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おかんは今日も叫んでる  作者: 猫茶屋
三章:辺境の地
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オーガと娘と

帰りはモンスターが湧く事も無かったので楽だった。

無事に入り口に戻って来て外の新鮮な空気を吸えばほっとした。

儂は入り口に振り返ってしゃがみ込む。


「どうしたマォ。疲れたのか?」


「いや、ちょっと洞窟内を換気しておこうかなと思って。

 少し待っててね」


ビニールハウスで使う様な大型のサーキュレータをイメージして、換気!

地面に近い位置で風を送り込めば湿気は上部の暖かい空気と一緒に押し出されるハズだ。

案の定 もわんっとした独特の湿気臭さが風と一緒に押し出されてくる。

これで少しは湧かなくなるといいなぁ、ヌメヌメ系・・・


居住区に戻ってみれば、場所を間違えたんじゃないかってな光景が見えた。

すでに家が3軒出来上がってたんだよ、しかもどこか見た事あるような茅葺き屋根の古民家風。

いや形がそれっぽいだけで勿論障子とかはある訳ないんだけども。


『 こんな感じでいいのか、中を確認頼む 』


オルガに言われて一軒の中を見て見れば。

うわぁ・・・としか言えなかった。テーブルに椅子。調理台に竃に暖炉。

奥の部屋はベットが置いてあった。


『 これ番がまだ居ない獣人用 』


独身者用ってことか、手頃な広さでいいんじゃないかな。


『 こっちマォ達家族用 』


家族用は・・・広かった。1人1部屋あってリビングダイニングになる場所も広い。

竃は2連になっているし調理台も大きめになっている。

ん?・・・まって? 囲炉裏があるんだけども? マジで? 嘘やん・・・


『 どうだ?これでいいか? 』


「オルガ ありがとう。凄いね・・・」


『 もう1つの家は 風呂になってる 』


風呂あるの?! この世界はシャワーが主流だから諦めていたのに!

中に入れば 銭湯みたいな感じに男女で別けてある。すげぇぇ・・・

聞けばオーガ達が使ってる温泉がそう遠くない場所にあるらしくて竹をパイプにしてここまで引いて来たんだそうな。なんて有難い。


オルガ曰く 独身者用を後6軒建てて、各家を渡り廊下でつなげば完成らしい。

雨の日でも風呂やお互いの家を行き来できるようにとの配慮らしい。

オーガ一家の気遣い半端ない!というかこんな知識をどこで仕入れて来たのだろう。


『 父 夢見た。そこで家の作り教えて貰った、言ってた 』


なるほど、夢で教えて貰ったのか便利な夢だね。

ん? ・・・ まさか・・・ まさかねぇ・・・

うちの子 建築とか知らんし!いやリフォームは一緒にやったけども!

あ、そうか。見た事あるはずじゃねぇか。これ儂が住んでた家に似てるんだ!

格安で買ったあの僻地のボロ古民家に似てるんだよ!

わぁ・・・・ どうなってんだよこの世界の夢って。

いやそれよりも オーガの技術ってすげぇな・・・


「おかん?・・・ 大丈夫か?」


「ん? あぁ大丈夫。ちょっと衝撃凄すぎて」


そりゃもぉね、色々凄すぎて。


夕食後皆で今日の戦利品を確認して何が驚いたって、どうやったら20㎝四方の木箱から槍だの防具だのが出てくるんだ!おぉーい!

あれか、マジックボックスとかになってるのか? でも中身取り出したら消えるから再利用とかは出来ないし。いやほんともぉ訳判らん。

しかも蒸し鍋とか蒸籠とか銅鍋まで出てくるんだよ?

調味料はドロップ品って聞いてたからまだ納得もする。武器だの防具だのもあるあるだから解る。

でも何故に鍋?!


「お、これはまた大物がでたな。だが使い道がわからんな」


なにさ、今度は何が出たのさ。もぉ何が出ても驚かんぞ・・・

見て見れば・・・

ぶっ 石臼に杵・・・ んなもんどうしろと!

餅つきでもしろってか!蒸し鍋や蒸籠もあるし?!

でも肝心のもち米がな・・・

・・・ あったわぁ・・・(白目)

今回のドロップ品の中にもち米あったわぁ・・・いやホント訳わからん。

ともあれ頻繁に使う物でもないし、すぐ使う物でもないのでオルガに物置小屋を作って貰えるように頼んだ。


「やっぱりマォは使い方知ってたか」


「まぁ一応はね?」


これで唐箕とか千歯こぎとか出てきたら笑うしかないよね。

儂見た事はあっても使った事ないから知らんぞ・・・




そして夜、やっぱりというべく夢を見た。


「おかんおかん! 緑のデカイオークに出会った!」


娘は行き成りハイテンションだった。

そしてオークとオーガを間違えてた。いやいや、待たんかい。


「オークじゃなくてオーガじゃね」


「そうなん?何が違うん?」


何が違うんってまったく別物なんじゃけど。


「オークだと豚系の魔物になるね・・・」


「あ、そうなん。よかったオークさんとか呼ばんで」笑


「やめて失礼過ぎる! ぶち世話になっちょるんじゃけぇ」


「そそ、なんかおかん達の家作るから参考までに教えてくれっちゅうけぇ

 おかんの家見せたんじゃけど」


「やっぱり・・・ 似たような家建ててくれたんよ。

 ちゅうか、アンタよう言葉が解ったね。ってかオーガ家の中に入れたん?!」


「え?普通に会話出来たし入れたよ?夢じゃけぇかね?」


「かもしれんね」


「なんでもありじゃねこの夢」


「ほんまにねぇ・・・」


「あ!そういやぁ前撮った写真。残念駄目じゃった。

 やっぱ夢は夢なんかね」


「でもゆっちゃんのチュッパ〇プスは儂の手に有ったんよのぅ」


「そういやそうじゃったね。何なんじゃろうね、よう解らんね」


「たぶん深く考えたら駄目なんよ」


2人でなるようにしかならんし自分等でどうこう出来る訳でもなさそうじゃしねと話して夢は終わった。

あ・・・またゆっちゃんに会えんかったし!


読んで下さりありがとうございます。

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