デカイピラニア
夕方 獣人達は手ぶらで戻って来た。まだ到来してなかったのかと思ったら居るには居たけど若い雌なので狩るのは止めたそうだ。
うんうん、若い子ならこれからいっぱい子供も産んで行くだろうしね。
アルもだし獣人達や良識あるハンター達は若い個体と子連れは手を出さない事にしているらしい。
これは獣でも魔獣でもだそうな。
ここでふと疑問に思った。
魔物・魔獣・モンスター この3種の違いってなんだろう?
聞いてみるとアルが答えてくれた。
「魔物は人に近い形状をしていてある程度の知性を持って居るんだ。
オーガやサイクロプスもこの部類に入る。
魔獣は姿形が動植物に近い。一般的に知性は低いが稀に高い者も居る。
騎獣達がいい例だな。
モンスターは主にダンジョンに生息するんだが
極稀にスタンピードを起こして森林や草原に沸く事もある。
心というか感情を持たないので魂が無いとも言われているな。
アンデッドなんかがいい例だな」
なるほどね。魂って概念はこの世界にも有るんだ。
そしてアンデッドも存在するんだ、見た事無いけど見て見たいとも思わない。
いやだって要は腐乱死体もしくは白骨死体な訳でしょ? 臭そうじゃね?・・・
でもまぁモンスターに限っては遠慮なく倒して大丈夫そうだ。
魔獣や獣、魔物にしたって必要ならば狩るけど無益な殺生はしたくないよね。
だからこそ適度な距離感での生活って大事なんだなと改めて思う。
一瞬食肉用の家畜を飼う事も考えたんだけど、きっと儂は感情移入しちゃって駄目だと思う。
飼うなら玉子用のコケコみたいに、搾乳用の・・・獣か魔獣って居るんだろうか。
「この世界というか、この国にさ。搾乳用の生き物って居たりする?」
「乳製品はほとんどがダンジョン産だからなぁ」
『 ムスクスに似たムスカゥが乳採れる。 ムスクスより小さい 』
おぉ、オルガが知ってた! どこかで捕獲できるといいなぁ。
『 父 育ててる。 2~3分けて貰うか? 』
ブッ オーガって酪農民族だったけか・・・
いや知性高いし酪農しててもおかしくはないか。と言う事にしておこう。
儂の常識はこの世界じゃ通用せんもんな ハハハ・・・
分けて貰ったムスカゥは・・・薄茶色の水牛みたいな感じだった。
ただ小さいと言えども2mくらいありそうなんだけども。
鳴き声は「モォー」じゃなかった。「ヒャーン」と鹿みたいな鳴き声だった。
ついでにと牛舎も作ってくれて1時間で完成してたのには驚いた。
なんだろう、建築スキルでも持ってるんだろうか? 不思議だ。
そして午後、儂はアルと一緒に川に来ている。
町に魚屋が無かったので、川魚が居るのかどうかの確認に来たのだがね?
いや居るには居たんだ。ただそれがね?
デッカイピラニア・・・
喰えないこともないんだった気がする。白身なんだったけ?うろ覚え。
現地の人が素揚げで食べてたのをTVで見た気がするんだよ。
でもさすがにこのデカさじゃ捕まえるの難しそうじゃね?・・・
「うぉっ。デカイな」
「食えるんかな」
「食える、旨いぞ」
そうとなれば捕まえるしかないじゃないか。
儂は魚より肉のが好きだけど、皆はそろそろ魚も食べたいだろうし。
ただどうやって捕まえるかな・・・
「おかんの雷魔法は駄目なのか?」
「川全体に電気流れそうじゃね?・・・」
「なるほど・・・」
て事で素直に魚は諦めて帰ろうとした。
ジャブンッ フシャーッ!
ビスキュイが何処からともなく表れてデカピラニアと格闘し始めた。
寒くないのかビスキュイ・・・ 蛇って変温動物のはずじゃ・・・
援護したくても魔法だとビスキュイにも被害が出そうだし、武器は斧しか持って無いので見守る事しか出来なかった。
10分後 勝者ビスキュイ! おぉぉ、やったねビスキュイ!
『 褒めて褒めて! 私の見せ場が無かった! カカオばっかりずるい! 』
デカピラニアを咥えて持って来るビスキュイはドヤ顔である。
そっかそっか、褒めて欲しかったのか。よ~しよしよしよしよしっ、イイコイイコ。
気分はムツ〇ロウさんである。
戻ってデカピラニアを捌いて解ったのは、サーモンみたいなオレンジ色の身だった事。
いやびっくりしたわ・・・・
なので夕食分以外は軽く塩をまぶして水抜きをした後に燻して寒風干しする事にした。
夕食はムニエルにしようとコレットと話した。
ちなみに皆曰く、普通の魚もちゃんと居るそうだ。
むしろなぜコレと遭遇したのかと驚かれた。めったに遭遇しないレアだそうな。
名前はまんま、デカニアだった(苦笑)
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