「聞かずとも解るじゃろ?」ニッコリ


アルを連れて早速貴族屋敷に向かう。何故か意気揚々とササミも付いて来る。

どっから湧いたよササミ・・・


ドドーンと地下牢直行は止めて貰ってもいいですかね、もっちゃんや・・・

ほら奥方と子息が驚いてるじゃん。


「えーっと・・・初めまして。地中からごめんなさいね。

 私はマォ。いわゆる招き人らしいです?

 こちらのメイドさんに頼まれまして迎えに来ました。

 って事で、行きましょうか」


「待て待ておかん。ちゃんと説明を」


「したじゃん」


「いやあれじゃ解らないだろう」


「いえ大丈夫です、だいたいは察しましたので。

 ただ他の部屋にも捕らわれたメイドや侍女が・・・」


「もっちゃん、めんどいから壁全部穴開けてー」


『はーい。もっちゃん行きまーっす!』 ドーン、ドドーン


さすがもっちゃん!

ササミがもっちゃんの後を付いて行って腰を抜かしたメイドや侍女を連れて(咥えて)来る。

奥方と息子っちと合わせて5人。もっちゃんともふりんに乗って先に城へ行って貰う事にした。

儂とアルは後からササミで帰るので大丈夫。


地下から上がれば、居たわあの男。

執事らしき男となんか話してるけどあの執事もろくでもなさそうだ。

んじゃ遠慮はいらんよねー。と拳を振り上げるよりも早く・・・


コッキョクウクウコーコォォォォ カプッ ビヨォーンブチッ ビヨーンブチッ


あ・・・

もしかしてササミこれがやりたくて来たん?・・・ ははは・・・

アルが顔面蒼白になっている。 しっかりしろアル!お前のは無事だ!


屋敷の中はハチの巣を突いたかのように右往左往の大騒ぎになっている。

うーん・・・ここに残っているのってどうでもいいようなのばっかりかな?

あの男にとって邪魔なのが地下牢に居た訳だろうし。

であればほっといていいかな。

あの男が助かろうと助からまいと儂にはどうでもいいし。去勢完了したし。

奥方と子息の着替えくらいはあった方がいいかと部屋に行ってみたが、あの男が売り払ったのかクローゼットは空だった・・・

ムカつくので男の所に戻り、傷口を焼いて止血する。


「た、助かった・・・早く僕を治癒師の所へ」


「あ”? 知るかよ。

 奥方の衣装や装飾品はどこにやった?子息の衣装もどこにやった?」


「知らぬ、僕が知る訳ないだろう。あの女がケチって買っていないだけではないのか」


「んな訳あるかぁぁぁぁぁ!! 下着の1つすらないとかありえんわ!」 ボスッ


話すだけ無駄だと思ったのでどつき倒した。

それなら執事っぽい男に聞こうか・・・

あー・・・失禁して失神してた・・・なんかデジャヴ?・・・


「アル、このまま放っといて帰ろうぜ」


「あ、ああ・・・」


奥方と息子っち、それに侍女&メイドはしばらく城で体調を整えて貰う事になった。若干栄養失調気味だったし、しばらく日光に当たってなかったみたいだからリハビリも必要だよね。

その後の身の振り方についてはルークや宰相と話をして貰おうと思う。


読んで下さりありがとうございます。

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