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おかんは今日も叫んでる  作者: 猫茶屋
二章:道中
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オーガの捜索

町から戻って来たアルの顔はなんとも微妙な表情だった。


「おかえりアル。どうだった?」


「あー、それなんだがな。おかん落ち着いて聞いてくれよ?」


上手く誤魔化す事も無理だと判断して聞いてきた事をそのまま皆に伝える。


「あ”?」


「落ち着けマォ。貴族の対応なら私が出向く方がいいだろう」


「いや、まぁ待て。アルは故郷に戻るという理由があるとしても

 ルークまで此処に居るのはまだ知られない方がいいだろうな。

 儂にちと考えがあるんよ」


皆に儂の考えを説明する。


「な? これならオーガの子供だって助けてやれるし

 阿呆貴族だって居なくなるだろ?」ニヤリ


「上手くいくだろうか?」


「いくだろうかじゃない、上手い事やるんだよ。ケッケッケ」


「おかん悪い顔になってるぞ・・・」


目には目を、歯には歯を、悪には悪を。やられたらやり返すんじゃー!

アルには町で様子を見て貰う事にし、他の皆で手分けして探すことにした。


「各自これを身につけておいてくださいね」


ダルクが取り出したのはバングル。ピアスと同じ様に通信魔道具になっているらしく、なんとダルクの手作り!ピアスにしようと思ったらアルとルークが反対したんだと。まぁピアスばかりが増えても困るからありがたいんだけども。


もっちゃん達も一緒に探してくれている。どの程度の怪我なのかが解らないけど早う見つけて治してあげたい。

どこか(うろ)とか洞窟とかにでも隠れているんだろうか。

ぼふんっ

前を歩いていたもっちゃんが急に止まったもんだからそのままもっちゃんにぶつかった。

どうしたもっちゃん、何か見つけたのか?

フンフンと周囲の匂いを嗅いだ後、ぐぁっ ともっちゃんの口が開いて(うわぁトレ〇ーズ!)ひょいと儂を咥えて走り出した。

なんだなんだ、いったい何事!

ぴょーいぴょーいっと幾つか川を越えた後、ぽいっと落とされた。

もちっとそっと降ろして欲しかったよもっちゃん・・・

ぐいぐいと背中を押されて洞窟の中に入って見れば、低い呻き声が聞こえてくる。

暗くてよく見えないのでランタンをイメージして魔法を発動させた。

呼吸音のする方へ進めば苦しそうに寝転がっているオーガの親子を見つける事が出来た。

もっちゃんお手柄だよ!

あぁ・・・親子で傷負わされてるのか・・・ぐったりしている。

近寄って傷口の確認をしてみれば、刃物傷が変色している。毒が塗られていた可能性もあるのかこれ。

んじゃ早速・・・


「すぐに楽になるから、もう少しだけ我慢してね」


痛いの痛いのケイルにいるあふぉ貴族に  飛んでいけぇ~!!


シュワシュワと炭酸の泡が弾けるような音が聞こえ傷口は綺麗になくなった。皮膚の変色とかも無くなってるし毒も一緒に飛んで行ったと思う、たぶん。

もしかしたら(痛いの痛いの飛んでいけ)最強?

傷も毒も無くなりはしたけど、体力は落ちているだろうし。何か食べた方がいいだろうな。

・・・オーガって何食べるんだろうか。雑食?肉食?


悩んでいると母親のオーガが意識を取り戻したようだ。

オーガは警戒していたがもっちゃんと・・・会話?テレパシー?超音波? 何かでコミュニケーションをとったらしく警戒を解いてくれた。

ひとまずこちらに敵意が無いのは解ってくれたみたいでよかった。良かったが肌色が緑なんで顔色がイマイチわからん。あの傷からして出血量は少なくないハズだ。

うーん・・・

輸血つってもなぁ、人間とオーガの間で可能なんだろうか、そもそもここでどうやりゃいいんだ。

・・・ 悩んでも仕方ないか。

ナイフを取り出しヨシ!と気合をいれてから スパッと手首を切り子オーガの口に当てる。

(一口でもいいから飲んでくれ)

血液と同じ様に魔力が在るならきっと血液にも魔力が含まれていて体力の回復もしてくれるはず。

だって小説とかでも魔力切れで体力無くなったり生命力なくなったりってしてたし!て事は逆に考えて魔力を補充すればいい訳じゃね?

だから儂の血を飲ませれば少しは体力も回復するんじゃないかと思ったんだよ。確信はないけども!

あ・・・もっちゃんがオロオロ慌ててる・・・

ゴクンッ

子オーガが飲み込んでくれた。

ちゅーちゅーと吸い付いて来た、意外とくすぐったい。

満足したのか手首から口が離れて行った。む、血が止まってる・・・

もう一回スパッと切って今度は母オーガに差し出す。

母オーガもやっぱりオロオロしてたけど、はよ飲んでくれ。滴り落ちたらもったいない。

ぺろんっ  あ! もっちゃんが何で舐めるのさ!


『 これでマォと話せる~! 』


へ? なにこれ、え?もっちゃん? まさかのテレパシー?

はっ、今はそれどころじゃない。先に母オーガに飲んで貰わないと。


『 伝えたよー 』


母オーガはそっと手首に口を付けたがくすぐったい。

いや気を使ってくれてるのかもだけどくすぐったいから一気にこう、ちゅぱぁーと吸ってくれぃ!


『 後は名前付ければオーガとも話せるようになるよ 』


は? どうゆうこと?

あ、あれか。よくある名前付けて魔力あげて契約完了!みたいなやつか!

いやいやもっちゃんはまだしも、このオーガ親子に名前付けたらだめだろう。このオーガ親子は自由な野生種だろ。


『 でもお母さんオーガがそうしたいって言ってるよ 』


マジかー。まぁ契約したところで行動縛らなきゃいいだけの話か。


「名前かぁ、ん~。オルガ、オルガでどうかな?」


母オーガが手首から離れて頷いてくれたのでオルガとなった。



『 助けてくれて感謝する。この子を頼む。私は報復に向かう 』


待て待て待て、もう報復はしたから!

子供が目を覚ました時に親がいなかったら不安になるだろ?まだ体力だって完全に戻った訳じゃないんだしな?


『 報復・・・してくれたのか? 』


報復というか、君達の傷をぽいっとお返ししただけなんだがね?


『 傷を  ぽいっ? 』


まぁ訳解らんよねぇ。君達を襲った阿呆は今頃死にかけてると思うから。

後の事は任せてまずはゆっくりと休んで?


『 解った そうさせて貰う 』


オルガはゴロンと横になり目を閉じた。

なんだ、変なお貴族様よりよっぽど話が通じるじゃんか。


「そっちはどうだ? こっちには居なさそうだ。」

「こっちも居なさそう」

「おぃ!こっちは大騒ぎになってる。

 例の貴族が原因不明でいきなり傷だらけで毒にも侵されてるらしい」


バングルから聞こえてきた声で気付いた、やべぇ報告忘れてた・・・


読んで下さりありがとうございます。


本作でのオーガのイメージとしては 身長3mくらいのちょっとゴリマッッチョな犬歯の鋭い緑の人といった感じです。

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