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34アラタはアラタ


あまりの出来事に呆けていると白銀の剣は砕けて指輪の姿に戻った。不思議なことに、体に回るポカポカした何かも、なくなっている。


「ドワーフさん⋯今のは⋯⋯?」


「指輪の効果で間違いないだろうな。マジックアイテムの中には魔力を流すことにより、形状を変化するものが存在する。しかし、ロキテウスが名前をいれたマジックアイテムにしては、ちと物足りなさを感じるな⋯⋯。どれアラタ!もう一回魔力を流してみてくれ!!色々と実験を」


「ドワーフさん!!」


ドワーフさんの話をガルラが遮る。


「まず、アラタが魔力を思い出せたことについて何もないのかよ!?それに、倒れてた状態から目を覚ましたばかりなんだから無茶させないってヤツだぜ」


ガルラがドワーフさんを責め立てている。

自分のためだと思うと何だか嬉しい。それにしても、十六歳と百歳超えなら、その立場は普通逆じゃないのか⋯⋯。


「そ⋯⋯そうだな。どうもマジックアイテムのこととなると、我を忘れてしまってな。さぁてアラタよ。改めて聞くが、体に何かが流れた感覚があっただろう。それが魔力の流れだ。魔力はマジックアイテムを作動させたり、世の中の(ことわり)()じ曲げる魔法を発動させたりと様々な使い方がある。ただ魔法に関しては、理論を学んで活用できなければ、使用することは出来ないがな。まぁ、何にせよ魔力を思い出せて良かったわ!」


「今のが魔力なのか⋯⋯」


あのポカポカと流れる何かが魔力⋯⋯。人生で初めての体験だ。魔力や魔法といったファンタジー要素が、俺の好奇心と恐怖心を同時に刺激した。


「それにしても綺麗な剣だったぜ、アラタ!やっぱり俺の考えは正しかったな!」


ガルラがふんっと得意気にしている。


「ただ、冷静になって考えると疑問が残るな⋯⋯。先ほどは興奮して気にもとめなかったが、アラタが指輪を持っていたとはいえ、作成者であるロキテウスは古代の人物だ。そのロキテウスが、アラタの魔力の波長に合わせて作ったとは考えられん。だが、指輪は効果を発動している⋯⋯。アラタよ。お前さんは、一体何者なんだ?」


ドワーフさんは何やら疑うような眼差しを向ける。

それは、犯人を見つけた探偵のようにも感じられた。


「えっと、俺は⋯⋯」


なぜか【記憶喪失とは言わせない】といった強い圧をドワーフさんから感じる。


自分だってよくわからない。自分が魔力を持っている?その魔力に合わせた古代のマジックアイテムがある?謎だ。謎だらけだ。異世界から来たという理由だけでは説明がつかない⋯⋯。


「アラタはアラタだよ」


ガルラが静かにそう言った。


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