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おかんは今日も叫んでる  作者: 猫茶屋
二章:道中
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妙な事ってなんだ

「すまん、報告遅れた。

 オーガの親子は無事治療済み。ただ体力落ちてるみたいだから新鮮な肉が欲しい」

「了解、場所は・・・もっふるが解るか」

「じゃあやっぱりあの阿呆貴族の騒ぎは・・・」

「んむ、痛いの痛いの飛んでいけだな」

「「「 ハハハ・・・ 」」」


アルはそのまま町で待機し、阿呆の結末を確認してもらう事に。

儂等はオーガ親子の洞窟で様子を見る事になった。

今オーガの親子はもっちゃんを抱き枕にして眠っている。ちょっと困った顔になっているけど、もっちゃんも動かずにいてくれている。

いいな、抱き枕。儂も欲しい。


洞窟の近くで薪になりそうな枝葉を拾い集めて焚火をおこす。

そろそろ皆も腹が減るだろうし、ここは少し冷える気がする。

根菜と塩漬け肉でシチューを作る事にした。これなら体も温まるし。

今は塩胡椒のシチューしか作ってないけど、辺境の地で落ち着いたらクリームシチューも作りたいと思う。クリームシチューの方が好きだから・・・


根菜類も煮えていい感じになった頃に皆がやって来た。


「マォ、肉を持ってきたがこれで足りるだろうか」


「どれどれ・・・

 ぶっ・・・ 半身かーい!」


バッファローもどきの半身・・・こんなデカいのどうやって持ってきたんだ!


「もっふるが居ればこのくらいは持って来れる」


なるほど・・・ 便利だなモファーム。

ところで・・・ オーガは生食がいいんだろうか、焼く方がいいんだろうか・・・


『 焼かないと子供 お腹痛くなるよ? 』


そっか、オーガと言えども子供は子供。やっぱまだ胃腸も丈夫じゃないか。

せっかくなら丸焼きならぬ半身焼きにしてみようか。大変そうだけども。

とは言え、これだけの肉を刺せる枝がなく、葉っぱでくるんで蒸し焼き風にしてみる。

どっかのジャングルの原住民がやってた方法だ。TVのネイチャー番組バンザイ!

肉は焼けるまで時間が掛かりそうなので、先に儂等は腹ごしらえをする事に。

うん、やっぱ冷える時はシチューがいい。体が温まる。

食べ終わる頃にはオーガの親子も目を覚ました。


「お肉もうすぐ焼けるけど食べる?」


『 感謝する 』


「ん? マォ。オーガと会話が成立しているのか?」


「あぁ、言い忘れた。なんか偶然従魔契約っぽいのが出来たらしい」


「「「 はぁ?! 」」」


経緯を話すとルークには腕を掴まれ傷の確認をされ、ダルクには「まったく貴方と言う人は・・・」と呆れられ、コレットに至っては「マォがどんどん妙な事に・・・」などと言っている。妙な事ってなんだ、妙な事って!なんもおかしく無いわ!たぶん・・・


「私でも出来るだろうか」


「出来るんじゃないか? 別に血じゃなくて魔力をちょこっとあげればいいだろうし」


「ふむ」


ルークが手の平に魔力を集めてもっふるに渡す。

チュルンッと飲み込んで ぽっ と淡いピンクの光が浮かんだ。

ピンクの光? 儂ん時そんなエフェクト出なかったんだが?


『 光ったよ? 自分には見えなかっただけで 』


あ、そう・・・ 見たかった。


「おぉ、モッフルの声が聞こえる!」


ルークは嬉しそうにもっふるを撫でまわして頬擦りしている。

その様子をオルガが生暖かく見守っている。


『 あれは老け顔の子供か? 』


ぶっ・・・ 違う違う 老け顔じゃない、どっちがというと童顔。そして大人だ。


『 無邪気だ 』


うん、それは否定しないよ。珍しいおもちゃを手に入れた子供の反応だよね・・・

ピアスでアルにも教えたら「おぉぉ」とこれまた嬉しそうな声が返って来た。


そうこうしている間にオーガ親子の食事も終わったらしい。

綺麗に骨だけになっていた。本当に綺麗なんだよ、ヤスリかなにかでこそぎ取ったのかってくらいに。


「たぶんもうあの阿呆みたいなのは来ないとは思うけど、オルガ気を付けてね?」


『 主はこの町の住人か? 』


「いや違うよ。ってその主っての辞めてくれぃ。マォでいい、マォで。

 儂等はこの町の住人では無いね。ここの北にある辺境の地に行く途中だよ」


『 ああ、魔獣の森に行くのか 』


「魔獣の森?! え?・・・」


『 我らはそう呼んでいる。

  人間が居なくなって魔獣がのんびりと暮らしている森の事だ 』


「あぁ、なるほどね。うん、そこでのんびり暮らすつもりなんだよ」


『 そうか、ならば我も付いて行ってもよかろうか? 』


「いいけど、ここ離れても大丈夫なん?」


『 森は繋がっている。それにここは人が増えすぎた 』


なるほど、確かに人が増えて町が賑やかになるのはいい事だけど、森の住人達(野生動物・魔獣)は住みにくくなるかもだなぁ。特に子育て期間なんかは気を付ける事が増えるだろうし。


「んじゃ一緒にのんびり暮らす?」


『 感謝する 』


という訳でオーガ親子が仲間になった。ド〇クエかっ!と思ったのは内緒。


ここを出発する前に土砂崩れの痕を何とかしておきたいなと思った。

儂等はいいとしても、町の住人達が困るだろうし迂回しようとして森に入ってまた魔獣達とトラブルになっても困るんだよね。


「でしたら 私とマォの魔法でパパッと直してしまいましょうか?」


そうか、ダルクは地属性特化型だったっけ。

人目につくのはよろしくないので、深夜になるのを待つ事にした。

日暮れ時になってアルも戻って来た。

あの阿呆貴族は町医者では手に負えないと城下町に向かって出発したらしい。

ふーん、辿り着くまで生きてるといいね?まぁ死んだところで自業自得だと思うけども。


ルークは陛下に報告の手紙を送っておいたらしいので、後の事は陛下がなんとかしてくれるだろう。まぁ丸投げとも言うが。だって儂事後処理とかは知らんし?



深夜、静かに作業を進める。

儂は元の世界の崩落現場とかによくある土砂防止の金網や柵をイメージして崩れた山肌の補強をしていく。ダルクは地均しをして道を作っていく。

地滑り対策でコナラや笹などの苗も植えておく。笹なんかは繁殖力が強いのですぐに地面を覆ってくれるだろう。どっから持ってきたかって?そりゃ森の中で探したんだよ。僻地暮らしの知恵と経験のたまものだね!

よし、復旧完了!これで安心して明日はいよいよ辺境の地に到着できるね。

さぁ寝よう寝よう。疲れた~。


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