26話 赤対焔 2/2
赤き躯体となった俺の体。煮えたぎるように力が湧いているのを感じる。殴りてえ、壊してえ、ぶっ殺してええええええ!
<ファリア>
「無闇に突撃するでない、被検体」
女の静止も聞かず、刀の女に向かって一直線に走る。
<パレ・リブッカー>
「私は赤いのをやる。お前達は”元”魔法使いの足止めを頼む」
<連盟軍兵達>
『Got it!』
<ファリア>
「癪に障る言い方をしてくれるの」
連盟軍兵が銃を構え、女を取り囲む。
<連盟軍兵>
「物量で押せば勝ち目はあるぞ!」
<ファリア>
「多勢如きで妾を止められるとでも!Sechzehntel」
女の魔弾が炸裂し続ける音をバックに、刀の女へと真っ直ぐ目を向ける。
<シリウス・バレル Red Custom >
「殺す!殺す!テメェは絶対に!」
<パレ・リブッカー>
「――羽々煉」
奴が攻撃する前に、魔弾を纏わせ空を殴る。
<シリウス・バレル Red Custom >
「パイル・バスター!」
魔弾が刀の女目掛けて飛んでいく。
モリタミ達との修行で、この形態なら魔弾を飛ばせるようになった。
風圧の籠った魔弾を奴が刀で受けると、僅かに後方へと下がった。
<パレ・リブッカー>
(動きは白い方より遅いが、風圧で上手く私の間合いから避けているな)
<連盟軍 十三番隊補佐 エニカ>
「ウォーターチェイン」
<連盟軍 十三番隊補佐 ダッカイ>
「ソイルボックス」
ファリアは水の鎖で拘束され、土の壁で覆われ閉じ込められた。
兵士達は固唾を飲み、その様子を見つめている。
土壁は次第に亀裂が入っていき、ボロボロと崩壊した。
砂煙が上がる中、ファリアの影が映る。
<十三番隊補佐 ダッカイ>
「一斉掃射!」
ファリアを取り囲むように魔弾が発射され爆発する。
爆風で巻き上げられた煙が引く。彼女の姿は無い。
<ファリア>
「煽っておいて今の軍の力はこの程度か」
兵士達の後方でファリアは岩の上に座っている。
<十三番隊補佐 エニカ>
「さすがにこの程度じゃ止められないよね」
<シリウス・バレル Red Custom >
「おい!座ってねえでさっさと援護しろ!」
俺は跳躍して刀の女から距離を取る。
<シリウス・バレル Red Custom >
「装填 一、二」
<ファリア>
「はいはい。そなた、ちと借りるぞ」
<十三番隊補佐 ダッカイ>
「え」
女は兵士に指さすと、即座に彼の背面に現れ首を掴む
<ファリア>
「ソイルボックス」
<パレ・リブッカー>
「――廻炎」
刀の女が装填の隙を狙い攻撃するも、土の壁に阻まれる。
<パレ・リブッカー>
「これはダッカイの技か――多爆粉」
刀から火花が放たれ、土壁で爆発する。
炸裂する火花は止まず、土壁は攻撃に耐えられず、崩壊した。
重ねて刀を振り下ろすと、何か固いものに弾かれた。
<パレ・リブッカー>
「これは、防御魔術」
<シリウス・バレル Red Custom >
「五、六――」
<パレ・リブッカー>
「さすがは元とはいえ魔法使いの魔術、”奴”を呼ぶか、いやここは斬り通る!――炎火散」
一振りで複数の炎の斬撃が放たれ、防御魔術に直撃する。
雨のように降り注ぐ斬撃は防御魔術に亀裂を入れるには十分だった。
一方女は兵士の首を持ち、杖を兵士の心臓に突き立てている。
<ファリア>
「お前達が妾を攻撃すれば此奴に直撃するだけでは済まなくなるぞ。」
<十三番隊補佐 エニカ>
「ダッカイを離せ!」
<シリウス・バレル Red Custom >
「七、八、九!」
<ファリア>
「前よりも魔弾が膨張している。一時退避じゃ」
<十三番隊補佐 ダッカイ>
「消えた!」
炎の攻撃に耐えられず、ついに魔術防壁が壊れる。
<パレ・リブッカー>
「面断――」
<シリウス・バレル Red Custom >
「十、装填完了」
「死ね」
<シリウス・バレル Red Custom >
「ホプキソンクラッシュ!!!!」
幾重にも重なった衝撃波は刀の女と兵士たちを襲う。
その威力は周囲一帯の森林を消し飛ばした。
風が吹き荒れ、土煙が雲のように立ちこめている。
<シリウス・バレル Red Custom >
「やった、やったぞ、痛っつ……………」
腕が青くなり、血が垂れている。最大威力はさすがにきつかったか。
奴が死んだか確認しようと一歩また一歩と歩き出す。
土煙が落ち着き、一陣の風が吹いた。
<パレ・リブッカー>
「……………技で減衰させなければ皆やられていただろう。私も危なかったがな」
そこに立つは刀を地面に突き立て膝を付く怨敵と兵士達の姿だった。
<シリウス・バレル Red Custom >
「嘘だろ……………最大出力だぞ」
<パレ・リブッカー>
「お前達、咄嗟の判断とはいえよく魔術で兵士を守ったな」
<十三番隊補佐 エニカ>
「いえ…これくらい、は……………」
<十三番隊補佐 ダッカイ>
「あなた、の部下とし、て、当然……………」
倒れる二人。
兵士達も次々と倒れていく。
<パレ・リブッカー>
「――喰戦百景 火嵐」
俺はただ懐に潜り込まれ、自分が炎の斬撃を食らうのを見ていることしかできなかった。
<シリウス・バレル Red Custom >
「クソッ……………また俺は……………」
炎の嵐に包まれ、俺は意識を失った。
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26話 赤対焔
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子供の姿に戻ったシリウスを即座に回収するパレ・リブッカー。
<ファリア>
「前も言ったであろう、そやつは妾の物じゃ。勝手に――」
<パレ・リブッカー>
「今だ!」
そう叫ぶと、ローブを着た人間が森の茂みから飛び出してきた。
<ローブの人間>
「はいよっと、コンテナ5!」
高くジャンプしたその人間はファリアに透明な箱を投げつける。
箱は巨大化し、彼女を閉じ込めた。
魔弾を放とうと中で杖を構えるも、魔力が上手く集まらない。
<ファリア>
「封印結界か、舐められたものじゃ」
しかし元魔法使い。杖を結界の右上に投げ、封印結界を破壊した。
ローブの人間はパレ・リブッカーの下に行くと、着ていたローブを剥ぎその姿を現す。
彼女と同じ連盟軍の制服した青年。彼が地に手を付くと、空中にシャッターが現れ、ものすごい勢いで下りてきた。
<ファリア>
「待て、そやつは妾の――」
<青年>
「僕の方が一手早いよ。これで幕引き。――カーテン」
シャッターが下りきり、再び開くと、シリウスとパレ・リブッカー達の姿は無かった。
<ファリア>
「妾と似た魔術で逃げるとは中々やりおる……………さてどうしたものか」
次回は11/12となります!
☆いっしょに!なになに~☆
コンテナ5
レヴィリオンの王がルーンショット社に作らせた対ファリア試作魔導具。
普段は小さい透明な箱だが、対象者に投げつけると四角い結界が展開され相手を包む。
魔術詠唱を強制的に破却し、対象者の魔力を拡散、結界内に吸収することが出来る。
また仮に魔術が使えても対象者に反射する機能もあり、中に入った魔術師は為す術無しとされていた。
弱点は結界の右上にある一点を物理的に突くこと。
ファリアは結界の構造を把握し、弱点を突くことで瞬時に脱出した。
納期の関係で対象者を拘束する機能を付けることができなかったと開発者は語る。




