毛玉
目が覚めてテントから出れば
「うぁぉっ!」
一際大きな、4~5mありそうなオーガとご対面した・・・
これはあれか、昨日言ってたオルガのご家族か?
「おはようございます?」
『 あ、マォ。 これ父。こっち母。
後のは兄と姉達。早速家作る言ってる 』
「随分と早起きだね?」
『 マォ オルガと子の命助けた 皆仲間。
オーガ仲間大事にする」
「なるほど? ありがとう」
オルガが通訳をしてくれているのかオーガ父はこちらを向いてニカッと笑った。
シュワちゃん系のワイルドイケメンかもしれない。
ってそうじゃない。 ペコリとお辞儀をしておく。
他の皆も起きて来て第一声はやっぱり「うぉっ」だった。そりゃ驚くわなぁ。
オーガ一家は何やら会議?をした後にそれぞれにばらけて行動を始めた。
儂等もさっさと準備してダンジョンに行く事にする。
せっかく家造りは任せろと言ってくれたのだから、時間を無駄にはしたくない。
モファームで30分ほど移動した場所にダンジョンはあった。パッと見は洞窟だけど。
「ダンジョンは毎回道が違っていて、1回外に出ればリセットされるんだ。
だから1度中に入ったら1人だけ先に外に出たりしないように。
中に人が残った状態でリセットされれば迷路になって出られなくなるぞ。
十分に気を付けてくれ。」
アルの説明に皆で頷く。延々と彷徨うとかごめんこうむりたい。
「だったらさ、1人出入口んとこに待機させとけば?
もし誰かがパニックになって出そうになっても止めれるし」
「確かにそうだな。これだけ人数もいるしな」
「では自分が待機するであります!」
名乗りを上げたのはジャック。うん、ジャックなら安心だ。
ジャックに留守番を任せて残りで中に入る。
ひんやりと言うか少しジメッとした・・・チルドルームって感じ?
これ夏には冷蔵庫代わりになっていいんじゃないだろうか。
あ、駄目じゃん。1回外に出たらリセット掛かるなら荷物も何処行ったか解らんこなるじゃんね。ちっ残念。
ダンジョンと聞いて儂は少しワクワクしていた。
どんなモンスターが出てくるんだろうか、ゲームのようにギミックとかあるんだろうか。
ふっ・・・ 儂のワクワクを返して欲しい。
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
りゃぁぁぁ ゃぁぁぁぁ とコダマしていた。
スライム? んな可愛いもんじゃないよこれ!
なんつーかな、某げっちゅだぜ!アニメに出てくるベト〇トンみたいな小汚い色して臭い!とにかく臭い!
他にも ナメクジっぽいのとかでんでん虫みたいなんとかムカデみたいなんとか・・・
いやこんなんじゃ、パニクって走り出す人が居てもおかしかないわな。
触りたくない、たとえ武器越しでも触りたくない。
こういう時こそ魔法か、魔法の出番か!
ぬちょん・・・
ヒィィィィ 触ってもぉた、なんか解らんけど触ってもぉたぁぁぁ!
「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ」
叫んだと同時に洞窟内に細い雷?電流がシュパパパッと走った。チェーンライトニングみたいな感じに。
当然モンスターのみならず皆にも当たるよね・・・
「おかーんっ!魔法撃つなら言ってくれ!」
「あー、私の髪がっ!」
「ぶっ ダルクの髪が・・・ ぷくくっ」
「笑い事じゃありませんよ!リオルの毛だってなってるじゃないですか!」
「ぶ・・・すまん・・・」
まぁ微弱だったみたいで皆感電はしなかったけど、チリチリパーマみたいになってた。
ド〇フコントかよっ!と思ったが原因が儂なので言えない、笑えない・・・
しかし無意識で雷が走ったて事は雷が一番相性いいんだろうか。
「まぁでもおかんのお陰でモンスターが痺れてるな。今のうちに倒してしまおう」
皆頑張れー、って儂も頑張るか。
狙いを1匹ずつに絞って・・・落雷!てぃ! ピカッ!
おぉー? ナメクジっぽいのが消えたというか溶けた?シミだけになってる。
これいいんじゃね? グロ死体とかにもならないし。って、あれ?シミの部分に小袋に入った何かがある。なんだこれ。
気になるがあれから出て来たのかと思うと触りたくない。
こういう時はあれだ、浄化とか洗浄とかとにかく綺麗になれー! しゅわわんっ
おぉぉ、地面まで綺麗になった!すげぇ。
小袋を拾って中を確認してみれば、やったぜ岩塩だ!
辺りを見回せば皆が倒したであろうシミにも小袋だの木箱だのが落ちていた。
こういうとこはゲームっぽいんだな。
まぁ現物が地べたに置かれてあっても嫌だけどさ。
多少のトラブルはあったものの、概ね順調に進みもうすぐ最深部って手前で休憩する事になった。
「まったくモンスターがこんなヌメヌメ系とか多足系なら先に教えてくれよ」
「いや出てくるモンスターも毎回違うから入ってみるまでは解らないんだよ」
「昨日は毛玉だったしなぁ」
「儂も毛玉の方が良かった・・・」
「おかん・・・毛玉ってのはおかんが思ってるのとはたぶん違うぞ?」
「え? モコモコふわふわじゃないの?」
「バッサバサ睫毛の眼玉だ」
「・・・」
バッサバサ睫毛の眼玉・・・ え? 目玉だけ?!
ちょっとリアルに想像し過ぎてグロかった。うん、遭遇しなくていいや・・・
って思ったのに最深部に居たボスが毛玉と鼻毛だった・・・
正確に言えばピンポイントに鼻で、そっから鼻毛がモッサーと伸びているんだよ。
もぉね、意味がわからん。これゲームだったらデザイナーのセンスを疑うレベルだよね。
「もぉさっさと倒して帰ろ?」
て事で使ってみる事にした。何をって? 固有スキル:タマ潰し・・・
目玉も一応タマだろ?
さぁ発動してみろ、必殺タマ潰し!
べしゅっ ぐちゃぁ~
わぁ・・・・ 本当に握り潰された感じに潰れていった・・・
「なんとなくは解りますが一応聞きますね。
マォ殿 今のはアレですかね・・・」
「んだ、アレだね・・・」
「アレってなんだ」
「固有スキルだよ」
「・・・」
皆サッと自分の股座抑えたよね。大丈夫だって仲間には発動させないって。
それに今のは目玉ならぬ毛玉潰したんだから抑えるなら目じゃね?
ほらぁ、そんな事してるから鼻に襲われてるじゃんか。
とは言ってもさすがは元獣騎士団。見事な連携プレイで切り倒したよね。
「おー、皆カッコイイな。儂もカッコイイスキルが欲しかったー」
読んで下さりありがとうございます。




