情報収集
ぐっすり眠れたのかは謎。
あの夢のせいで寝たような寝て無いような不思議な感覚だ。
ともあれ朝飯の準備をする。木の実のパンとコーヒー、それに木苺。
コーヒーを飲もうとしてブルーアイと目が合った。
ぶっ・・・
何故にカップの中に居るのかね、ホワイトマンバ・・・
儂コーヒー淹れたよね? おかしいな? まさか蛇が飲んだ?
いやいや ナイナイ。
ゲフッ
「・・・」
視線を反らすな!尻尾をタシタシするな!
飲んだな?飲んだろ? 吐け!出せ! 蛇にカフェインとか駄目だろぉぉぉ!
「おかん、どうし・・・うわぁ!」
「なんだ、どうし・・・うぉっ!」
まぁそうなるよね。
「コーヒー淹れたハズなのにコイツ飲んだらしい。
蛇にカフェインて大丈夫なんじゃろか?どう思う?」
「どう思うと言われても。カフェインがまず何なのかが解らないな」
なるほど・・・
「そうじゃなくてマォ。連れて来たのか?」
「いやまさか。昨日 野に放ったじゃん」
連れ歩く訳にもいかないのでもう一度野に放つ。今度はちゃんと言い聞かせた。通じるかは知らんけど。
「いいか、儂等は辺境の地、北に向かってるんだ。
危険な場所も通るし人が多い場所も通るかもしれん。
だから一緒に来たら駄目だよ。お前に危険が迫るからな?
人間がすべて儂等みたいなんじゃないんだ。
お前の姿見たら攻撃してくる奴だって居るかもしれん。
だから森の中で人間に遭遇しないように気を付けて暮らせ。解ったな?」
ホワイトマンバはじっと儂を見つめた後森へと消えて行った。と思う。小さくて確認が出来ないんだもんよ。
気を取り直してコーヒーを新たに煎れ飲む。ふぅ・・・旨い。
朝飯と片付けを終えて再び河下目指して歩き始める。昼過ぎくらいにはキエルの近くに到着するらしいのでそこからはコレットとダルクに任せる事となる。
順調に歩き進めてキエルが見える場所に着いた。とはいっても相変わらず森の中だ。
パッと見だとまばらな人通りがあるだけで、騒がしくも無いが油断は出来ない。
サッと着替えて準備を終えたコレットは、普通に女性だった。
なんだ似合うじゃんか。ずっとその恰好でもいいのにと思う。
「ちょっと裕福な商人風を装ってみますね。では行きましょうかコレット」
「はいお父様」
わぁお、声まで変わってるし。
これ言われて無かったら儂でも解らんぞ。
「凄いな、人ってあんなに変われるんだ・・・」
「私も驚いたよ」
「俺もだ・・・」
と3人が待機している一方
「さてまずは先に情報収集からですかね。
ふむ、冒険者ギルドの前にあるお店で何か飲みましょうか」
「そうですね、そうしましょうかお父様」
店内で飲み物を受け取りテラス席に腰を掛け耳を澄ませる。
冒険者達は声が大きいので雑談ならば聞き取れるだろう。
* * * * *
聞いたかケイルの崖崩れ。オーガの仕業らしいぞ。
オーガだと?討伐隊は組まれたのか?
ケイルで募集が掛かってるらしいがオーガだろAランク以上になるだろうな。
騎士団は討伐に行かないのか。
それが今城にいる騎士団は役に立たないらしい。
は?どういうことだ?
今までダンジョン攻略や魔物討伐は獣騎士団がやってたらしいんだがな
貴族連中が追い出したらしいぜ。
獣騎士団ってあの獣人達のか。
獣人と比べたらまぁ戦力は落ちるのは解るがよぉ。
復旧工事もオーガ討伐が終わらないと進まないらしいからな。
王様は何してんだ?
王様は獣人擁護派だろ?貴族達と揉めてるらしいぞ。
獣人達に守られてたのは事実だからなぁ
そこまで毛嫌いする事もないと俺は思うぜ?
ダンジョンで助けて貰った連中だって居るしなぁ。
おおっぴらには言えねえけどな俺達は。
* * * * *
ちょっと聞いた?
あの馬鹿王子がやらかして宰相さんがとうとう辞職したみたいよ。
またやらかしたの?
今度は何したのよ。
異世界から女性を拉致したらしいわよ、可哀そうに。
あー、私も聞いたわよ、なんでも貴族連中が女性を怒らせたとか。
あら、私は貴族連中がその女性を手籠めにしようとしたって聞いたわよ?
違う違う、アタシは孕ませたって聞いたわよ?
アンタそれ違うわよ。
その女性は動物愛好家で貴族連中が彼女の逆鱗に触れたって話よ。
なんにせよ可哀そうよねぇ。
貴族連中に城内で軟禁生活強いられたんでしょ?それで逃げ出したって。
あら、アタシは宰相さんと駆け落ちしたって聞いたわよ?
アンタまた・・・違うって。
宰相と女性が恋仲になって国王も認めてたのに
貴族が横やり入れてきたんだってば。
私もその話聞いたわよ。
どのみちさぁ、逃げ出したのには間違いないんだろうけど。
貴族連中は躍起になって探そうとしてるみたいねー。
まぁ万が一それらしき人見つけても私は通報しないけどね。
私もー。
アタシもかなぁ。むしろ応援しちゃうかな。
ねぇー。
* * * * *
なんて話が聞こえて来て何度も吹き出しそうになる2人であった。
「お父様、これ私達で良かったかもしれませんわね」
「まったくだ。こんな話聞いたらかっ、ルークも怒り狂いそうですしね」
「マォもですわよ?」
「でしょうねぇ」
2人は大きな溜息をつき、買い出しをしてモファームを迎えに行くことにした。
モファームは駐車場ならぬ騎獣待機場に居る。
しれーっと行商人や旅行者の騎獣に紛れているらしいのだが。
「ぶふっ」
マォのモファーム、もっちゃんだけかと思ったらルークとアルのまで居たのである。なるほど、これは陛下の差し金だなと思った。
何故なら手綱に結ばれていたメモ書きに「俺も行きたかった」と書かれているのだ。
(こんな事に紋章入りのメモ用紙を使わないでいただきたい!
バレたらどうするんですかっ!)
無事モファームも回収し皆の待つ森へと戻る。
勿論周囲には気を付けている。モファームが目立つんじゃないかって?
ふふふ 心配無用だ。モファームは地中も走れるのですよ。
「お父様? 何方に説明していらっしゃるの?」
「ん? そういえばそうですね・・・誰になんでしょうね?」苦笑
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