戻りつつある日常?
召喚については二度と異次元・異世界からは呼べないように神様が管理してくれるらしい。
だったら時間に関しても過去や未来に行くのは出来ないようにして欲しかった。
と嘆いてもどうにもならないので、ルークが書物を破棄してくれると信じよう。
頑張れルーク。
で、結局ルークは何故禁術の書かれた書物を破棄する必要があるのかを陛下に説明する際に儂の娘や孫に何が起きたかから説明しなくてはならなくなったと疲労困憊で戻って来た。
いや本当にヤバかったらしい。
まさにアレが軟禁されていた塔を抜け出して禁術の書かれた書物が管理されている部屋へ忍びこもうとしていたらしいのだ。
陛下とルークは即座に禁術が書かれた書物すべてを燃やし尽くし文字通り灰も残さなかったとの事だった。
「己が仕出かした事の重大さにも気づけず反省するどころか
更に禁術を使おうとするとは」
陛下は己が判断も甘かったと言ってアレを幽閉する決断を下したそうだ。
今度は軟禁なんてものではなく、窓も出入口もすべて塞ぎ、唯一食事の受け渡しが出来る小さな穴だけ残すらしい。
と聞かされた儂だったが、とくにこれといった感情は何も湧かなかった。
陛下や妃殿下が心を痛めているのではとか、アレに対してザマァとかなーんにも感じなかった。
儂冷たい人間なんかもしれん。
その後は特に何事も無い日々を送っていた。
木彫りの数も着々と増えている。
そして思ったのは、皆手先が器用だし熊ばっかりでも面白くないじゃん?
だったら子供が喜ぶように種類増やしてもいいんじゃね?
て事で簡単でこの世界にも馴染みがある姿の猪や羊・兎なんかも勧めてみたら
獣人達は自分達をモデルに猫だの犬だのまで彫り始めた。
いいな、犬と猫は儂も欲しいとボソッと呟いたら儂にも彫ってくれた。
ぶちリアルなのを・・・ もちっとデフォルメしてもよかったんじゃ・・・
深夜に見たらちょっとしたホラーになりそうだ。
いや大事に飾るけどもっ。
ある日ムスクスが獲れたと言うので庭に見に行ったら・・・
デカかった! バスくらいあるよね・・・
うん、この大きさなら1世帯に1頭で十分だと思う。
これ誰が捌くんだろう、皆でやるのかなとか思ってたらコレットがばっさばっさと解体し始めたよね。
うん、捌くってより解体だ・・・
捌かれた肉は霜降りの牛肉っぽかった。旨そうだ。分厚いステーキで食いたい。
今日使う分以外は食堂の半地下倉庫に入れておけば冷凍保存出来るらしい。
まぁこの寒さだしなぁ。
そして比較的暖かい日、と言ってもマイナスじゃないってだけだが。
食堂で餅つきをする事になった。
囲炉裏で焼く餅は旨いんだって話をしたら皆が食べたいと・・・
儂としては蓬餅も欲しいところだがさすがに蓬は無いだろうと思った。
うん、あったよね蓬。勿論ダンジョン産。
そうなるとあんころ餅も作りたくなる。さすがに餡子はないだ・・・あったよ。
漉し餡と粒餡両方あったさ!やっぱりダンジョン産。
うん、こうなりゃぜんざいも作ろうか・・・
もち米は前日から水に漬けておいた。
これを蒸籠と蒸し釜で蒸かして、臼に入れて杵でつく。
いきなりペッタンペッタンやるのではなく、最初はグイグイと押しつぶす感じ。
粗方潰れたらペッタンペッタン。
手を濡らしながら合いの手(返し)を入れる。
米の粒が見えなくなりなめらかになれば出来上がり~!
付きたてのお餅は絡み餅や餡餅、キナコ餅が旨いが食べすぎ注意だね(笑)
これは皆見た事無いもんだから興味津々で交代で餅をついて行った。
「おおおおお、おかん!伸びて杵にくっついた!」
「時々杵にも水つけろ」
「おかん、こいつ俺の手までつきやがった!」
「タイミング合わせろや」
「おかん、これ丸めるのってこれでいいのか?」
「ちがっ!それじゃ団子じゃねぇか!」
「おかんこれ伸びて嚙み切れないし味が無い!」
「まだ食うんじゃねぇよ!」
「おかん、この餡子というの甘くてうまいな」
「餡子だけ食ってんじゃねぇーわ!」
「へーっくしょいっ」
「黄粉巻き散らかすんじゃねぇぇぇぇぇ!」
なんとも賑やかな餅つきである・・・
いつのまにか皆おかんと呼ぶようになってるし、まぁいいんだけども。
きっと皆気を使ってくれて、わざと騒いでくれてるんだろうな。
って感動してたのに、そうじゃなかったらしい。
皆本気で騒いでたっぽい。男の人っていつまでも子供っぽいっていうけれど・・・
うん、実感したわぁ(苦笑)
でもまぁ餅つき&餅は好評だったのでそのうちまたやりたいと思う。
次はかき餅も作って置こうかなぁ。
なんて思った3日後にまた餅つきをするとか誰が思っただろう・・・
なんでそうなったかって?
儂が喰えなかったんだよ・・・気が付いたら残ってなかったんだよ。
ははは・・・
読んで下さりありがとうございます。




