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33金色の指輪

――

「この方法なら⋯⋯」


「可能だが⋯⋯」


「別にいいんだ⋯⋯」


「なぜ、そこまで⋯⋯」


「約束だから⋯⋯」


「後悔は⋯⋯」


――


「アラ⋯⋯目を⋯⋯」


何やら声がする。


「アラ⋯!しっか⋯⋯ろ!」


今では懐かしい友人の姿が見えた。 


「智也⋯⋯?」


「アラタ!」


名前を呼ばれてハッとする。

目の前には俺を覗き込むガルラの姿があった。


「気がついたかアラタ!魔力変換装置で魔力を流した途端に倒れるから心配したんだぜ」


ガルラは安堵した表情をしていた。

どうやら倒れて気絶していたようだ。

ガルラの手を借りながら立ち上がる。

それにしても何だか懐かしい夢を見ていた気がする。


「ドワーフさんは心配して意識を取り戻すためのマジックアイテムを探しているんだ。今、呼んでくるな」


ガルラがドワーフさんを呼びに行こうとしたちょうどその時にドアが開く。

何かしらの器具を持ったドワーフさんだった。

器具を投げ捨てコチラに向かってくる。


「おぉ!良かった!意識を取り戻したんだな。本当にすまんかったアラタ。ワシのせいだ。魔力変換装置を思いつきで試すものじゃなかった!」


感極まったドワーフさんに力強く抱擁される。


「ドワーフさん!もう大丈夫ですから離してください!痛い!痛いです!」


「すまん、すまん」


ドワーフさんはすぐに離してくれた。

万力とまでは言わないが、かなり痛かった⋯⋯。


「アラタ。本当に良かったよ⋯⋯。とりあえず今日は宿に帰ろうぜ。母ちゃんが待ってると思う」


「えっ?お店巡りは?」


「もう外は夜だと思う。アラタさ⋯⋯。長い間気絶してたんだぜ⋯⋯」


自分では実感がない。

しかし、アラタが言うにはそうなのだろう。


「アラタ。この指輪は返す。何も成果が出せずに申し訳ない⋯⋯」


ドワーフさんから金の指輪を返してもらった。


「じゃあ、宿に帰ろうぜ」


「もしよければまた遊びに来てくれ。今回のお詫びもしたいからな」


「本当に大丈夫ですから⋯⋯あれ?」


「どうしたアラタ?」


体の調子が何やらおかしい。

ポカポカとした何かが体を回っている気がする。


もしかして⋯⋯

俺は試しに、指輪を握りしめ、回っている何かを指輪に込めるイメージをする。すると、指輪が金色に光だした。


「こ⋯⋯これは⋯⋯」


「アラタ⋯⋯何だよそれ⋯⋯」


「⋯⋯え?」


光が消えると、指輪を握りしめていた手は指輪ではない何かを握っている感覚があった。

手元を見ると、それは金色の装飾がされた白銀の剣だった。

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