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おかんは今日も叫んでる  作者: 猫茶屋
一章:城内
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おかんの天敵

暑い、暑くて目が覚めた。

目の前にはモフモフした毛がある。またガイアかと思ったのでのけようとしたが重くて動かない。

ガイアこんなに重かったっけ?


「ガイア重い、のいて」


動きゃしねぇ・・・渋々体を起こそうとして意識がハッキリとする。

ガイアがここに居る訳ないんだよ、じゃあこれは誰だ。


「目が覚めましたか、マォ殿」


ん? どぅわぁ!昨日の虎!なんでアンタがここに!ベットに入ってんだよ!

驚きすぎると人間声が出ないものである。


「マォ殿、大丈夫ですか」


状況が把握できないが、まぁ大丈夫だと思うので取り合えずベットから出て頂きたい。こんなのアルが見たら、うん アルも反対側に寝ていた。なんだこの状況は。


「昨日儂に何があった、儂何かやらかしたか?」


「ん~・・・ おかん起きたのか。気分はどうだ。吐き気とかは無いか?」


アルも目が覚めたらしい。

というかこのベットシングルだよな?よく3人も寝れたな。


「おかん覚えてないのか」


どうやら儂は丸っと2日寝ていたらしく体温が下がっていたので温める為にこの2人が一緒に寝ていたと。1人でよくね?と思ったがそれだと温めきれなかったらしい。なるほど、それはすまんかった。


アルはあの3人から大まかな事情を聞いて激怒したらしい。

あの3人は儂が恵まれた環境でのほほんと暮らしてたと思っていたようで、まさか心的外傷を負っているなど夢にも思わなかったと平謝りをしていたそうだ。


「まぁ儂もほとんどの記憶が飛んでるから覚えて無い事が多いんだよ。

 当時何をしてたのか、何を食ってたのか。食ってなかったんだろうなぁ。

 あ、腕や足の傷が自傷なのは解る、こう・・・」


「いい、いい。もぅ話さなくてもいいからおかん」


そう言ってアルに抱きしめられたが、苦しい。アル、力加減をだな・・・儂カヨワイ老人窒息スルネ。いやその前に肋骨折れるかも。 グフッ


「アルノー殿!アルノー殿~!マォ殿が窒息してしまいます!加減を!」


「む、おかん!しっかりしろ!」


しっかりしろってアルのせいだからな?


アルから解放されて身支度を整え飯を食う。

この後山に行って倒木拾ってきて床材つくらないとだなぁと思ったのに、床材はしっかり敷き詰められていた。獅子と狼でやってくれたらしい。

と カカオがこちらにやってくる。どうした?

ぐいっと何かを押し付けられる。なんだこれ。

広げてみればストール? どっから持ってきたんだか。


「それな、カカオの手作りだ。おかんが倒れて寒がってるってのを聞いたんだろう。

 自分の糸でせっせと作ってたぞ」


そっか、カカオにまで心配かけてしもうたんか。すまんのぅ。


「ありがとうカカオ。カカオの優しい気持ちが込もっていて温かいな」


羽織って見れば軽いのに温かい。大切にしようと思った。


「よし、これ儂の家宝にしよう」


この呟きを他の騎獣が聞き逃さなかった。

脱皮した皮に鱗が足元に置かれる。これをどうしろと。

うわぁぁ毟るな!ササミやめーい!自分の羽を毟り取るんじゃない!!

涙目になりながら自分の羽を毟るとかいたたまれないから!

わかったわかった、気持ちだけで十分だから落ち着けササミ。


「こいつら嬉しいんだろうよ。自分達を大事な仲間だと言って貰えたのが」


儂にとっては当たり前の「仲間」という感覚が今までなかったんだろうか。

もっと触れ合って仲間意識を持って欲しいものである。騎獣にしろ騎士同士にしろ。

まぁ説教くさくなるから言わないけどな。

さて、予定が開いてしまったのでどうしようか。そうだ、畑!菜園の一角が使えるようになってるから畑の準備をしよう。ついでに菜園でどんな物が育てられてるのかも見て見よう。



土は水はけがよさそうなフカフカの土だし 日当たりも良さそうだし風通しも良さそう。さすが王城の一角にある菜園!これなら時々追肥する程度で良さそうなので畝だけ作って置く事にした。

菜園職人が予め儂用の農耕具と収納小屋を用意してくれてたんだよね、ありがたい。

幸いなことに鍬も鋤も鎌も形は同じ。ただ鉄製じゃなかった。

ミスリル製と聞いて驚いたよ!武器防具に使う貴重な鉱物じゃないのかと思ったけど王城専用だからなのだそうで一般的にはちゃんと鉄だった。よかったよ。


ひと段落したので腰を伸ばせば 鹿!! 

咄嗟に鍬を構えてしまった。条件反射って恐ろしい。


「ああ、驚かせてしまってすみません」


この鹿の獣人さんは菜園職員の人。トマト名人らしい。是非教えを請わねば。


「こちらこそすみません、つい条件反射で」


「いえいえ、異世界からだとなれませんよねこの姿に」


儂の場合異世界だからと言うよりは・・・鹿=畑の敵だったからなんだが言える訳もない。


「すぐ慣れると思いますので、本当にごめんなさい」


「大丈夫ですよ。おやもう畝を作られたのですね。

 何を育てるおつもりで?」


「今の季節お勧めの物はあります?」


そういや儂今の季節知らんかった。寒くもないし暑くも無いから春か秋?


「そうですねぇ、夏の今はトマトや茄子、胡瓜がお勧めですかね」


「はい? 夏?! 今夏なんですか?!!」


聞いてみればこの国は大陸の北に位置していて夏は涼しく冬は寒さ厳しいんだそうな。

そして梅雨は存在しない代わりに時々スコールがあるそうだ。

なるほど・・・、畑のスコール対策ってどうすりゃええんじゃろか。支柱でしっかり支えるくらいでええんじゃろか。

菜園の野菜を見渡しても支柱が建ってるくらいだしな。

取り敢えずは鹿さんお勧めのトマト・茄子・胡瓜、それにピーマンの苗の発注をお願いした。


「ところでマォさんは虫は平気ですか?先程から蚯蚓を触ってらっしゃいますが」


「あー。ほとんどの虫は平気です。

 がGとカメムシと他には無駄に足が多いのは苦手ですね」


そうだよ!聞いておかないと! 

この世界にもGやカメムシおるなら対策考えないと!!


「Gとは? カメムシとは?」


Gは地面に絵を描いて説明した。

カメムシは言葉でなんとか説明できる。臭い虫で伝わるだろうし!

鹿さんは そのような虫が!と驚いていたがこの世界には存在しないらしいので安心した。

カメムシはトマトや果樹の天敵だし居なくて本当によかった!臭いし!服とかに匂い付いたら中々取れねぇんだよ。

若い頃にさぁ・・・

フルフェイスヘルメットの口元にある通気口にさ、カメムシが突っ込んで来た事があってな?

走行中にだよ走行中に! ヘルメット脱ぎ捨てる訳にもいかんしハンドルから手を放す訳にもいかんしでそりゃもぉ悶絶しそうだった。あれ以来カメムシは儂の天敵だよ!庭のブルーベリーも食われたし!


読んで下さりありがとうございます。

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