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おかんは今日も叫んでる  作者: 猫茶屋
一章:城内
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おかん迷子

少しだけシモネタチックな部分があります。苦手な方は飛ばして下さい(;´Д`)

は~れたそらぁ~♪

そ~よぐかぜぇ~~♪


なんて歌っている場合ではない。

何処かの山頂で途方に暮れる儂とアルとササミ。

何故こんな場所に居るのかと聞かれてもササミのせいだったりする。たぶん。

山菜取りに来たハズだったんだよ、ササミに乗って。

モファームには乗らないのかって?アレって城内用で山には向かないらしい。


儂とアルは図鑑片手に山菜取り。こっちの世界の山菜は知らないのがあったり、見た目や名前が同じでも喰えなかったりとかあるかもしれんからね。せっかく美味しい山菜採ったのに腹下しましたとか嫌じゃん。だから念には念を入れて。

ササミは近くで遊んでいた。時々地面に顔突っ込んでたから何か捕食しているのかもしれん。確認はちょっと恐ろしくてしたくな。何かグロテスクなのが見えても嫌じゃね?


「おかんの世界だと山菜はどうやって食べるんだ?」


「ん?儂の世界つーより儂の国だと天ぷら、フリッターみたいなのだな。

 後は筍と煮付けたりかなぁ。

 たまり漬けだと酒の肴になるし炊き込みご飯にしても旨いよ。

 こっちだとどうやって食ってるんだ?」


「ピクルスくらいじゃないかな」


「なるほど、たまり漬けがあるんだからピクルスも有りなのか」


そんな会話をしながら山菜採りつつキノコも採っていた。

メルヘンな配色のキノコがあったり、ホラーチックなキノコがあったり、マ〇オか!っていいたくなるようなキノコがあったりと面白かった。

そうただ単に、ごく普通に山菜取りを楽しんでいるハズだったのに。


「クケッ」ツンツンッ


ササミが何かを突いていた。時々皮っぽい部分を咥えてびよーんと伸ばし、放してはペチッと戻るのをおもしろがっているようだった。子供が輪ゴムで遊ぶようなもんか、かわいいもんだなと確認しなかった過去の自分が恨めしい。

何度目かのびよーんが力いっぱい引っ張ったのだろう、ブチッと切れたんだよ、皮っぽい何かが。

それと同時に地面が揺れるような雄叫び?悲鳴が上がった。


『んぎゃおぉぉぅんっ』


何?何の声? どうした何が起こった。


「おかん、あれ・・・」


アルの指差す方を見れば・・・ 股間を押えてゴロゴロ悶絶するサイクロプスが居た。

あ、察し。   皮っぽいものじゃなくてモロに皮だったんだ・・・そりゃブチッとやられたら痛かろうよ。つーか、つんつんされたら気付けよ!つんつんでも痛いだろうに!

あー、涙目になってるじゃねぇか、可哀そうに。

なのに張本人のササミはケロッとしてなおも突こうとしている。

まてまて、止めろ止めたげてぇぇぇぇ!


ぷすっ


「「 ・・・ 」」

『 う”っ 』


刺さったよ、後ろの穴に・・・

なにしてくれてんだこのササミーーー!!!


ヤバイヤバイ、サイクロプスが正気に戻る前に逃げないと!

ほらササミ逃げるぞ! え?嘴が抜けない? どんだけ勢いよく刺したんだよ!このド阿呆!!

呆れながらも急いでササミを引っ張る。とは言えデカイササミを掴んで引っ張るのは一苦労だ。

儂の頭の中に「大きなカブ」の挿絵が浮かぶ。カブじゃなくてデカイ鶏だけども。


うんとこしょ どっこいしょ         スポンッ!


抜けた!ほら逃げるぞー!!

と思ったけど遅かった。 ブンッとサイクロプスの大きな手で薙ぎ払われ儂等は綺麗に吹っ飛んだ。

どれだけ吹っ飛んだのかは謎。途中でササミが頑張って儂等を背中に乗せてくれたんだよね。

鶏ってとべるんだぁとか感心してる間に地上へ降りたって見れば着地地点は山頂だったんだよ。


見渡す限り山々山。現実逃避で歌いたくもなるだろう。

え?ならない?儂だけ?


いくらサイクロプスと言えど、えらく飛んだなぁ。

踏みつぶされたり叩き潰されたりよりはマシだけど!

魔法かなんかとの併用だったんだろうか。え、違うって?

この羽で?パタパタしてたら?風に乗ったみたいで遠くにきちゃった?

ぅおぉぉいっ!お前か!お前が原因なのかササミ!

一生懸命ジェスチャーで説明してくれたけど!そこはしれっと誤魔化してサイクロプスのせいにしといたほうがよかったんじゃねぇのか?!

名前通りにササミにしてやろうかと首に手を伸ばしたけどアルに止められた。

まったく何してくれてんだ。取り敢えず帰る事を考えないと。


「王城のおおよその方向だけでも解んない?」


「こう山の緑しか見えないと見当もつかんな」


「帰巣本能とかない?」


「クォケッ?」


うん、ササミに期待した儂が悪かった。

確かこういう時は太陽の位置でおおよその方角が解るんだった気がする。

太陽のある方向が朝は東、正午は南、夕方は西だったハズ・・・うろ覚え。

よし!太陽はどこだ!!

ちょ!このタイミングで曇るんじゃねぇよ!さっきまで晴天だっただろうがよ!

えぇー・・・


「おかん、宰相閣下のピアスは?」


ハッ、そうだよ、今こそコレの出番じゃないか!


「それだ! よし使ってみよう」


魔力を流して話しかければいいんだよなと少しばかりの魔力をピアスに流し込んで話しかけてみる。


「閣下ー!ヘルプミー!迷子なった!」


シーン・・・

反応がない。


「これは思ったよりも遠くまで飛ばされたのかもしれないな」


なるほど、遠すぎると通信出来ないのか、スマホってよりトランシーバー的な使い勝手と思った方がよさげだな。

さて、どうするか。夕方まで戻ってこなければリオルが心配して閣下に伝えるだろう。そこから捜索隊が出るとして。王城からここまでの距離が解らんから見つけて貰えるまでの時間も予測ができん。

となると、無駄に体力は消耗したくないし、まずは水の確保・・・は大丈夫か。魔法で出せるし。

んじゃぁ次は・・・空を見ればどんどん雲が集まってきているので一雨来そうな気がする。


「よし、雨宿り出来そうな場所を探そう。濡れたら体温下がって体力も低下する」


出来れば洞窟とか岩場の窪みとかがあるとええんじゃが。

山頂から下りながら探してみるがそう簡単に見つかる訳もなく。ですよねーって感じだった。

やがてポツポツと雨が降り始めた。


「これは適当な樹の下にでも入った方がよさそうだ。すぐに土砂降りになるぞ」


そうか、そういえばこっちの雨ってスコールっぽいんだっけか。近くの大木に身を寄せる。本当は大木の下とか落雷の可能性があるから避けたいところではあるけれど、これだけたくさんの木が生い茂っているならピンポイントでここに落ちる事はないだろうと信じたい。


ピカッ! ゴロゴロゴロッ  ドドーンッ


目の前には落ちたけどな! ハハハ・・・


読んで下さりありがとうございます。

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